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AIの持つ人知を超えた深い愛情に感動する『アイの歌声を聴かせて』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:29/228
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【要素】

アニメ
ヒューマンドラマ
ミュージカル
AI
ロボット

【元になった出来事や原作・過去作など】

なし

【あらすじ】

景部高等学校に転入してきた謎の美少女、シオン。彼女は抜群の運動神経と天真爛漫な性格で学校の人気者になるが…実は試験中の【AI】だった!

シオンはクラスでいつもひとりぼっちのサトミの前で突然歌い出し、思いもよらない方法でサトミの“幸せ”を叶えようとする。彼女がAIであることを知ってしまったサトミと、幼馴染で機械マニアのトウマ、人気NO.1イケメンのゴッちゃん、気の強いアヤ、柔道部員のサンダーたちは、シオンに振り回されながらも、ひたむきな姿とその歌声に心動かされていく。しかし、シオンがサトミのためにとったある行動をきっかけに、大騒動に巻き込まれてしまう――。

ちょっぴりポンコツなAIとクラスメイトが織りなす、ハートフルエンターテインメント!

【感想】

やっぱり日本のアニメは面白いですなー!僕は小さい頃からアニメが好きだったので、ハリウッドのスーパーヒーロー映画同様、個人的な評価は高くなりがちですけど、これは普通に面白いと思いました。アニメだからこそ許されるテンポやノリが気持ちよくて、最後まで飽きずに観続けられるのがこの映画のよいところ。ハリウッドだったら実写でやってしまいそうですけど(笑)

<ちょっぴりポンコツなAI、、、あれ、どこかで、、、>

この映画、偶然にも、先日公開された『ロン 僕のポンコツ・ボット』と同じで、ちょっぴりポンコツなAIを題材にした内容なんですよ。しかも、『ロン~』もこの映画も、持ち主(および人間)を幸せにすることが目的なのは共通していて、どちらも主人公がAIとの交流を通じて、まわりを巻き込み、いつの間にかリアルな人間の友達もできているという設定も似通っています。まさに、AI映画の日米対決みたいですね(笑)

違いを挙げるとすれば、『ロン~』はより冒険的な印象で、AIまわりの設定は現実的。一方、『アイ~』はラブストーリーの要素も入れ、AIが自我を持つ点で少しファンタジーっていうぐらいですかね。僕はどちらかと言えば、『ロン~』の方が男の子向きな感じがして好きですが、もう好みの問題ですね。どちらも面白くて好きです!

<田園風景と最新テクノロジーというギャップ>

本作の時代としてはけっこう近未来な感じです。海も見えるのどかな田園風景が広がる田舎町が舞台なんですが、異様にAI技術が発達しており、例えば、見た目は伝統的な日本家屋でも、中はほとんどAI制御です。『アイアンマン』に出てくるAIのジャーヴィス(後のヴィジョンですが)のようなスムーズな音声認識が実装されています。声ひとつでカーテンは自動で開くし、ご飯も炊けちゃう。家を出れば「いってらっしゃい」というAIの声が。田植えもロボットが行い、町を走るバスも自動運転。学校に行けば、自動掃除ロボットや柔道部の練習ロボットが完備されています。

それもこれも、田舎町に似つかわしくない高層ビルを持った"星間エレクトロニクス"が製造しているんですね。学校に通う生徒の親たちの多くはこの企業に務めているようです。田舎町に最新テクノロジーというギャップ、とても見映えがして面白かったです。

<オーソドックスな学園モノ×AIという組み合わせ>

ストーリーとしては、シオンがサトミの幸せのために奔走し、それにまわりが巻き込まれていく青春物語が基本です。友達関係や恋愛の悩みなど、学園モノあるあるなエピソードの数々。そこに、人間ではないからこその突拍子もないシオンの行動が入ることで、最初は面食らっていたまわりも、徐々に慣れてきて、悩みも解消されていくっていう流れはオーソドックスでわかりやすいですね。

でも、それだけでは終わりません。後半ではシオンの知られざる設定も明かされ、ラストに向かって怒涛の展開が待ち受けています。ここがもう興奮と感動の嵐で、本作のクライマックスと言えるでしょう!詳しく書けないのが心苦しいですが、ぜひ劇場でその目に焼き付けて欲しいです。学園モノから一気に変わりますから。

<歌の持つ意味>

この映画で一番の特徴的なところと言えば、やっぱりシオンが歌うシーンでしょう。別に歌が題材の話ではないですが、シオンが所構わず歌い出すのは、ミュージカル映画っぽい作りだと感じます。しかも、歌っているのはシオンの声優を務めた土屋太鳳本人。聴きやすいメロディーと綺麗な歌声は極上の癒しですね。なんで歌ばかり歌うのかっていうのは、物語の中で明かされていくのでここでは書けませんが、そこもまた感動ポイントのひとつです。

日本ってなかなか実写でミュージカルがないのは、歌って踊れる役者さんが(テレビや映画には)いないからかなーって思っていたんですが、この映画を観て「ここにいた!」って感じました。「土屋太鳳、いけんじゃね?」って(笑)むしろ、実写よりはアニメの方がミュージカルやりやすそうですよね。声優さんの方が歌はうまそうですし。

<その他>

個人的には、アニメキャラはこういうリアル頭身のデザインが好きですし、歌や画の綺麗さもあって、総じて面白い映画だと思います!学園モノを主軸にしつつ、AIによるドタバタ劇からの感動的な流れ、さらには汚い大人たちを敵として、主人公たちと対立構造を作るやり方もよかったですから。これはオススメします。アニメ好きでもそうじゃなくても楽しめますよ!

あー、こうやって自然に会話できるAIが一般に普及するのはいつのことでしょうね。それまで生きてみたいです。


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