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【バトン連載】私の移住ストーリー vol.11|loco@石垣島

はじめに

10年前のあなたは、どこで何をしていましたか?
10年前に描いたあなたは、今のあなたですか?

ハタチ前後の頃、よく訊かれたものです。
「10年後、どうなっていたい?」
私はこの質問に対する答えが、全く見えないわけです。いつも。

そんな私の、大人になってからの人生は、こんな感じ。

20代。特別支援学校の養護教諭(保健室の先生)として、子どもたちに寄り添いまくる。完全に天職。
30代前半。大病の連続、ダークサイドに片脚つっこむ。
厄年まじで舐めたらアカン。
30代後半。趣味でやってた写真で世界に挑戦しないと、死ぬ瞬間に後悔すると思い、安定職をあっさり放棄。日本各地まわったり、東京で勉強したり、アクセル全開。

40代。今。ここ石垣で、リラックスして生きてる。

見えないからこそおもしろい

ね。10年後なんて、見えるわけなくて。


私が石垣島に移住した理由

流れです。(きっぱり)

ひょんなことから、2022年秋に、石垣島の友人宅でワンちゃんのお世話をすることになりました。動物と暮らしたこともなければ、犬の散歩もしたことないんだけどね。なんかおもしろそうだなと。結果、すごく楽しくて。

散歩してたら、小さいコから「あ!わんわん〜」とか指差されるわけですよ。初めての体験。指差されてるのはワンちゃんであって私ではないんだけど、「そうだよ、ワンワンだよー」と、ドヤ顔かます日々。

そんな中、心にストンと落ちた景色がありました。それが、これ。

天国かと思った。一生忘れない光景

もう、ここが私のアナザー…。いや。ここや。ここしかないと。


移住するためにクリアしなければならなかったこと 

住みたい気持ちが高まっても、住むハコがなければ住めないわけで。
南の島に住むなんて、空を自由に飛びたいなぐらいの無謀な案件だと思っていたし、ハイ、タケコプター!なんて腹をまさぐる居候もいないわけです。
でも憧れは消えず、秋からずっと物件サイトだけは見ていました。

そしてそれは、半年後、2023年の3月に、来たんです。

再びワンちゃんお世話に来島中、ちょうど誕生月だったこともあり、生まれて初めての対面の占いを予約していたんです。
「ペット可、バス・トイレ別、築浅、オーシャンビューの物件で!!」
結婚相談所で大谷翔平リクエストする勢いで理想を伝えてみたら「今月、ありそうだよ」と。
おいおいおい、まじか。

占いを終えて、何もなかったいつもの物件サイトを開きました。そしたらアップされてんの、大谷物件が。すごいな、占い。でも、数時間後にはその物件、ネットから消えていました。

ドジャースに先越されたか。

翌日。
初めての占いでよい結果を聞いたことで、テンション上がっていた私は、ダメ元でも不動産屋さんに突撃しようと、ゲストハウスでママチャリ借りて、登野城をかっとばしました。

ごめん、ウソついた。

登野城の地形を知らずに、あの心臓破りの坂道を、チャリ押してハァハァ登った。ものすごい滝汗で扉を開ける。ハァハァ言いながら、要件を伝える。
不審者すぎて、賃貸自体が無理かもしれない。

そしたら、奥で電話対応をされていたスタッフさんが来て「予約が入ってネットから消してたんですが、たった今連絡があって、キャンセルになりました」と。

おおおーー!占いーー!
今まで、雑誌とかの占いでも、いいことしか信じてなくてごめんー!
いや、そのスタンスはこれからも変わらんけど、私の引き、強すぎやない?

