日本初のeスポーツ映画だけど、eスポーツの面白さも映画の面白さも感じられなかった『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』
【個人的な満足度】
2024年日本公開映画で面白かった順位:25/25
ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★☆☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★☆☆☆
【作品情報】
原題:-
製作年:2024年
製作国:日本
配給:ハピネットファントム・スタジオ
上映時間:122分
ジャンル:ヒューマンドラマ
元ネタなど:徳島の高等専門学校を舞台に実在した生徒がモデル
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
「全国高校【eスポーツ】大会メンバー大募集」
勧誘ポスターに興味を持った翔太(奥平大兼)は、このポスターを作った張本人で1学年先輩の達郎(鈴鹿央士)に連絡を取る。
1チーム3人編成の<ロケットリーグ>出場をもくろむ達郎は、人数合わせとしてたまたま席が近かった亘(小倉史也)を残り1枠にロックオン。なかば強引にYESを取り付けてチームが成立!
はじめは全く息の合わなかった彼らだったが、次第に競技に魅せられ、東京での決勝戦を目指す……。
【感想】
今や一般にも認知されるようになったeスポーツ。その日本初の劇映画ってことで観てきたのですが、これがなんとまあ、、、何も伝わってこない映画でして。。。(笑)
<話題のeスポーツを題材にしてはいるけど……>
eスポーツは日本よりも海外の方が盛り上がっていて、特に大会の賞金額なんかは日本のそれとは比べ物にならないほど高額です。本当にスポーツ観戦をしているかのような熱狂もあり、すごくエキサイティングなイベントでもあります。今回、この映画にそういう派手な展開も若干は期待はしたのだですが、、、蓋を開けてみれば徳島の高専生3人がゲームしてるだけのちょっとゆるふわっとした内容でした。
<競技種目となっているゲームは悪くなかったけど……>
劇中で使われていたゲーム自体は悪くなかった。僕はこの映画で初めて知りましたが、『ロケットリーグ』(2015)というゲームで、簡単に言ってしまえば車でサッカーをするようなものです。基本的なルールはサッカーといっしょなので、普段ゲームをしない人でもわかりますし、点の取り合いにおけるハラハラ感もありました。が、せっかく映画館の大きなスクリーンで観るなら、『フォートナイト』(2017)のようなFPSゲームや『ストリートファイターⅥ』(2023)のような対戦格闘ゲームの方を観てみたかったですね~(笑)権利の問題で難しかったとは思いますが、その神プレイなんかを見せてくれた方がゲーム好きも映画館に呼び込めたと思うんですよね。
<動機のなさが諸悪の根源>
ストーリーも単調すぎました。メンバーもすぐに集まり、特に大きなトラブルもなく、トントン拍子に話が進んでいくので。それに加えて、すべてにおいて動機がなさすぎるのもこの映画にハマらなかった要因かなと感じます。なぜ達郎がゲームにのめり込んだのかの理由はあった方がいいと思います。一応、主人公ですし。ケガでバスケを辞めたくだりはありましたが、例えば、もともと彼はバスケのスター選手で注目を浴びていたのにそれがなくなり、ゲームの世界でなら再びそれが得られると思ったから、とか。
翔太もポスターの「勝つとか負けるとかは、どーでもよくて」というキャッチコピーに惹かれてメンバーに志願しましたが、それが刺さる背景が知りたかったです。両親が不仲の描写があったので、例えば、常に「人生の勝ち負け」を親から言われていて辟易していたとか。
一番かわいそうなのは亘です。ただの人数合わせで呼ばれただけなので、人物背景一切なし。しかも、この映画は3人がメインのはずなのに、ポスターでは達郎と翔太がデカデカと載ってるのに対し、亘は卒業アルバムで欠席した人みたいな扱いで。。。
まあ確かに、世の中すべての人が強い動機の下に行動するわけじゃないですし、「適当にやったらなんかうまくいった」みたいなことも多いですが、面白い映画やドラマってそこの動機づけがうまいので、どうしても気になっちゃいました。
こういう映画、ハリウッドはうまく作りそうですよね。アメフト部からいじめられていたゲーマーの主人公がどん底から這い上がる系の話で。ライバルとの敵対関係も交えて。ほどよくドラッグとアルコールとセックスを絡めて(笑)
<そんなわけで>
日本初のeスポーツ映画ってところに釣られて観に行きましたけど、eスポーツらしい要素がほとんどない内容でした。昔、若手起業家を題材にした『スタートアップ・ガールズ』(2019)っていう映画を観たんですが、あれも全然ビジネス感のない薄い内容だった記憶なので、この手の映画って「とりあえずブームだから映像化しておこう」みたいなノリなんでしょうかね。いや、そこに日の光を当てること自体は素晴らしいと思うんですけど、もっと面白い内容であれば、起業家にしろプロゲーマーにしろ、それに憧れる人を増やして、業界全体のイメージアップにも繋がると思うんですけど、どうでしょうか(笑)