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学童の先生をしているときの自分はカメレオンみたいだった

私はいま、学童の先生をしている。
2018年~2021年の2年半、フィンランド教育を取り入れた民間の学童で学んだことを公立の学童でできる範囲で活用しているが、公立ならではのもどかしい部分に悪戦苦闘している。

先日、他の先生と子どもがトラブっている様子を目撃したことを機に、自分だったらどうしただろうか、そもそもそんなトラブルを起こさないようにどんなことを心がけているか?を考えながら帰路についていると、自分はカメレオンみたいだなぁと感じることがあったので、ここにメモしておこうと思う。
※経験から得たもの、研修などを受けて得た知識を総合したものです。個人的な見解として認識していただけると幸いです。

1.事の経緯

最初のきっかけは不明だが、子どもが先生に対して生意気な口をきいていて、先生が「何でそんな口のきき方をするんだ!」と問い詰めるような口調で注意すると、「そんなことしてないし」ととぼける子ども。それが何度か続いた。
そこにカチンときた先生が声を荒げながら職員室の担任の先生のところに連れて行こうとしたので、これ以上ヒートアップしないように二人に近づくと気まずそうにして沈静化した。

2.何が問題だったか

トラブルが起こる要因として、①子どもに問題がある、②先生に問題がある、③環境に問題があることが考えられる。

①子どもについて

メリハリのある行動が苦手で、気の赴くままに行動したがるところがある。ゆえに、宿題を終わらせることがなかなかできないとか、席を立ってうろうろしてしまうことが多々ある。
しかし、1ヶ月ほど前に宿題のサポートをしたときは、理解できたことがやる気スイッチを押し、時間内に宿題を終えることができた際には達成感に満ちあふれた表情になり、その後はメリハリのある行動を取ることができていた。

預かっている子どもの人数が多く、毎回このようなサポートができるとは限らないため、継続的に働きかけることが難しい現状がある。
とはいえ、働きかけ次第でこれだけ行動が変わるのであれば、やったほうがいいのは明白である。

②先生について

私は複数の学童をサポートして回っているので、担当するクラスも一緒に働く先生もバラバラで、正直なところ先生の詳細な特徴までは掴めていない。
今回のトラブルを観察して感じたこと、その後に話をして感じたことをそのまま記しておく。
まず、子どもに対して「よく問題を起こす子」という分厚いフィルターがかかっているようだった。
恐らくそのことが強い口調での注意や、感情的になる要因ではないかと推測できる。

「問題を起こす」ことがわかっているなら起こってから対処するのではなく、どうしたら問題を起こさないようにできるか、責任を子どもだけに背負わせるのではなく、問題が起こる責任を自分にも向けられるといいのかなと感じた。
また、大人の直情的な言葉を子どもに受け止めてもらうなんて不可能に近いので、怒りのような第一次感情はマイルドに精製して伝えるスキルが必要だと思われる。

③環境について

トラブルが起こったのは、下校時にランドセルを背負って、教室で整列して昇降口に移動するときだった。
なかなか列に並ばない子ども。
何度も注意する先生。
早く帰りたくてそわそわしている他の子どもたち。
下校時刻が迫っているから、綺麗に整列できてないけど出発させる先生。
それぞれの思惑が少しずれていることがトラブルを発生させた原因になっているのではと推察する。
大人ならその微妙なずれを調整できるのであろうが、子どもにはやはり難しい。
そこをサポートするのが大人(先生)の役割なんだろうけど。

3.自分ならどうしていたか

トラブルを起こしやすい子がいるとしても、その事実は受け止めるがレッテルを貼らないようにしている。
何故なら、子どもはそんな大人の態度に敏感で、そこに対して反発したりするし、アプローチ次第で変化する可能性を秘めているので(難しい場合ももちろんある)、子どもに変化を促せなかったのは自分にも責任があると考えて接する。
子どもだからと変に子ども扱いせず、敬意を示す。
子どもに生意気な口をきかれたら、「そんな言い方されると嫌な気持ちになるから優しく言ってほしい」と伝える。
内心イラついていたとしても、そこでカッとなっているようではどんな仕事も務まらない。
人生の先輩として、より良く生きる道を示すことも教育だと思うから。

子どもだって自分より体の大きな大人に威圧的な態度で声を荒げられたら、恐怖で本心なんか言えるはずもないし、とぼけることで空気を和らげていたのかもしれない。
子どもの心を開くにはどんな態度でいるのがよいか常に模索し、挑戦し、失敗と成功を繰り返しながら自分も成長していく。
これがこの仕事の醍醐味だと思う。

4.状況により自分を変化させる「カメレオン化」

①先生(人生の先輩)

前に立ってリーダーシップを発揮したり、見本を見せたり、方向を示したり、縁の下の力持ちになったりと、子どもたちを見守りサポートしていく立場。
ここが大半を占める。

②友達

ゲームや鬼ごっこなど、手を抜かずに真剣勝負。
負けて悔しいから上手になりたい、速くなりたいと思えるぐらいに手を抜くことはある。
圧倒的な差はその気持ちすら湧かない。

③環境

声もかけない、参加してるようでしていない。
けれど、そこに大人が存在することで理性を保つことができてルールを守ったり、友達を傷つけないようにしたり、危険を回避したりする。
「壁に耳あり、障子に目あり」ってところか。

④物(だいたい椅子、ソファ、木)

子どもが寄っ掛かってきたり抱きついてきたりしても、決して抱き返したりしない。
こちらのリアクションを「余計だ」「気持ち悪い」「勝手に触られた」と感じる子どももいるため、ただただ受け入れるだけの物になる。
感情も表さない。人によってはそれが伝わってしまうこともあるから嫌がられる。
あくまでも一時的な甘えたい気持ちを「拒否しない人」でいることを心がけている。満たされて自分から離れていくのを待つのみ。

⑤道具(便利グッズ)

「ちょっと持ってて!」と、何か作業を中断するときにその状態を保つとか、長い毛糸や大きな紙を切るときに端を持つなどの便利屋さん。
はさみやフックと同じような感覚。道具は使われることが目的なので、「やってあげた」感を出さないのがポイント。

まとめ

どんな方法であろうとも、子どもへの敬意があること、リスク管理はするけど信頼して見守ることを前提に行動を選択するようにしている。
複数の現場に足を運び、多くの子どもと接し、様々な対応をする先生方と一緒に働くことで自分なりの正解を探り続けている。
しかしながら、見つけた正解が常に正解と限らないのが難しいところでもあり、おもしろいところでもあるから、この仕事が大好きで辞められない。
もっともっとカメレオンの色を増やしていけるように日々学んでいこうと思う。

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