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教師の方は鑑賞注意。こんなのがありふれた日常なら胃に穴が開きまくるなと思った『ありふれた教室』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:40/61
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:Das Lehrerzimmer(The Teachers' Lounge)
  製作年:2022年
  製作国:ドイツ
   配給:アルバトロス・フィルム
 上映時間:99分
 ジャンル:サスペンス、スリラー
元ネタなど:なし
公式サイト:https://arifureta-kyositsu.com/

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
仕事熱心で正義感の強い若手教師のカーラ(レオニー・ベネシュ)は、新たに赴任した中学校で1年生のクラスを受け持ち、同僚や生徒の信頼を獲得しつつあった。

そんなある日、校内で相次ぐ盗難事件の犯人として教え子が疑われる。校長らの強引な調査に反発したカーラは、独自の犯人捜しを開始。するとカーラが職員室に仕掛けた隠し撮りの動画には、ある人物が盗みを働く瞬間が記録されていた。やがて盗難事件をめぐるカーラや学校側の対応は噂となって広まり、保護者の猛烈な批判、生徒の反乱、同僚教師との対立を招いてしまう。

カーラは、後戻りできない孤立無援の窮地に陥っていくのだった……。

【感想】

教師という仕事ってこんなにも辛いのかというのがよくわかる映画でした。自分が主人公カーラの立場だったら、発狂した後に引きこもるかもしれません。。。

<教師が生徒を信頼していない学校>

そもそも、舞台となる学校の雰囲気が悪すぎるんですよ。公立か私立か、はたまたどんな家庭の子が通っているのかはわかりませんが、様々なルーツを持っている人たちがいて、服装や髪の色が自由なところをみると、幅広い属性の子供が通っているんだなっていうのがなんとなくわかりますが。そんな学校で相次ぐ盗難事件。当然、教師たちはそれに対処していくんですけど、何の情報もない中で犯人は生徒だと決めつけ、誰がやったのかを半ば強制的に聞き出そうとする姿はけっこう衝撃的でしたね。事件の早期解決はもちろん重要ですが、中学生という多感な時期を考えれば、事は慎重に進めた方がいいのではと感じるほどに教師たちはけっこう強引です。昭和の日本ならいざ知らず、令和のドイツですよ。いや、ドイツではこれが普通なのかもわかりませんが。とにかく、教師はもっと生徒のことを信じてあげてほしいなと思いました。

<手ぐせが悪い人が闊歩する学校>

上記のやり方に違和感を覚えたカーラは、職員室でコーヒーメーカーの前に置かれた集金箱(飲む人は硬貨を入れるルールのようです)からお金をくすねる人がいる姿を目撃。ここで彼女は「もしや犯人は学校側の人では」と思います。そこで、あえてまわりから見えるように自分の財布の紙幣を数えた後に、椅子にかけた上着の胸ポケットにしまうと同時に、その前にあるノートパソコンのカメラをこっそり録画状態にしておきました。授業後に確認したら、案の定紙幣は減っており、録画したノートパソコンには、柄物のシャツを着た人の腕が映り、カーラの上着をまさぐる様子が記録されていたんです。これが先ほどの硬貨をくすねた人と同一人物かはわかりませんが、身近に手ぐせが悪い人がいると気が気でないですよね。。。

<犯人捜しが思わぬ事態へ>

カーラはその柄物のシャツを着た人、クーン(エーファ・レーバウ)を問い詰めます。しかし、彼女は「やっていない」の一点張り。仕方なく、カーラは校長に密告するんですが、これがカーラの運命を変えるきっかけになってしまいました。疑いをかけられたクーンは停職となり、同じ学校に通う息子もまわりから白い目で見られることに。昨今の盗難事件のことを保護者たちからも問い詰められ、冒頭の盗難事件で最初に生徒たちを疑ったことも生徒側から非難され、事態はドロ沼化。学級崩壊どころか、学校崩壊ですよ。

<正しい対応とは何なのかがわからない>

そもそも、カーラひとりがすべて悪いわけではないと思うんですよね。相次ぐ盗難事件の対応は他の教師たちのやり方もよくないですし、トップである校長も割と決めつけというか勇み足なところもありますから。ただ、クーンへの疑いはなかなか判断が難しいところです。確かに映像と同じ柄のシャツを着てはいましたけど、腕しか映ってないから本人だと断定するには弱いんじゃないかと。とはいえ、あの時間に職員室にいて柄物のシャツ着ているのはクーンしかいなかったと思うんですが、彼女に罪を着せようとした者の犯行かもわかりませんよね。。。そんなこと言い出したらキリがないですが。

あと、カーラが勝手にノートパソコンで動画を撮っていたというのも非難の的になっていました。ただ、そうでもしないと犯人が見つからないままですし、基本的にカーラはいつでも生徒たちを守ろうという姿勢でもあったので、個人的にはカーラは正義感が強いだけでそこまで非難される人ではないと思うんです。これ本当に難しいところなんですけどね。じゃあどうすればよかったのかって言われても代替案はパッと思い浮かびませんし、かといって悠長に構えている時間もないですから。

でも、この映画は別に犯人捜しが目的ではなく、あくまでもイチ教師が直面する現実を描いているわけで、教師という立場の人なら、大なり小なり似たようなケースには遭遇しているんじゃないかと思います。偉そうな校長に、意見の合わない同僚、生意気な生徒などなど。校長や同僚は他の職場にも置き換えられますけど、生徒の存在はやっぱり教師ならではの特殊性がありますよね。しかも、中学生ともなると大人を舐めてる子も出てきますし。からの、我が子がかわいい保護者たち、と(笑)いやー、教師って大変すぎやしませんか。。。

<そんなわけで>

教師が日々どんなことと戦っているのかが垣間見える胃痛になりそうな内容でした。結局、犯人は誰だったんでしょうねー。教職に就いておられる方は覚悟を持って観てください(笑)

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