ということで、今のおうちに住んでおります。目の前、海!
そのナイスビューぶりは、ANAコンチか、タナカヒロコんちか。
ANAコンチ泊まったことなかばってん。


拙宅からの眺め。うふふ

大抵の人は、家族、仕事(経済面)、家の3つだと思うんです。クリアすること。それができれば、あとは何とでもなります。

この記事は、移住を検討している方も読まれると思うので、同じような方もいるかもしれないから、正直に書きますね。

私は子どもの頃から糖尿病があり、インスリン注射をしています。
1型糖尿病(インスリン依存症糖尿病)といって、生活習慣病である2型糖尿病とは違い、患者数も少ない。
これを診れる専門医が離島にいるかということが一つ。
あとは、使っている注射剤と、血糖測定の機器を処方できる病院があるかどうか。

これについては、事前によくよく調べ、福岡のかかりつけ医と相談し、紹介状を書いてもらい、移住前にこちらのドクターに会ってみたりしました。
そして、ここもクリア。

ただ、眼底検査とか甲状腺のエコーとか、3カ月に1回でいいような通院は、福岡のほうがいいなと思って、そこは帰省するようにしています。
ついでにとんこつ注入もかかさずしています!

台風の後に物資がないというのは初めての体験。でも、慣れます!


とどのつまり、クリアする手段はいくらでもあります。クリアできなかったら、そういうことです。すっぱりきっぱり諦めましょう。

ただ、想っていれば、必ずチャンスは訪れます。それがチャンスだと見極める直感力と、キャッチする瞬発力、行動力。なのだと思います。

どう道を切り開くかは、自分次第


移住してみて、今おもうこと

笑っちゃうぐらい、フツーに生活しています、私。観光地にも行ってないし、自炊大好きで、おいしいお店もほとんど知らない。
明け方まで仕事してて、昼間すこーんと寝ていることも、よくある。
でも、暮らすってそういうことよね、とも思うわけで。

ただ違うのは、パソコン作業に疲れて窓の外を見ると、海が見えること。
夕焼けの時間に、西の空が見える場所にいられること。
自然にふれたいなと思ったときに、すぐそれができること。

そして、いくら絶景を目の前にしても、人間って、自分に余裕がないと美しいと思えないもの。

何気ないふとした瞬間に感動しまくっている私は、本当にここでの生活が合っているんだと思います。

ふと足を止めたくなる景色に感動する日々
都会ではなかなか見られない笑。自由でいいな
車窓も美しい

ヤモリの笑い声もかわいい。
イソヒヨドリの歌声は、国宝級。
こないだは、早朝に窓を開けてたら、アカショウビンの声が聞こえた。

夜、寝るときに、波の音が聞こえるのが好き。
雨が降り出したのかと思ったら、バナナの樹の葉が揺れて、擦れ合っている音だと分かったときの感動ったらなかった。


そして何より、人が優しい。
ご近所のみなさん、親世代か、さらに先輩なんだけれど、偶然会って、ちょろちょろっと世間話するぐらいのライトな関係性が、とても居心地がいい。

「おいでー」って庭先から呼ばれて、油味噌だったり、お庭で作ったセイイカの燻製だったり、庭のアップルマンゴーだったりを、頻繫に頂きます。
ありがたいことです。

おじちゃんのアップルマンゴー

おわりに

旧盆のとき、集落最高齢おばあのお世話をされていた30歳ぐらいのお兄さんが、とにかくもう優しくて、「どうしてそんなに優しいの」と尋ねたら
「うーん、島の人みんな優しいし、自分もそうしてもらったから」と当たり前のように答えてくれたときは、このタイミングで移住できたことや人との出会いに、ちょっと感極まりました。

私もいつか、そのぐらい普通に優しさが備わっている人間になりたいなと、心から思います。

この気持ちを循環させていきたい

次のバトンは…


かきもっちゃん!!!
写真が上手で、とってもいい青年です。島の方から、サーターアンダギーというニックネームを付けられるほど、真っ黒で坊主頭でおもしろいんです(失礼)。彼は、活動的に写真を撮ってお仕事にもしているので、私よりずっと島らしい話が聞けるんじゃないかと期待しています。

かきもっちゃん、よろしくね。


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この記事を書いた人

タナカヒロコ。
ヒロコなので、loco。
locoとは、ハワイ語で「現地の」。
どこにでもすぐ慣じむ私にぴったり。
そして、スペイン語で「クレイジー」。
こちらもおそらくぴったり。

視覚芸術家。
ひとりっ子AB型左利き。自由自在人間。
旅好き(日本は庭)。
主に直感と好奇心でできています。
晴れ女。博多弁ネイティブ。あまりハズレを引かない。

インスタグラム@locojapan


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