「おかしなポプリ」

アジサイのドライフラワーを見ていたら　
ポプリにしたいと思い立った
なんで今ごろこんなこと
ポプリは封印してたのに

はるか遠い昔の話
私はポプリを愛してた
瓶につめられた美しい花びら
漂いひろがるローズの芳香

大好きだったのに
悲劇はポプリとともに瓶の中
蓋をあけて思い出す
それは小学五年生

ポプリのかおりに香油を足せば
長持ちすること私は知って
ローズの油をポプリに染み込ませ
ふたたび香りを楽しんだ

ふとふで箱にも一滴と
まちがえドバっと振りかけた
もったいなくて拭けなくて
しかたなく蓋をした

次の日ふで箱開いた授業中
瞬でひろがる強烈な悪臭
ヤバい！と蓋をしてももう手遅れ
クラス中異臭騒ぎで大混乱

すぐさま始まる犯人さがし
臭いをたどってあっさりバレた
どもりながら事の次第を説明し
みんなにあたまを下げた

なんでこんなことになったのか？
ただ後悔だけが頭の中をかけめぐる
大好きなものが
嫌いなものに入れ替わった

ずっと蓋をしていた私の昔
もうそろそろいいだろう
開けてひろがる可笑しな香り
熟成されすぎて笑っちゃう