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【ネタバレあり】出産予定の人は鑑賞注意。48年の時を経てようやくシリーズの謎が解けた『オーメン:ザ・ファースト』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:30/37
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★☆

【作品情報】

   原題:The First Omen
  製作年:2024年
  製作国:アメリカ
   配給:ディズニー
 上映時間:118分
 ジャンル:ホラー
元ネタなど:映画『オーメン』シリーズ(1976-)

【あらすじ】

※映画.comより引用。
アメリカ人のマーガレット(ネル・タイガー・フリー)は新たな人生を歩むべくイタリア・ローマの教会で奉仕生活を始めるが、不可解な連続死に巻き込まれてしまう。

やがて彼女は、恐怖で人々を支配するため悪の化身を生み出そうとする教会の恐ろしい陰謀を知る。

全てを明らかにしようとするマーガレットだったが、さらなる戦慄の真実が彼女を待ち受けていた。

【感想】

オーメン』シリーズ第6作目にして、1作目の前日譚。なんで今までこれを作らなかったのか謎なぐらい、長年のモヤモヤが晴れるような内容でした。個人的にはシリーズで一番怖くて面白かったです!ただ、悪魔の子ダミアン誕生の秘話に迫るので、これから赤ちゃんを産む予定がある人には少々ショッキングかもしれませんのでご注意をば。

<ダミアン誕生の謎がついに明かされる、、、!>

この映画を鑑賞するにあたって過去作を全部観たのですが、シリーズを通してわからなかったのが、「ダミアンって結局なんなの?」ということでした。6月6日午前6時に生まれた悪魔の子で、彼を取り巻くまわりの人間が次々に怪死していくのですが、ダミアンの正体も目的もずっとわからなかっったんですよね。それがこの映画でようやく判明します。以下、ネタバレになりますのでまだ知りたくない方はここでページをそっ閉じしてください。




















<元凶となる存在を明示することで一気にわかりやすくなった>

この映画、諸悪の根源は教会だったんですが、そうすることで一気に理解が深まりました。もともと教会は信仰によって人々を支配し、絶大な影響力を持っていたわけですが、時代の移り変わりと共に人々の信仰心が薄れ、教会の権威が失われつつありました。それを取り戻すために新たな"悪"を生み出し、再び人々に信仰心を持たせて支配しようと画策していたのです。

過去作では、ダミアンは山犬(ジャッカル)の子供とされていました。それは、キリスト教では山犬が邪悪な存在とされていたから。でも、「犬がどうやって人間の子供を生むのか」っていう疑問がずっとありまして。今作では、生贄とされた女性たちと山犬を強制的に交わらせ、子供を宿していたようなんですよね。遺伝子的に異なる生物の配合は種を残せないはずなんだけど、まあそこは映画ということで(笑)ただ、ここはもう人体実験に近く、生まれてくる子供は身体的欠損や疾患があり、生まれてもすぐに亡くなることが多かったんですよ。ここらへんは写真でしか出てきませんが、人としての形から逸脱した赤ちゃんの姿が多数出てくるので、けっこうエグいです。。。

そんな中、ようやく健康体として生まれた赤ちゃんがいて、それが後にダミアンの母親となるわけですね。物語の終盤ではついにダミアンが誕生するシーンが描かれますが、それまでずっとぺったんこだったお腹が急に膨れ上がって出産しちゃうというファンタジーな設定はちょっとおかしかったです(笑)しかし、ここもけっこうえげつない描写があるんですよ。生まれた子供は男の子と女の子の双子だったんですが、教会が求めていたのは男の子のみ。女の子および母親にはもう用はないので、男の子を抱き上げると、しばらく女の子と母親は放置されてしまいます。泣き叫ぶ赤ちゃんを放置するところは、子供を持つ身としてはけっこう心が痛むところがありましたね。で、最終的には残る2人は抹殺命令が出て、まわりに火を放たれてしまいます(ま、間一髪で助かるんですが、続編があるとしたら伏線にはできそうです)。

待望の男の子の行く末は、1作目の『オーメン』(1976)へと繋がっていきます。駐英大使という国に対して影響力を持つ家庭に養子に出され、そこで育ててもらうわけですね。写真のみの出演ではありましたけど、当時その大使を演じたグレゴリー・ペックが映ったときはちょっと感慨深い気持ちになりました。

<絶対的な存在だからこそ黒歴史がある?>

この映画を観て思ったのは、現実にもキリスト教や教会って、掘れば意外と黒い歴史があるんじゃないかなということです。絶対的な力を持っているからこそ、誰も逆らえず、独自の文化や社会が築かれ、それは外から見たらおぞましいものだったということもあるかもしれません。特にアメリカはキリスト教が根付いているので、こういうホラー映画では必ずと言っていいほどネタとして使われますよね(『エクソシスト』(1973-)シリーズ然り)。

日本でいうと神社とかが教会に当たるんでしょうか、、、?日本ではあまり宗教が根付いていないからか、ホラー映画でも仏教やら神社がメインになることってほとんどないですよねー。そういうのがあっても面白そうだとは思いつつ、親近感がないため観たいと思う人はそんなに多くなさそうですが、、、日本における宗教観を問う形にはできそうです。

<そんなわけで>

長年の謎を解く設定が与えられてようやくスッキリできる映画でした。ジャンプスケアもちょいちょいあって、鑑賞中に何回かビクッってなるぐらいには個人的には怖かったです(笑)赤ちゃんにまつわるエグいシーンもあるので、出産予定のある人にはちょっと辛いかもしれません。


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