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男ども覚悟しろ。女性を舐めていた男たちに一矢報いる反骨精神がバチクソかっけぇ『テルマ&ルイーズ 4K』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:13/37
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:Thelma & Louise
  製作年:1991年
  製作国:アメリカ
   配給:アンプラグド
 上映時間:129分
 ジャンル:ロードムービー
元ネタなど:なし

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
平凡な主婦のテルマ(ジーナ・デイヴィス)とウェイトレスのルイーズ(スーザン・サランドン)は週末のドライブ旅行に出発。その途中、立ち寄った店の駐車場で テルマが男に襲われそうになり、助けに入ったルイーズが護身用の拳銃で男を射殺。

さらに次から次へとトラブルが重なり、 警察に指名手配された2人は、車でメキシコを目指し逃避行を続けるうちに、自分らしい生き方に目覚めていく……。

【感想】

あの名作が4Kとなって復活したのでうれしい限りです。主婦であるテルマとルイーズの友情と冒険の物語が最高に面白い!これはぜひ女性に観てほしい映画ですね。

<監督がまさかのあの方>

この映画、いろいろ語りたいことがあるんですけど、やっぱり監督がリドリー・スコットっていうのが一番意外ですよね。だって、この映画の前に彼が作った作品って『エイリアン』(1979)に『ブレードランナー』(1982)、『ブラック・レイン』(1989)と、暗い雰囲気のSFやアクション映画なんですよ。それがここにきてまさかの主婦2人のロードムービー。方向性が違いすぎてビビります(笑)監督の振り幅の広さがすごい。

<1991年にこれを作ったことの意味>

この映画は主婦のテルマとルイーズがひょんなことから徐々に犯罪に手を染め、それでも自分たちの生き方を模索していく話なんですけど、1991年にこういう話の映画が作られたっていうのが大きな意味があるんじゃないかなと思います。というのも、当時は今よりも専業主婦が多かったでしょうし、女性は男性の言うことを聞くものっていう構図が普通にあったんじゃないですかね。それは、劇中での男性陣のセリフからも女性を舐めているなってのがわかりますけど。現代だったら性差別の是正は(少なくとも当時よりは)進んでいますし、女性も発言権が増えてきたので、今この映画があってもそこまでのインパクトはなかったかもしれません。それが、1991年という時代の中で、女性だからって何かに縛られることなく自由に生きていくというふうに描いたのは、現実にそうでなかったからこそ、映画の中に夢を見たのかもしれませんし、近い将来女性もそうなるんだっていうメッセージだったのかもしれません。

<設定が秀逸すぎてストーリーにメチャクチャ引き込まれる>

当時としてはなかなか画期的な映画だったと思いますが、そもそもストーリー的にものすごく面白いんですよ、これ。主婦2人がたまには夫から離れてハメを外そうぜっつってドライブに行こうとするんですが、その計画は映画の序盤で頓挫しちゃいます。道中、たまたま寄ったバーでテルマが店の客にレイプされそうになって。間一髪のところでルイーズが銃を突き付けて未遂に終わるんですが、男が「しゃぶれ」だの「早く突っ込んどきゃよかった」だの言うから、カチンときて銃殺しちゃうんですよ。これでもう楽しい旅行は夢のまた夢で、警察からの逃避行へと変わっていきます。あんなに楽しそうにドライブを満喫していた2人が、一気に地獄へ突き落されたようなこの突然の展開、それだけで興味わきますよね!

<キャラクターの変化が一番の見どころ>

登場するキャラクターも最高なんですよ!テルマはちょっと抜けているところがあって普通の女の子って感じがする一方で、ルイーズはいつも冷静でテルマを引っ張っていくお姉さんって印象ですね。テルマを演じた当時のジーナ・デイヴィスがすごくかわいくて、今でいうキャメロン・ディアスとクロエ・グレース・モレッツを足して2で割ったような雰囲気があるんですが、これが男に目がなくて、それでいて男を見る目がない役どころなんですよ(笑)道中で知り合ったヒッチハイカーのJ.D.とよろしくやったと思ったら、有り金全部盗まれたりして。そのJ.D.を演じているのが、当時まだ無名だったブラピっていうのも注目ポイント。腹筋バキバキでメチャクチャかっこいいんですが、なんか声が高いのが気になります(笑)話は逸れましたが、そんな何かとやらかしちゃうテルマなんですけど、いざというときには度胸あるぶっ飛んだ行動を見せてくれて、そのギャップも好きでしたね~。

逃避行を続けていく中でいろいろ罪を重ねていくテルマとルイーズですが、だんだんと慣れてくるのか、ヤケクソになってくるのか、物語の終盤ではだいぶたくましくなってます(笑)スピード違反で取り調べをしにきた警察官を返り討ちにしたり、下品なことを言ってくるトラックのおっさんを降ろさせた後に態度が気に食わないってんでトラックを爆破したり。これまで散々自分たちをバカにしてきた男たちへの鬱憤を晴らすかのようでスカッとします。物語序盤では、まさかこの2人がここまでたくましくなるなんて思わないですから、このキャラクターの成長というか変化は見どころですね。

<映画史に残るラストシーン>

警察から逃げ続けたテルマとルイーズですが、最後の最後で絶体絶命のピンチに陥ります。これはネタバレになるので割愛しますが(とはいえ、昔の映画なので調べたらすぐに出てきますよ)、テルマとルイーズのあの潔い行動は映画史に残りますよ。女だからって何かに縛られたくないっていう強い意志の表れなんだと思いますが、あの衝撃的なラストは一度観たら忘れられませんって。

<クソみたいな男ばかりじゃない>

そういえば、ここに出てくる男はみんなロクなやつがいませんでしたけど、2人を追っていた刑事のハル(ハーヴェイ・カイテル)だけは違いましたね。最初は2人を捕まえるために都合のいいことを言ってるだけなんじゃないかと思ったんですが、彼はルイーズの過去(メキシコでレイプされたらしい)を知っていて、今回の件も慎重に扱うべきだと強く主張していたんですよ。さもなければ2人とも死ぬことになるって。彼だけは行く末が見えていたんでしょうね。ルマとルイーズを始め、まわりの警察官も誰も聞く耳を持ちませんでしたが、ハルだけは本当に2人を救おうとしていたのかもしれません。男もクソ野郎ばかりじゃないよっていう唯一の救いの存在でしたね。

<そんなわけで>

ストーリーもキャラクターも最高ですし、男どもをギャフンと言わせる主婦2人が大活躍する話なので、特に女性に観てほしい映画です。何かに縛られることなく自由を手にしたいという心の奥底にあった想いが、この冒険を通じて徐々に膨れ上がっていき、あんな形で実現してしまうという結末をぜひその目で観てください。


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