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大人のホーム・アローン『ランボー ラスト・ブラッド』

【基本情報】

 原題:Rambo: Last Blood
製作年:2019年
製作国:アメリカ
⠀ 配給:ギャガ

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:14/74
痛々しさ😖:★★★★★
⠀ ⠀ 興奮🤩:★★★★☆
⠀ ⠀ グロ🤮:★★★☆☆
⠀ ⠀ 衝撃😳:★★★☆☆
⠀ ⠀ 哀愁😞:★★★☆☆

【ストーリー】

ジョン・ランボー(シルヴェスター・スタローン)はアリゾナで牧場を営みながら、古くからの友人マリア(アドリアナ・バラッザ)と、その孫娘ガブリエラ(イヴェット・モンリール)と平和に暮らしていた。

ある日、マリアは自分を捨てた父親がメキシコにいると知り、家族の反対を押し切ってひとりで会いに行くも、そこで人身売買カルテルに拉致され、薬と売春でボロボロに。

彼女の救出と敵への復讐を果たすため、再びジョン・ランボーは立ち上がる。

【感想】

今回のランボーはいい意味でこれまでのランボーとは大きく異なる内容だったと思います。最大の特徴は“復讐劇”であったこと。これまで、そんなに個人的な感情で動くことがなかった彼が、初めて自分や自分の愛する者の受けた痛みを敵にそっくりそのまま返そうとしていたので。

過去シリーズを観ていないとわからないと思いますが、そもそもジョン・ランボーはかわいそうな人なんですよ。
ベトナム戦争の帰還兵で、戦争に負けて帰ってきては反戦デモの罵声を浴びせられ、戦場では100万ドルの兵器を扱ったのに、帰還後は駐車係の仕事すらできない。戦場には気の合う仲間がたくさんいたのに、国では独りぼっち。さらに、親友の無残な死もあって戦争のトラウマが抜け切れず、惨めな想いをしているのが彼なんです。
もちろん、これは映画の中の設定ではあるんですが、戦争後遺症に悩まされる人は、少なからず同じ状況だったと推測します。

1作目では、普通に道を歩いていただけで不審者扱いされ、警察に捕まり、そこからの逃亡劇。何も悪いことをしていないのにこの扱いで、ランボーはひどくショックを受けます。

2作目以降は、その戦闘スキルを買われて戦場に派遣され、『メタルギアソリッド』のようなスニーキングミッションをこなしつつ、派手にドンパチやるアクション映画へと変わっていきました。

そして、今作。ランボー初の復讐劇となりますが、とにかく、戦闘シーンの痛々しさがこれまでで一番大きかったと思います。表現としては前作もかなりスプラッターだったんですが、今回はランボーの怒りが詰まっている分、余計に生々しい部分が多かったです。

さすがに歳もあるのか、自ら肉弾戦を行うことはほとんどなかったのですが、これまでのスキルを総動員して自宅に様々な仕掛けを施すシーンは、まるで「大人のホーム・アローン」のようでした。

地雷の設置はもちろんのこと、ドアを開けると矢が飛んできたり、落とし穴に落ちると串刺しになったり。罠にハマったらそのままでも十分に致命傷なのに、さらに追加でヘッドショットなんてしちゃうもんだから、ランボーの憎しみの深さは計り知れません。

ラスボスとの戦いは、あまりにも惨くて、観ているこっちが背中に寒気が走るほどでした。観ていて「イタタタタタタタ」っていうぐらい(笑)

すべての戦いが終わった後の彼に漂う哀愁は、シリーズすべてを観ている身からしたらかなり感慨深いものがありましたねー。

なぜなら、彼はずっと愛されたかったのだから。ベトナム戦争から帰ってきて、彼が一番望んだのは、自分たちが母国を愛したように、国からも愛されることだったんですよ。それが、血は繋がっていないとはいえ、家族というものを持てて穏やかに暮らすことで、少しは叶っていたと思います。

だからこそ、それが奪われたときの怒りは相当なものだったろうし、彼の中に巣食う鬼が表出することとなったんでしょうね。

この映画はこれだけ観ると「筋肉おじさんのホーム・アローン」になってしまいますけど、過去作を観てからだとまた違った感じ方があると思います。アマゾンプライムに全部あります(笑)

【その他】

僕はね、みんなもっとシルヴェスター・スタローンに敬意を表すべきだと思います(笑)だって、38年近く前に始めた筋肉アクション映画をいまだにやってのけるのだから(しかも、前作から12年も経ってます)。
34歳から始めて、、、今73歳ですよ、、、?

さらに、彼は『ロッキー』シリーズだけでなく、この『ランボー』シリーズもすべて自分で脚本を書いているんですよ。どうやったら自分が一番かっこよく映るかわかってるんですよね。

今回の映画のために『ランボー』の過去作全部観ましたが、どの作品もすごく面白くて、スタローン氏に対する尊敬度がますます高まる今日この頃です。

ちなみに、同様にアーノルド・シュワルツェネッガーも尊敬しまくりです。
彼も1984年に始めたターミネーターを2019年になっても続けていますから。

表舞台に立ってここまでアクションを続けて大ヒットを飛ばせる人、そうそういないんじゃないでしょうか。
スタローン氏とシュワちゃんは、筋肉アクションを広く知らしめ、筋肉に対する憧れを作った気がします。

どこぞの企業があらゆる人の暮らしを豊かにするために、「ライフエンジン」や「ライフウェア」って言っていましたが、彼らはまさに「ライフマッスル」ですね。

なお、今そのポジションを担っているのは、ドウェイン・ジョンソンだと思ってます。


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