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専門学校の生徒に「弁当がくさい」と相談された話

授業と授業の空き時間に生徒が弁当を食べていたので、
「自分で作ったの?」
「いや、母ちゃんす。母ちゃん料理うまいんです。」
などと会話を楽しんでいました。
別の生徒が弁当を抱えて近づいてきました。
すると

「先生~、こいつの弁当がくさいんですよ。」

と、料理上手な母ちゃんがいる生徒が告げ口してきました。
とても失礼な発言だと感じるかもしれませんが、食品をくさいと感じるのは人が「危険だ、おかしい」と判断するのに正常な感覚です。
それに、なぜ弁当がくさくなるのか、栄養士としては見過ごせませんし、くさいと言われた生徒が学ぶチャンスでもあります。
原因を探るべく、質問をしていきました。
ちなみに、弁当がくさいと言われた生徒は、この春から一人暮らしを始めた19歳の男子です。

「ちゃんと冷まして持ってきてる?」

においが出てしまう=菌が繁殖していると推察できるので(人肌ぐらいが最も繁殖する)、まずはここを確認すると、
「冷ましてますよ!タッパーに詰めたあと蓋を開けて…」

あぁ、なるほど。
中心部までは冷めていない可能性が非常に高いですね。しかし、保冷剤は持ってきているとのこと。
ここでまた、たれ込みが入ります。

「こいつ、タッパーで料理するんすよ!!!」

え?どういうこと?
詳細を尋ねると、タッパーに肉と調味料を入れてレンジにかけ、それをそのまま弁当として持ってきているらしい。

なるほど、そういうことでしたか。
調理器具と弁当箱が一緒になっているわけですね。
そして、水分なども残っていたであろうことが推測できます。

せっかく作った弁当を傷ませないためにも、
①調理器具と弁当箱は別にする(清潔)
②水気をよく切る(汁気を飛ばす、拭く)
③広げてよく冷ます
④保冷剤を使う
まずはここを気をつけようかと伝えました。

こうして授業外で話をすると、さまざまな角度から生徒たちに質問をもらえるので、教科書には載っていないことを教えることができるし、生徒たちも学ぶことができるので、お互いにとってとても大切な時間です。

最近は先生も生徒も忙しくて、ゆっくり会話する時間が取れないのがもどかしいなぁと感じています。
生徒たちも「先生、忙しそうだから」と遠慮して、問題を先送りにすることもしばしば。
専門学校における“よい教育”とは何かを考えさせられる日々です。

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出版社HPで連載している受験生向けのコラムで、食中毒について投稿しています。読んでみてください。
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