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「絵は魔法のかがみ」だと思うんです

ワタクシみどり(マロバシ堂)と、母のYUKIが
新しいプロジェクトを立ち上げました。

それがこちら

五感でたのしむ美術鑑賞
絵は魔法のかがみ

対話型美術鑑賞とドラマづくりの2本立てで
絵を味わいつくすプログラムとなっております。

4・5・6月と活動してきたので
ここで一度まとめてみたいと思います。

オンラインイベントのやり方に悩んでいる方
対話型美術鑑賞に興味のある方
演技することに少しワクワクしている方
私も手探り状態なので、何か参考になれば幸いです。

プロジェクトについて

立ち上げの経緯について簡単に説明すると

私は演劇体験を身近なものにするべく
今年に入って、何度か演劇ワークショップを行ってきました。
ひとつのテキストでいろんな読み方をしてみたり
参加者それぞれの思い出を共有して演じてみたり
その人自身の「いいところ」を見つけられるような内容をつくってきました。

参加してくれた母も手ごたえを感じてくれて
「対話型美術鑑賞に近いかも・・・」と、自身の活動の参考にしてくれたそうです。

さて母の口からでてきた
対話型美術鑑賞」という言葉、ご存知でしょうか?

絵をみんなで見るんですけど
ファシリテーターが参加者にいろいろ質問します。
「何が描かれていますか」
「どうしてそう思いましたか」といった感じで。

対話を重ねながら、参加者同士で意見を交わし合い
いろんな絵の見方を楽しむというものです(という理解です)
場合によっては絵についての知識を学ぶ時間もあります。

私は全然知らなかったのですが
最近は美術館でイベントとして開催されたり
小中学校の授業でも実施されていることもあるそうな。いいなあ。

母は「対話型美術鑑賞」のファシリテーターとして活動していましたが
コロナ禍で思うように活動範囲を広げられずにいました。
私もオンラインで実施できるワークショップの形式を模索していたところ
かねてよりZoomで母の練習相手をつとめていたこともキッカケとなり
プロジェクトを構想するに至りました。

母と娘のどたばたコンビがここに結成されたわけです。

絵は魔法のかがみプログラムについて

内容についてざっくりと説明しますと

①対話型美術鑑賞
②ドラマづくり

この2本立てです。

①対話型美術鑑賞はYUKIのパートとなります。
先述の通り、絵を見て自由におしゃべりするだけ。
しいて言えば、「五感でたのしむ」ことを目的としているため
「なんの音が聞こえますか」
「何か香りがしますか」
「どんな味だと思いますか」
といった質問がとんでくることがあります。
美術館でひとりで絵を見ていたら、ここまで考えないなーと思うぐらい、いろいろ聞かれます。

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②ドラマづくりは私のパートです。
まさに今、試行錯誤中なので決まった形式がありません。
私なりの解釈でストーリーを作って演じ切ってしまうこともあれば
①の対話で出てきた意見を元に、参加者と一緒に演じてみるということも。
参加者が絵に没入できるような仕掛けとして
「演じる」「つくりもの」というフィルターを設ける計画です。

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およそ1時間で2枚の絵を見て、しゃべって、ときどき演じて・・・
そして最後にちょこっと絵について学ぶ時間もあり~で
対面でもZoomでも楽しい鑑賞体験を目指しています。

やってみました

絵は魔法のかがみプログラムで一番難しいのは
題材を選ぶことです!!!

あまりにも有名な絵だと面白くないし
かといって、絵についての情報が少ないとファシリテーターが困るし
参加者がしゃべりにくい(たまにある)題材でも盛り上がらないし
私の力不足でドラマをつくれなかったら苦しいので。

題材を何パターンか想定しておいて
そこから季節や、やりやすさを考慮して候補を決めます。

〇4月は絵からドラマをつくれるのか?!と半信半疑のワークショップ。
もはや相方に無茶ぶりで即興芝居に付き合ってもらいました。
そのときのリアクションをもとに絵を決定。
さらに出し合ったアイデアをもとに、ドラマの軸を創作。

〇5月は学童保育施設で2回、対面で実施しました。
初めてのプログラムを小学生低学年向けにやりました。ド緊張です。
子ども向けと大人向けでは、絵の内容を変えてもよさそうだと分かり
レパートリーを増やすがごとく、次の作品の準備を進めます。

〇6月はすべて大人を対象にして、ご家庭向けに1回、試演会を2回実施。
多くの発見を得て、やり方も少しずつ慣れてきました。
機材のこと、クオリティのこと、改善点は多々ありますが
内容を磨きつつ今後の実施場所を検討しているところです。現在地ここ!

ここまでにも多数のご協力をいただいたみなさま、本当に感謝します。
ありがとうございました!


