「白から紅へ、そして誰もいなくなった」
紅は鮮やかに
白をちらつかせながら
海上を漂う
それは罪色紅(つみいろくれない)
集められた十人は
皆口々に
潔白を語る
わたしはシロだと
白い壁
白い部屋
真白なその家は
徐々に鮮血で紅く染められていく
罪は血で贖われる
それを知ってか
それぞれの紅色の過去が
脳裏をかすめる
白く塗り固めた
ショートケーキのように
ほじくれば瑞々しい
イチゴがほら出てきた
その甘美さに
酔いしれて
食べてしまった代償は
自らの血で
紅く紅く
ひとりふたりと
増えていき
そして誰もいなくなった
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?