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目撃者から共犯者へ。三転四転する目まぐるしい展開とラストの締めくくりが最高に面白かった『ゴールド・ボーイ』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:7/29
  ストーリー:★★★★★★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2023年
  製作国:日本
   配給:東京テアトル、チームジョイ
 上映時間:129分
 ジャンル:サスペンス、ミステリー
元ネタなど:小説『悪童たち』(2021)
      ドラマ『バッド・キッズ 隠秘之罪』(2020)

【あらすじ】

※公式サイトより引用。それは完全犯罪のはずだった。まさか少年たちに目撃されていたとは…。

義父母を崖から突き落とす男の姿を偶然にもカメラでとらえた少年たち。
事業家の婿養子である男は、ある目的のために犯行に及んだのだ。

一方、少年たちも複雑な家庭環境による貧困や、家族関係の問題を抱えていた。

「僕達の問題さ、みんなお金さえあれば解決しない?」

朝陽(13)は男を脅迫して大金を得ようと画策する。

「何をしたとしても14歳までは捕まらないよ。少年法で決まってるから」

殺人犯と少年たちの二転三転する駆け引きの末に待ち受ける結末とは……。

【感想】

※以下、敬称略。
原作小説は未読ですが、二転三転どころか三転四転するストーリー展開とサイコパスすぎるキャラクターたちがメチャクチャ面白い映画でした!!歯止めのきかなくなった少年たちの、あの物悲しくも小気味いい結末がツボります!もともとは中国の小説らしく、それゆえかあまり邦画っぽい感じがしませんでしたね。

<偶然の出来事が運命を狂わせるきっかけに>

冒頭、東昇(岡田将生)が義理の両親を崖から突き落とすという衝撃的なシーンから幕を開けます。誰にも見られていないと思いきや、たまたまその様子をデジカメの動画で捉えてしまった少年がいたのが、彼の運の尽きでしたね。その少年というのが安室朝陽(羽村仁成)。普通なら警察に通報すべきところですが、朝陽含めた3人の子供たちもそれぞれ複雑な家庭の事情を抱えており、お金が必要な状況でした。なので、昇を脅迫することを画策します。朝陽たちは浜辺にいたんですが、昇のいた崖の上からはけっこうな距離があります。まさか浜辺で記念撮影している人たちのカメラに自分の凶行が映り込むなんて思わないじゃないですか。これはもう本当に運が悪かったとしか言いようがないですね。まあ、そもそも人殺しなんてするなよって話ではありますが。

<予測不可能な展開の連続にとにかく引き込まれる>

で、昇は脅迫を受けることになるんですが、相手が子供だからと終始舐めてかかるんですよ。ゆーても相手は中学生。自分の半分の年齢にも満たない子供たちが相手なら、普通はそうなりますよ。ただ、それが彼の油断に繋がります。朝陽はどこか大人びた落ち着きを持ち、悪知恵も働くもんだから、逆に昇の方が徐々に追い詰められてきてしまうんですよ。このまま昇はしてやられてしまうのかと思いきや、途中で朝陽からまさかの提案が持ちかけられ、事態は思わぬ方向に向かいます。

とはいえ、相変わらず昇は朝陽のペースに飲み込まれてはいたんですけど、最終的には年の功もあってか昇の方が一枚上手。むしろ、朝陽たちがやはりまだまだ子供だったというべきか、爪の甘さが出てしまった形で幕を閉じる、、、と思いきや、、、朝陽はさらにその上を行く用意周到さがありました。昇は「大人を舐めんじゃねぇ」と言っていましたが、朝陽からしたら「子供だからって舐めんじゃねぇ」って感じで。この昇と朝陽のサイコパス同士の腹の探り合いが面白かったです。

ネタバレにならないよう詳細は割愛しますが、そんなサイコパスの朝陽に訪れたオチがこれまた痛快というか、まさかたったひとつの"純情"が彼の完璧に思えた計画を崩す一因になるなんて、誰も予想できなかったでしょう。この目まぐるしい展開は本当に引き込まれました。

<思わず見とれてしまうメイン2人の演技>

この映画で注目したいのは、ストーリーの秀逸さももちろんそうなんですが、もうひとつの要素として、昇を演じた岡田将生と朝陽を演じた羽村仁成の演技が挙げられます。岡田将生は『ゆとりですがなにか』(2016)のようにゆるい役もいいんだけど、今回のように不敵に笑みを浮かべるサイコパスな役もすごく似合いますよね~。で、羽村仁成はまた違ったタイプのサイコパスで、表面的には普通を装いながらも、その実態は感情が欠落したような、人の命を何とも思っていないような人格にゾッとしました。この2人の振り切ったキャラクターも本作の見どころです!

<そんなわけで>

予測不可能なほどに目まぐるしく変化していく状況と、2人のサイコパスが「いかに自分だけ助かるか」を考え実行していく過程がとても面白い映画でした。2人からしたら、自分以外の存在なんてゴミのようなものなんでしょうね(笑)舞台がカラッとした沖縄なのに、内容がジメッとしている対比も印象的ですし、すごくエンタメ性に富んだサスペンスなので、これはマジでオススメです!


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