やってみたらどうかというと

やってみた感想というか、振り返りをします。

〇まず5月、学童保育施設でやってみました。
このプログラムを想定していたときから
子どもが楽しめる内容にしたい」と考えていました。
だから“むずかしいことをやさしく”の精神で
導入のやり方や、しゃべり方、体の動かし方を
あれこれYUKIと打ち合わせました。

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その甲斐あって、ものすごくウケのよかった回と
なかなか相手にされなかった回とあって、どちらも興味深い結果に。
学童の先生からも的確なアドバイスをいただいて
いかに気持ちよくみんなが参加できる環境をつくれるか、これが課題となりました。

それにしても子どもたちの発想力には感服です!
YUKIからの「このあとどうなると思いますか?」という質問に
ひとりずつはっきりとしたストーリーを語ってくれました。
私がつくるストーリーより面白いアイデアばかりで
大いに参考にしちゃいました。みんな詩人だ。


〇6月はご家庭向けにZoomでやらせていただきました。
認知症のお母さまを交えて、あちらも母娘で参加してくださり
仲の良さが垣間見える明るい回となりました。

絵も5月と変えて大人向けに。
初めてのZoom開催だったため、操作など手間取りました。
しかし画面越しに見ていても、おふたり悩みながらの対話は楽しく
オンラインの可能性を感じることができます。

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興味深いのは、こちらがうながす前から
描かれている人物(そのときは犬だけど)の気持ちを代弁してくれたこと。
女性だから、日本人だからというよりも
子どもの頃から身についている感情移入というか
アニミズムと言ってもいいような「アソビ」
この感覚を、これからのプログラムでも引き出したいなあと心に決めました。

そうすれば、物言わぬもの・ことの立場になって
考えられるような社会に近づくと思うんですよね。


〇さらに6月は試演会と称して2回、大人向けに実施しました。
1回目は完全にオンラインで、全員が自分のパソコンから参加します。
欲張って4枚もやったら時間がなくなってしまい
だいぶ慌ただしいスケジュールとなりました。
演技経験の少ない(と想定している)知人が参加してくれたので
抵抗なくドラマに参加してもらえるよう、参加率に段階を踏むも・・・
そのバランスがとても難しくて、いまだに苦戦しています。

たとえば5月に子どもたちと対面でやったときは
私ひとりでストーリーを演じ切った方が集中が続きました。

一方で6月は私ひとりで演じ切るには
オンラインという画面を一枚はさむ分、やや壁があるように感じます。
よっぽど派手な演出とかできればZoom映えするかもしれませんが
その場で出た意見を取り込んで、演技に組み込むこともあるので
作りこみすぎないようにしています。

それでも面白い見方を話していただけて
ホストである我々が驚くことばかりでした。

〇同じことが2回目の試演会にも言えます。
現地で参加した方と、Zoomで参加した方と混在する回でした。
しかも扱う絵は1回目と同じ。
反省を活かして4枚から3枚に減らして、時間を十分にとっています。

同じ絵を扱ったとき
参加者がちがうと、ここまで見え方が変わってくるのか!
と私は感心しっぱなしでした。
特によく知っていると思っていた相手から、予想外の答えが返ってくると
実はそんなふうに見えていたんだ~と気付きがあり
相手のことをもっとよく知りたいと感じるようになりました。

参加者のひとりから、前日は休肝日だったせいでボトルを見るとワインに見えるというお話もあり
参加者自身の体調や気分で見え方も変わるかもしれないねーと、ひと笑い。
対話型美術鑑賞の面白さを再発見することになりました。

Zoom操作に慣れてきたYUKIも、ようやく楽しむ余裕が出てきて
「楽しい」という気持ちは伝播するものだと感ずる」と振り返りました。

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参加者からの感想もありがたく頂戴しました・・・!
・いろいろうまく聞いてくれて、自分だけで見ていたら気づかないところに気づかせてくれたのがよかった
・残っているものを手掛かりに、人間の真実に迫っていく発想は演劇的かも
・絵を見て自分でじっくり考えるって貴重
・自分はこう思うけど、この人はこう思うんだとあらためて感じることができて、それを知る・感じる体験は楽しい

活動をとおして

人前でやることが一番難しい分、やりがいもあるのですが
とにかく準備期間に手間がかかることが、よーーーーく分かりました。
・・・しごく当たり前のことを言っています。

私もYUKIも離れて暮らしているので、打ち合わせは基本的にZoomです。
しかしZoomで画面共有できない範囲については
「今どんな画面になってんの?」と、それはもうLINEなんかを駆使しまくります。
還暦を迎えた年長者に、新たな機能のことを伝えるのは骨が折れますが
それでも習得してくる粘り強さみたいなものを見せつけられると
なんだか、とても、ほっこりします。負けていられません。

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同時に対話型美術鑑賞については私の方が教わることばかり。

ようやくこの年齢になって、母と娘が対等に物事に打ち込めるようになったこと
個人的にはこれがとても健全で、ありがたいことに感じています。
コロナ禍でも、しょっちゅう連絡とる口実ができたと思えば
なかなか、いいおうち時間を過ごせているのではないでしょうか。


いずれは対面で、参加者と体を動かしながら
絵のワンシーンをつくるアソビをしたいところですが
今はオンラインも上手に使いながら
「対話する」ことで互いを尊重し合う鑑賞方法
絵は魔法のかがみのプログラムを広げていきたいと思います。

やってみたーいという方は、個人単位でも受け付けているので
ぜひお声がけくださいませ。

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