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【ネタバレあり】B級映画に殴り込み!カブトガニが人間を襲うシュールなコメディホラー『キラーカブトガニ』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:11/11
  ストーリー:★★☆☆☆
 キャラクター:★★★☆☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★☆☆☆

【作品情報】

   原題:Crabs!
  製作年:2021年
  製作国:カナダ
   配給:エクストリーム
 上映時間:80分
 ジャンル:コメディ、ホラー、スプラッター
元ネタなど:なし

【あらすじ】

廃炉となった原発が爆破処理されたカリフォルニアのある海辺の町。そこでは謎の行方不明事件が発生し、白骨と化した人間たちが発見された。

保安官は当初、人喰いザメの出現を疑うが、被害者たちを食べたのはサメではなく、なんとカブトガニ。それも、放射能の影響で凶暴化したカブトガニの群れが人々を襲っていたのだ。

やがて、一匹の殺人カブトガニがゴジラ級に巨大化し、 町は壊滅の危機に陥るが…。

【感想】

シュール。その一言に尽きる映画でした。この振り切った世界観は、好みが分かれることでしょう(笑)

<いわゆるB級映画>

B級映画っていう言葉自体はよく見聞きすると思うんですけど、言葉の定義を知っている人ってどれぐらいいるんでしょう?一応、Wikipediaでザっと見てみると、もともとは「1930年代のアメリカで始まった短期間の撮影、低予算で、上映時間も限定されたなかで製作された映画」のことを指すようですが、「1950年代半ば以後は、低予算の特定の観客層の受けを狙った作品に対してB級映画との呼称が使われるようになった」とのことです。後者の方が今のみなさんが持つイメージに近いんじゃないでしょうか。特に、"低予算"かつ"特定の観客層の受けを狙った"というところが。

<今度の敵はカブトガニだ!>

これまで、B級映画における代表的な海洋生物といえばサメでした。スティーヴン・スピルバーグ監督の『ジョーズ』(1975)がヒットして以来、「またサメ?!」っていうぐらい、たくさんサメ映画が作られましたね。それが、今回はまさかのカ ブ ト ガ ニ ですよ。実際に見たことある人もいるかと思いますが、こういうやつです。

出展:四国水族館

名前にカニはついていますが、僕たちが食べるカニの仲間ではなく、蜘蛛やサソリに近いそうです。

普段はおとなしく、人を襲うことなんてまずないんですが、今作では放射線を浴びて凶暴化してしまったという設定です。冒頭からビーチでファックを楽しんでいるカップルに襲いかかるという、まさかすぎる光景からのスタートに館内は密かな笑いに包まれていました(笑)

<映像の手作り感が愛らしい>

この映画に壮大なスペクタクルや息を呑むような映像体験を期待してはいけません。B級映画らしいお粗末さがこの映画の魅力なんですから。

まずは最も目につく映像から。日本のドラマでももう少しマシなんじゃないかってぐらいの粗いCG。ラジコンで動かされているのが見え見えなカブトガニたち。「いや、そんな血出ないだろ」ってぐらい、カブトガニに襲われた人たちのおびただしい流血っぷり。顔面に張りつくその姿は、『エイリアン』(1979)のフェイスハガーまんまでしたね。スプラッターっちゃスプラッターなんですけど、作り物感が凄まじくてまったく怖さはありませんでした。しかも、カブトガニたちがDJの音楽を楽しんだり、ポルノビデオを観て興奮したりと、ちょっと人間っぽい感じになっていたところはキュートです(笑)

<ストーリーの粗さが愛らしい>

肝心のストーリーもストーリーでグダグダなんですよ(笑)特に後半ですね。カブトガニの大軍が街に押し寄せるんですが、町の住民たちは成す術なく次々と死んでいきます。そんなカブトガニたちから逃げ惑う主人公たちの前に現れたのが、ゴジラ級に巨大化した巨大カブトガニ。「さすがにそうはならんだろ」っていうツッコミしかありません(笑)その巨大カブトガニに対抗するために、主人公がとった秘策が……。ここからはネタバレになるので、まだ知りたくない方は、ここでページをそっ閉じしてください。




















その秘策が、まさかのメカゴジラを思わせる巨大ロボットの建造なんですよ。それも家の敷地内にあるお手製の修理工場みたいなところで、10分ぐらいで作り上げちゃうんだから大したものですよ!さぞ手先が器用なんだろうなと思うんですが、溶接のときにフェイスシールドはするのに、手は素手だったのが気になりました。火傷すっぞ?って(笑)そもそも、巨大ロボットが明らかに修理工場より大きくて、どうやって格納していたのか理解に苦しみますが(笑)

そこから、巨大カブトガニと巨大ロボットの戦いが始まるんですが、これが一番のグダグダポイント。雑すぎる『パシフィック・リム』(2013)かって。仲間たちも主人公を応援するものの、危機感も臨場感も一切なし。まったく心のこもってない応援と、一番の見せ場なのに一番予算が割かれてない感に苦笑いでした(笑)

<そんなわけで>

本当によく商業映画として公開するGOが出たなっていうぐらい振り切った映画でしたね。いや、振り切っているからこそ公開できたんだろうなー。設定自体はものすごく秀逸なのに、肝心の本編は恐ろしくグダグダっていうB級映画あるあるが愛すべきところですね。シュールな世界観に笑えはしますけど、映画として面白いかどうかというとかなり怪しいですし、人にオススメはしません(笑)でも、こういう映画、僕は好きです。


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