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「もし明日親が倒れても仕事を辞めずにすむ方法」感想。

「もし明日親が倒れても仕事を辞めずにすむ方法」
https://www.amazon.co.jp/もし明日、親が倒れても仕事を辞めずにすむ方法-川内-潤/dp/459115629X

この本に出合ったきっかけ

この本に出会ったきっかけは、株式会社ワークライフバランスさんが主催の「明日、親が倒れても仕事を辞めずにすむ方法って?」というセミナーに2018年3月に参加したことでした。

セミナー講師としてお話してくださったのが、本の著者である川内潤さん。NPO法人となりのかいごの代表理事をされています。最初にこの名前のセミナーを見つけた時は、ドキッとするとともに魔法か!と(笑)

2018年の3月末まで私は、一般企業で人事を担当していました。その為、人事としてまた将来看護師になる為にもぜひお話を聞きたい!と思ったのでした。

私が働いていた会社は、平均年齢37歳、男性社員7割、女性社員3割、社員数80人の中小企業です。平均年齢がわりと若く子育て世代やシングルが多いため、子育て世代向けには、人事として情報発信をしていましたが、介護については後回しになっている状態でした。

しかし、直近で50代の方の80代の親御さんが亡くなるなど他人事ではない、会社としての体制つくりは急務だと思い会社の同僚を誘って参加しました。
結論!
家族が倒れても会社を辞めない。
介護と仕事を天秤にかけない。
が正解です。魔法じゃなかった(笑)( ´∀` )b

セミナーと本の感想


以下、セミナーと本を読んでの感想です。
セミナー冒頭で質問されました。
「自分の親の嫌な部分で似てしまったところはどこですか?」

おう・・・。嫌な質問だ。
質問の意図は、
「自分の親だからこそ、辛くて出来ないことがある。」
介護のプロだとしても、自分の家族の介護は、難しくうまくいかないそうです。
要介護状態の家族と向き合うのは、誰であっても難しいのです。
だからこそプロである他人に任せる。
介護はプロに任せて、家族は愛情を注ぐ。
それは家族にしか出来ないことだから。
だから、会社を辞めて生活の全てを介護に捧げてはダメだと。

本には、
「親の介護と仕事を天秤にかけてはいけない。」
「そもそもこの二つは天秤にかける必要はまったくなくて、両方を取ることができる。」
「介護で一番大切なのは、仕事を辞めない。人に任せるというマインドセットです。」心強い言葉が書かれています。


【私が一番心が軽くなったこと】
私は11年前に夫を癌で亡くしています。
その時に「会社を辞めてもっと長く側にいれば良かった。」とか
「あの日会社を休んで駅まで送っていけばよかった。」とか
多分ずーっと後悔してたんです。
今、冷静に考えれば、これ以上ないというくらい、そばにいましたし、
あれ以上そばにいたら、私が体を壊していたかもしれません。

それを「辞めないが正解。」
「何を選んでも後悔は残るもの。」
と川内さんから明言されて本当に救われたような気持ちになりました。

確かに、会社を辞めてずっと付き添ってたとしても、もっと早く会社を辞めて一緒に生活していたらそもそも癌にならなかったのでは、なんて別の後悔が生まれたかも。

どんな選択をしても後悔は残るのです。だから、闘病を支えていた当時、会社辞めずに働き続けて本当に良かったと思いました。その後の仕事でたくさんの経験が出来ましたし、たくさんの人に会うことが出来ました。

日本人は、私もそうでしたが、家族が大事だから『私が』介護・看護しなきゃ。私が休むと会社に迷惑がかかる。だから休めない。こう考える人が多いと思います。
そして、
私が毎日そばにいなければ・・・
休んで会社に迷惑をかける位なら・・・
という思いから会社を辞めてしまう。こんな選択をする人。
またこんな思いで苦しんでいる人が多いのではないでしょうか。

川内さんは言います。
「介護は、早い段階で会社に相談。」
「どうせいつかは、だれでも迷惑をかけることになるのです。」
「誰かが前例を作ることでみんなのためになる。」

みんなが順番に経験すること


「あなただけが経験することじゃないのよ。みんな順番だから。」
これは、家族が入院していた病院の看護師長からかけられた言葉です。
こんなに休んだら会社やみんなに迷惑をかけてしまうとうじうじ悩んでいた私に言ってくださいました。
この経験から私は、本当に大切な事の順番を間違えなくなりました。仕事より家族が大事に決まってるんですよ。迷っている部門のメンバーに、迷うな、家族の方が大事と背中を押せるようになりました。
私が私の会社の前例になったのです。
何しろ自分が迷惑をかけて休ませてもらった本人ですからね。

まずは、企業の人事担当や管理職に介護について自分事として一度考えてほしい。
・誰でも順番に経験することであること
・会社や部署に相談できるうちあけやすい風土作りが大事。
・オープンマインドな組織作り!
・家族の介護が必要になったら、相談できるように、ひとりで抱え込まないように会社内にアナウンスの徹底。まずは、会社に1冊この本を!

