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山に引きこもったはなし

森の中の街灯ひとつないゲストハウスにひとりで泊まった。できたばかりのゲストハウスで私は2人目の客だった。

やりたいことははっきりしているのにどう動いていいか、何をしたらいいか分からずもやもやとしていた時期だった。家に帰っても仕事で疲れ果てて寝てしまう日々で考える余裕がなかった。考える余裕がないことにさらにイライラが募っていた。

そこで一度頭も心も浄化させてすっきりさせようと思ったのだ。ストレス解消法はいくつかもっている。その中でも効果覿面である『自然の中でひたすら黄昏る』を選んだ。

どんな自然に行きたいか考えた。静かで規模の大きなものが見たいと思った。一番身近で大規模なもの。星空!すぐに心は決まり、「星の見える宿」で検索をかけた。
なんと、「星またたく森のゲストハウス」という宿を見つけたのだ。言うことなしのネーミング。まさに私の求めていることがつまった名前。場所も隣県だったため数時間で行けそうだ。何も考えずすぐに予約した。

予約をしたはいいものの公共交通機関では行けそうにない山奥ということが判明した。どうしよう。ペーパードライバーの為1人で運転する自信はない。ローカルのバスがあるかもしれないと思いダメ元でゲストハウスへ電話をした。

「駅まで迎えに行くよ」

ご厚意に甘えることにした。

黄昏の旅は一泊弾丸旅行の予定だった。
しかし「1泊ですか?」の質問に二つ返事で「2泊でお願いします。」と答えていた。
あまりにも綺麗な森と景色だったのだ。街灯は一つもなく遠くには九重の山々が見えた。一泊では勿体なさすぎる。この世界にできるだけ長くどっぷりと浸かりたいと思った。平日だったこともあり他のゲストはおらず貸切状態だった。

ゲストハウスの近くにはコンビニ・スーパーはない。食料を買い込んで来てよかった。夜はオーナー夫妻に温泉へ連れて行ってもらった。子どもに戻ったような温かく懐かしい気持ちになった。夜は1人で星を見た。空気が綺麗で星が青かった。遠くに黒い塊が動いたので何かと思うと大きなイノシシだった。怖かったのでそれからは外に出ていない。

朝になった。すっきりとした朝だった。いちごを1パック一気に食べて幸せな気分になった。オーナーお父さんがハンモックをかけてくれた。Bucket list (ハンモックで本を読む)が一つ叶った。森の中のハンモックで読む大好きな星野道夫の本は格別だった。

昼はオーナーお母さんのレストランでランチをした。ランチ前に原木しいたけの収穫をさせてもらった。お味噌汁には採れたてしいたけが入っていた。何という贅沢。ジャムはこの山で採れた季節の果物。お米もオーナー夫妻の作ったお米だった。コーヒーも最高に美味しかった。その後散歩をして昼寝をした。

夕方、オーナーお母さんがご近所さんの家の畑に連れて行ってくださった。アスパラとブロッコリーとキャベツ、新玉などを収穫させてもらった。コーヒー屋さんにも行った。4杯も試飲させてもらった。

夜、収穫した野菜でペペロンチーノを作った。生きた野菜を頂いていると感じた。とても美味しかったしいつもより食べることに感謝した。その後温泉へ連れて行ってもらった。何と感謝を伝えたらいいのだろうと思うくらい幸せだった。日頃のイライラは消えていた。
部屋に戻ると1人だ。ふと思った。私は1人で何をするわけでもなく山の中に来て何をしているのだろう…
そこでたくさん考えた。自分のやりたい事。どうやったら実現できるか、いつどう動けばいいのか。何を勉強すればいいのか。
日常生活の中では考える余裕がなかったことを考えることができた。

翌朝帰路に着いた。もやもやは消えていた。オーナー夫妻の温かさとさっぱりとした自然に心が洗われた。次は1人ではなく友達と行くと約束した。

数日後、友人とそのゲストハウスに一泊する。インターネットではなく電話で予約をした。私のことを覚えていてくれて嬉しかった。里帰りするような気持ちだ。こんな温かな宿をいつか開きたいと思った。

長々と書いてしまった。もっとぎゅっと読みやすく書けるようになりたい。書かないことには上達もないはずなのでとりあえず書き続けてみようと思う。

以上。再会を目前に前回の旅を思い出したはなしである。

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