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脱炭素化へのグローバルな取り組み【SDGs、ESG、TCFD、CDP、SBT、RE100】Part1


記事概要

前回までは気候変動の国際的な枠組についてお話ししました。
今回はそれらをミクロに落とし込んだ国際的なトレンドをご案内できればと思います。

具体的にはSDGs(持続可能な開発目標)、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資、および主要なイニシアティブ(TCFD、CDP、SBT、RE100など)です。

これらの概念がどのように相互に関連し、持続可能な開発と脱炭素化に向けたグローバルな動きを推進しているかを解説ご案内します。
また、ESG投資の増加が企業に与える影響や、気候変動に対する情報開示の重要性についても詳しく触れる予定です。

SDGsと脱炭素化

持続可能な開発目標(SDGs)は、2015年9月の国連サミットで採用された「2030アジェンダ」の一部です。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。これら17のゴールの内、ゴール13「気候変動に具体的対策を」は、脱炭素化を後押しする重要な要素とされています。

SDGsの推進は、環境の保護と経済成長のバランスを取ることに焦点を当てています。

国際連合広報センターhttps://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_logo/

パリ協定が採択されたのは21052015年の12月です。SDGsは同年9月。つまりサステナビリティという大きな目標(SDGs)を受けての気候変動問題。この順番は抑えておきましょう。

ESG投資の台頭

ESG投資は、環境(Environment)社会(Social)ガバナンス(Governance)の観点から持続可能な投資を行うことを意味します。これは、単に利益を追求するのではなく、社会的責任と環境への配慮を重視する投資手法です。

カーボンニュートラルのような気候変動対策はenvironmentに該当しますね。

このESG投資ですが、2006 年に国連が提唱した「責任投資原則( Principle for Responsible Investment PRI )」が原点となっています。

このPRIは以下6つの原則を設けています。

  1. 私たちは、投資分析と意思決定のプロセスに ESGの課題を組み込みます

  2. 私たちは、活動的な所有者となり所有方針と所有習慣にESGの課題を組み入れます

  3. 私たちは、投資対象の主体に対して ESG の課題について適切な開示を求めます

  4. 私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ実行に移されるように働きかけを行います

  5. 私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために協働します

  6. 私たちは、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します

2015年。このPRIに署名したのがGPIFです。みなさん、このGPIFご存じですか。投資の類いをかじった人はご存じのはず。

そうです。泣く子も黙る年金積立金管理運用独立行政法人でございます。私たち日本国民の年金資産を運用する世界最大の機関投資家でございます。その規模はなんと220兆円。

この巨大な機関投資家がESG投資に名乗りを上げたのですから、それは大変。俄然、ESG投資に注目が集まることとなります。

しかしこのESG投資。じつは問題も抱えていました。

それは以下のものが考えられます。

  • 企業の情報開示が十分でなく、基準が統一されていない

  • ESGの評価基準が確立されていない

  • 中小企業や地方の企業は効果を上げるのが難しい

  • 短期的なリターンが期待しにくい

  • グリーンウォッシュ企業に投資してしまうリスクがある

  • 価格流動性が低いため短期的なリターンが獲得しにくい

  • 収益性の観点で劣後する企業を選別してしまう可能性がある

しかし、まぁこんなことよりもやはり世界のトレンドがありますし、何てったってGPIF様がESG投資に名乗りを上げるのですから…

ということでESG投資にはイケイケどんどんで資金が流入していきます。

ニッセイ基礎研究所/ESG投資の近年の進展
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=70652?pno=2&site=nli

2018年の段階でかなりの勢いです。米国に至ってはそれ以降も凄い勢いで伸ばしています。

ですがこのESG投資。先ほどご紹介したとおり問題点があるのも事実。米国共和党や保守派から反ESGの動きが最近になって活発化しています。

以前、このNoteでもご紹介した以下の記事を参照ください。

今年の秋には米国大統領選挙があり、現在のところ共和党の勝利との見立てが優勢です。

現在の民主党政権時にグリーン系の政策はグリーンニューディールとかいって随分吹かされた感がありますので、多少の揺り戻しは覚悟せねばならないでしょう。

ただ、ESG投資が急にゼロになると言うことではありません。現在よりも規模は縮小するでしょうが、投資商品として残ります。

財務情報と非財務情報

みなさんは投資をする際に、どういった基準で判断しますか?

一般的には財務情報ですね。経営指標の推移であったり、財務諸表。決算情報、業績予測など。

ですが財務情報だけでESGの評価できますか?

環境、社会、ガバナンス。
どの情報も財務情報から導き出すことはできませんよね。

例えばCO2の気候変動問題に直接的に関わってくるCO2の排出量、ジェンダー関連なんかは、財務情報と何ら関わりがありません。

そこでESG投資には「非財務情報が重要です」と言うことになるのです。

では非財務情報とは何でしょうか。

いわゆる「事業のリスク分析」だったり、「MD&A」(Management's Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Operations)「経営陣による財政状態および経営成績の検討と分析」、「コーポレートガバナンスの状況」、「経営ビジョン」、「中期計画」、「CSR報告」、「サステナビリティ報告」と言ったものが上げられます。

これらがESG投資には欠かせない情報源となります。

おおっとESG投資について簡単に終わらせようとしたのですが、長くなっちゃいました。

このNoteはマルト株式会社カーボンニュートラル担当によるもの。あまりESGのことばかりご案内していても、しかたがありませんので、それは皆さんで別途お調べください。

TCFD、CDP、SBT、RE100については次回にご案内とさせていただきます。

今回も長文最後までお読みいただきありがとうございました。