そして、ひとりひとりが
・家族のために介護したい。
・家族の介護のために仕事を休むことが心苦しい。
この二つの気持ちの折り合いをつけること。
その為に、 
・仕事は辞めない。
・でもいざというときは、休めるように普段から、部署に相談。会社に相談。
・自分が前例になればいいんだという気持ち!
が大事だなあと思いました。

自分の身内の介護は、ひとりでやっちゃ絶対にダメです。
川内さんは、「子育てを一人でやらないように介護もひとりではやらないんですよ。」と。

海外子会社を通して感じたこと〜働き方改革

そして、働き方改革。(政府に言われてるこの言葉はあまり好きではありませんが。)

私が2018年3月まで働いていた会社は、中国とヨーロッパに子会社がありました。
彼らとやり取りをする中で気が付いたこと。

彼らは、
・絶対に残業をしない。
・家族が一番大事。
そして生産性も利益率も日本と変わらない。
むしろいい(笑)。
家族より、仕事を取ったり、家族のために会社を休むことをためらう、申し訳ないと思うのはもしかして日本人だけなのではないでしょうか?

この家族のために、
会社を休むことが当たり前という空気を作ること。
前例を作っていくこと。
これが大事。と本には書いてありました。

元人事担当者として

そして、元人事採用経験者より一言。

家族の闘病中、私は入社して9年目。当時は、新卒採用業務の真っ只中にいました。今まで書いてきたように私自身にとっても辞めなくて良かったですし、
会社にとっても9年働いて、仕事を覚えた社員が辞めずにすんで良かったはずなんです。(笑)

現在は、少子化の影響で採用活動は本当に大変です。
10年、20年選手の社員。30代、40代、50代働き盛りの社員が辞めるなんて会社にとって大損失です。何年も採用に苦労した私は、元人事担当として、声を大にして言いたい。辞めるくらいなら、一言相談してよ!
新しい人材を何年もかけて教育することも必要なんだけどあなたが数か月、1年休んだとしても戻ってきてほしい。
新人があなたレベルになるまでに何年かかるかわからない。
それに新人が採用できるかもわからないのよ!迷惑をかけあうのは、順番だから!と、多くの人事採用担当者が思っているはずです。

だから皆さん、家族の介護を自分一人で背負うがために絶対に仕事を辞めないでね。会社目線で書いてしまいましたが、私個人としても辞めなくて本当に良かったです。辞めなかったからこそ、息抜きにもなり、家族の前で笑顔でいられた。
お金の心配もする必要がなかった。仕事があったからこそ、家族の死から立ち直ることが出来た。

辞めようと考える当時の私には幸運なことに、辞める必要ない、すぐ休め、落ち着いたら戻ってこいと言ってくれる会社と上司がいました。
中国やヨーロッパの国のように家族が一番大事。
いざっていう時は、必ず家族を選ぶ。
家族に愛情を注げるのは、家族だけ。
でもひとりで背負わない。プロに任せる。
その為にも仕事は辞めない。
自分は介護チームのマネジメントに徹する。
仕事と家族両方取るのが当たり前。
これが大事ということです。

自分にも他人にも寛大であること。なのかなあと思いました。

https://www.amazon.co.jp/もし明日、親が倒れても仕事を辞めずにすむ方法-川内-潤/dp/459115629X
この本には、
具体的な両立法や事例が書かれています。
・介護の予兆を見逃さない技術
・介護体制の作り方
 あなたの仕事はチームマネジメント!
・チームが機能すれば遠距離介護もできる
・ケアマネ・介護施設の選び方
 (ビジネスパートナーを選ぶ感覚で!)
・家族でもめない役割分担
・男性介護者あるある・・・
などなど。

まだ介護のことは全く考えていないよ。でもうっすら、わかってる。考え始めなければならないことを。私と同じ30代~40代以降の働く世代にものすごくおすすめです。
川内さんのNPO法人では、
http://www.tonarino-kaigo.org/
介護セミナーや個別相談も実施されています!
私が今、人事担当なら絶対に会社にお呼びしたい!


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