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知られざる愛を知ったとき、驚きと感動が押し寄せてくる、、、かもしれない『そして、バトンは渡された』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:154/227
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】

ヒューマンドラマ
親子愛
離婚
再婚

【元になった出来事や原作・過去作など】

・小説
 瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』(2018)

【あらすじ】

血の繋がらない親に育てられ、4回も苗字が変わった森宮優子(永野芽郁)は、わけあって料理上手な義理の父親、森宮さん(田中圭)と2人暮らし。今は卒業式に向けピアノを猛特訓中。将来のこと、恋のこと、友達のこと、
うまくいかないことばかり…。

一方、梨花(石原さとみ)は、何度も夫を替えながら自由奔放に生きる魔性の女。泣き虫な娘のみぃたん(稲垣来泉)に目いっぱい愛情を注いで暮らしているようだったが、ある日突然、愛娘を残して姿を消してしまった。

そして、優子の元に届いた一通の手紙をきっかけに、まったく別々の物語が引き寄せられるように交差していく。

「優子ちゃん、実はさ…。」

森宮さんもまた優子に隠していた秘密があった。

父が隠していたことは?梨花はなぜ消えたのか?親たちがついた〈命をかけた嘘〉〈知ってはいけない秘密〉とは一体何なのか。2つの家族がつながり、やがて紐解かれる《命をかけた嘘と秘密》。

物語がクライマックスを迎えたとき、タイトルの本当の意味を知ることになる。

【感想】

親子の深い愛を描いた感動ストーリーでした。原作の小説は未読なんですけど、最後まで観てようやくすべてを知ることができる形ですね。逆に言ってしまえば、最後まで観ないと大事なところがわからないっていうことでもあるんですが(笑)この物語に驚きと感動を禁じ得ない人は少なくないでしょうね。

<驚きと感動を推してはいるが……>

あらすじにもある通り、この映画、〈命をかけた嘘〉と〈知ってはいけない秘密〉という、「サスペンスか!」っていうぐらいの含みを持たせているんですよ。そこから、驚きと感動へ繋げているんですが、正直、個人的には言うほどかなって感じでした。これはちょっと予告で期待させすぎた感はありますね。

いや、ストーリー自体はよかったんですよ。2つのエピソードが並行して進んでいき、映画が始まってちょうど半分のところで、"あること"をきっかけに交差します。そこから最後に至るまでの優子の身に起こることは、確かに驚きと感動の連続と言えるかもしれません。

<わかりやすすぎるヒント>

ただですね、、、〈命をかけた嘘〉や〈知ってはいけない秘密〉とは言うものの、作中でのヒントがわかりやすすぎて、先の展開が読めちゃうんですよ(笑)「はい、フラグ立ちましたー」ってピンとくる人もいるでしょう、これは。だから、驚きと感動とは言いつつも、心の準備ができすぎているから、完全に予定調和になってしまいましたね。

特に、映画をよく観る人たちからしたら、同じようなジャンルの映画も何本も体験していることでしょう。こうやって、2つのエピソードが並行している時点で、その関係性を予想すると思うんですよね。全然接点はないけど、何か共通した問題を抱えている人たちの話なのか。片方のエピソードが動いている同じ空間、別の角度でもうひとつのエピソードが動く話なのか。時間軸が違ってて、どちらかが過去、どちらかが未来なのか。サスペンスじゃなくても、こういうシチュエーションのときって、ある程度予想しながら観てて、その通りに進むと、「あー、やっぱり」と驚きや感動が減っちゃうときがあります。今回はまさにそれでしたかねー。むしろ、わざとわからせるためにそう作ってると思いました。

<梨花の行動にモヤモヤ>

梨花の行動の動機がずっとわからないってのもモヤモヤするところです。再婚相手の連れ子にとんでもない愛情を注ぐ動機や、消息を絶つ動機など。もちろんあるんですよ?あるんですけど、最後にならないと明かされない設定があって、それを知らないと明確にわかりません。それはもう、、、最後まで観るしかないですよね(笑)それでも、「そうだったのかー!そうだよね、そういう事情があるならね、、、」と感動するよりは、「うん、そりゃわからんわ」ってツッコミたくなる感じでしたけど(笑)

<優子の友達関係>

ツッコミたくなるところと言えば、優子の友達ですよ。優子は何かと男子生徒と接点を持ちやすいところがあって、それをよしとしない女子グループから嫌味を言われるんですよ。ところが、彼女の家庭の事情を知った途端、みんな急に優しくなっちゃって。「これ絶対裏があるだろ」って思いながら観てたんですが、全然。本当に仲良くなっちゃって。「あんた、自分が悲劇のヒロインだとでも思ってんの?だからっていろんな男子にちょっかい出してんじゃねーよ」ぐらい言って欲しかったんですけどね(笑)友達関係の悩みの解決の早さがハンパないなって。そもそも家庭の事情を他の生徒に話しちゃう先生っていいのかな?とも思いましたけど。

<田中圭に高校生の娘の違和感>

あと、これは僕の場合はっていうことでしかないかもしれませんが、いくら再婚とはいえ、自分と同い年の役者さんに、高校生の娘さんがいるっていうのは、ちょっと不自然に感じてしまいました(笑)全然親子に見えないっていう。兄弟設定とかの方がまだ共感できたかもしれませんけど。

<その他>

つまらなくはないですし、感動ストーリーだっていうのもわかりますが、総じて、若い子とか普段映画をそこまで観ない人の方が、この映画は感動的に映るかなって思いますね。いろんな映画に触れまくっている人からしたら、ちょっと予想通りすぎる部分はあるかもしれません。まあ、これは、映画よりも小説の方が面白そうな気がします。

それにしても、こういうときの永野芽郁ちゃんはかわいいですね。まさに国民の娘です(笑)


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