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ジャッキー・チェン映画史上最も泣ける!相棒の馬や娘との交流に涙し、自らの価値観をアップデートできる姿に感銘を受けた『ライド・オン』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:8/68
  ストーリー:★★★★★★★★★★
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★★
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★★★★★★

【作品情報】

   原題:龍馬精神(Ride On)
  製作年:2023年
  製作国:中国
   配給:ツイン
 上映時間:126分
 ジャンル:ヒューマンドラマ、アクション
元ネタなど:なし
公式サイト:https://ride-on-movie.jp/

【あらすじ】

※映画.comより引用。
かつて香港映画界伝説のスタントマンと言われたルオ・ジーロン(ジャッキー・チェン)。現在は第一線から退き、愛馬のチートゥとともに、エキストラなどの地味な仕事をこなす日々を送っている。

債務トラブルをきっかけに、チートゥが競売にかけられることとなったルオは、苦肉の策で遠縁になっていた法学部の学生である一人娘のシャオバオ(リウ・ハオツン)に助けを求める。そんなルオに、愛馬との共演というスタントマンのオファーが舞い込んでくる。

年齢的にも危険をともなう撮影だったが、ルオはチートゥを守るため、危険なスタントシーンに挑戦していくこととなる。

【感想】

ジャッキー・チェンのデビュー50周年映画!なんだけど、チラシにあるように「アクション超大作」というのはちょっと語弊があるかもしれません。アクションもあるっちゃあるけど、この映画のメインは何と言っても感動のヒューマンドラマなんですから。泣きました、今までのジャッキー・チェン映画の中で一番泣きました。。。

<最悪の関係値から始まる父娘>

今回の映画、推したいところがたくさんあるんですが、まずは父と娘の関係性が見どころですね。長年、スタントマンとして活躍してきたルオ。仕事にかまけて妻からは離婚を切り出され、娘のシャオバオともしばらく音信不通状態。だって、妻の葬儀にも出られなかったほどですから。相当娘からは嫌われています。そんな彼が、息子のようにかわいがっていた馬のチートゥの所有権が奪われてしまう危機に瀕し、娘を頼ることから物語は始まります。

これまで培ってきたキャリアから自分のやり方に固執してきたルオと、家族をないがしろにしてきた父にわだかまりを感じている娘。ちょっとやそっとじゃ仲良くなれなそうな中、母の「父と仲良く」という遺言のためにがんばって父に歩み寄ろうとする娘の方が大人に見えましたね。この2人がどう関係を修復していくかというのは、この映画の見どころのひとつでもあります。

<人間と馬の友情に涙>

父娘だけでなく、人間と馬の関係性ももうひとつのメインエピソードです。これは、よく人間と犬の交流を描いた映画なんかがありますけど、まさにあんな感じでした。スタントマンという仕事柄、犬を馬に置き換えたもので、オーソドックスな設定ではあるものの、まさかジャッキー・チェンの映画でそれをやるとは思わず、その意外性もあって★10個。人間と馬、種族の垣根を超えてお互いを信頼し合い、命懸けでスタントをこなしつつも、別れのときが刻一刻と迫っているという展開が見ごたえありましたね~。別れのシーンなんか今年一番泣いたんじゃないかってぐらいもう涙がボロボロと。。。犬はよく人間の言うことを理解し、表情なんかも豊かに見えるんですが、馬もまたドラマを作れるんだなっていうのがこの映画を観るとよくわかります。

<あのジャッキー・チェンをして価値観の変化を受け入れる>

そして、実はここが一番の注目ポイントなんじゃないかって思うんですけど、ルオの価値観の変化を僕は推したいんですよ。ルオはスタントマンとしての一定の地位を築いてきたこともあって、自分のやり方を変えようとしませんでした。それは、仕事で「No」は絶対言わず、まわりのことは顧みずに死ぬまで体を張りまくるというものです。でも、シャオバオやチートゥとの関わりを通じて、自分をもっと大事にすること、そして身のまわりの人も大事にすることに気づき、考えを改めるようになるんです。年を重ねるとなかなか自分の価値観を変えることが難しくなっていきますけど、それをジャッキー・チェンを通じて体現することにとても意味を感じられたんですよね。

大きな意味を感じたのは、前提としてそれまでひとつのやり方をずっと貫いてきたからってのもあると思います。劇中、ルオとシャオバオが過去のルオの作品を観るシーンがあるんですが、それはルオがスタントマンとして活躍したというていで、ジャッキー・チェン自身が出演した数々の名作が映し出されるんですよ。高いところから落ちたり、走行中のバスにひっついたり、全身火だるまになったり。往年のジャッキーファンならそれだけでも感慨深い気持ちになるでしょうけど、彼がここまで命を懸け続けてきたんだという事実にとても胸が熱くなりました。ルオにはスタントしかないから、年をとっても誇りを持ってやり続けるし、それが彼なりの家族への愛情表現だったんですよ。今までずっと同じやり方をやってきたからこそ、ここにきて自分や自分を取り巻く人々のことに目を向けるようになるっていう変化が深いなと思いましたね。ここはもうジャッキー・チェンというより、スタントマンという仕事への敬意と愛を感じられたところでもあります。『カンフースタントマン 龍虎武師』(2023)と併せて観るとより楽しめるかもしれません。実際にジャッキー・チェンがそういう価値観の変化というか、スタントへの向き合い方に変化があったのかはぜひ聞いてみたいとろこです。

<そんなわけで>

まさかジャッキー・チェンの映画でこんな感動的なヒューマンドラマになるとは思わなかった意外性抜群の作品でしたね。その分、アクションはやや少なめではありましたけど、それでもあの素早い身のこなしによる格闘シーンは健在でかっこよかったです。ジャッキー・チェン、もう70歳ですよ(笑)よく見ると二の腕の筋肉とか発達してるんで、やっぱり鍛えてるんだな~って思いました。

ちなみに、、、今回はジャッキー・チェン本人の舞台挨拶付きだったので、小さい頃から憧れていた生の本人を拝めて感無量でした。軽快な受け答えでちょいちょい日本語も入る上に、歌までうたうのでおかしくておかしくて(笑)司会の伊藤さとりさんの進行もよかったこともあってか、30分近くけっこう長々と話してくださって、メチャクチャ有意義な時間でした。本人は休む暇があまりなく、「インタビュー、インタビュー、インタビュー、ホテル、寝ル。デ、マタインタビュー、インタビュー、インタビュー」で「トッテモ忙シイ」なんておっしゃってましたけど(笑)今後も1年に1本は面白い映画を作りたいと意欲を見せていて、僕も年齢を理由にしちゃいけないなって痛感しました。

上映後に舞台挨拶がありました。

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