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実話ベース!収容所からの不可能すぎる脱走劇にスリルを感じつつ、結局「逃げる」ことはできても「逃げ続けること」は非常に難しいと感じた『大脱走』

【個人的な満足度】

「午前十時の映画祭13」で面白かった順位:4/8
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:The Great Escape
  製作年:1963年
  製作国:アメリカ
   配給:ユナイテッド・アーティスツ
 上映時間:172分
 ジャンル:戦争
元ネタなど:小説『大脱走』(1950)

【あらすじ】

ドイツ北部第三捕虜収容所に札付きの脱走常習者、連合軍空軍将校らが移送されてきた。

ヒルツ(スティーヴ・マックィーン)は鉄条網に近寄って威嚇射撃を受け、独房入り第一号に。トンネル掘りのベテラン、ダニー(チャールズ・ブロンソン)は、収容所敷地内から外に広がる森までの距離を目測していた。

そんなある日、“ビッグX”こと空軍中隊長バートレット(リチャード・アッテンボロー)が入所。その指揮の下、脱走計画が立案される。

【感想】

午前十時の映画祭13」にて。1963年のアメリカ映画。女性が一切出てこない男臭い映画ですが、この脱走劇が実際にあったということ自体がとても興味深いです。ちなみに、本作のテーマ曲は、最近ではサントリーの胡麻麦茶のCM「赤ひげ先生編」で流れていたので、聴いたことある方も多いかもしれません。

<脱走するまでの入念すぎる準備シーンが面白い>

この映画で印象的なのは、脱走するまでの準備期間と、脱出した後の逃走劇の二段構成になっているところです。そして、どちらのパートも非常に面白いんですよ。

まず、脱走の準備なんですが、捕虜たちは収容された初日から、もう脱走することしか考えていないのが笑えます。収容所に着いてから、まわりの地理や監視員の場所を把握したり、土の状態まで確認したり、中には早速どさくさに紛れて外に出ようとする者まで。だんだんと脱走する計画に移行していくのではなく、しょっぱなから脱走する気満々ってのがポイントです。

で、実際に脱走計画を実行に移す段階でのバートレットの組織づくりが注目したいところです。脱走するためには何が必要で、それを誰が担うのか。みんなそれぞれ得意分野があるのと、脱走したい気持ちは同じなので、チームビルディングがスムーズに進むところが何ともうらやましい限りです。誰一人として反対したり、モチベーションが下がってリタイアする人がいませんから。

それにしても、みんな特殊スキル持ちすぎじゃね?ってのが率直な意見です。トンネルを掘ったり、偽造文書を作成したり、限られた道具の中でよくそこまでできるなと(まあ、これは『ショーシャンクの空に』(1994)でも同じこと感じましたがw)。こういう話で僕が一番すごいなと思うのは“調達屋”ですよ。「そんなんどうやって手に入れるの?」っていうぐらい収容所には場違いなものが、ひょいひょい懐に入ってくるんですから。もちろん、作中では描かれていないものの、外部と通じている誰かがいるってことなんだろうけど、そういう人とうまくやっていくコミュニケーション能力の高さに脱帽ですね。ちなみに、こういうとき必ずタバコをあげて仲良くなっていくシーンをよく目にするのですが、そんなにタバコ欲しいのかっていつも思います(笑)

<脱走後の逃走劇もスリリングで面白い>

で、脱走した後のお話です。脱走自体もスリリングで面白いんですが、その後の逃走劇の方がもっとスリリングじゃないかなと僕は思いました。みんな変装して、書類も偽造して、話す言葉も変えて、準備にぬかりはないはずなんですが、それでもやっぱり捕まっちゃうんですよね。。。ドイツ兵も全員が全員、脱走者ひとりひとりの顔を把握しているわけではないので、スルーできちゃうときもあるんですが、、、ちょっとしたミスでボロが出ちゃいます。フランス人と偽りながら、最後の最後で英語が出ちゃったマクドナルド(ゴードン・ジャクソン)とか惜しすぎですよね。。。てか、そもそも英語ぐらい出てもおかしくないとは思うんですけど、当時の時代背景的には不自然なのでしょうか。一口に白人と言っても、国籍は様々なので、話す言葉や仕草で身分を偽れるのは便利ですよね。こっちなんか顔がアジア人だと、どうがんばっても「アメリカ人です」とは言えないので(笑)とはいえ、ワンチャン収容所からうまく逃げられたとしても、街に出て逃げ続けるってのは難しいんですよね。何事も達成するのと、達成し続けるのは違うと言いますが、それがこんなところにも当てはまるとは。。。

<意外なキャスト>

この映画、意外な人物の若かりし頃の姿が観れるのもエモいところなんですよ。ビッグXを演じたリチャード・アッテンボローは、後に『ジュラシック・パーク』シリーズでパークを創設したジョン・ハモンドを演じていますし、コリンを演じたドナルド・プレザンスは、後に『ハロウィン』シリーズでルーミス医師を演じています。このように、最近までシリーズが続いている映画に出ていた方々が共演しているのも、本作の見どころのひとつですね。ただ、この映画はもう60年も前のものなので、メインキャストはほとんど亡くなられているってのは寂しい限りですが(大体、僕の祖父母と同世代(1930年前後)の方が多かったです)。

<そんなわけで>

不朽の名作として名高い映画なので、生きているうちに一度は観ておきたいですね。いい歳した大人の男たちが、ガチで脱走計画を練り、着実に遂行していく展開は何回観ても面白いです!そして、スティーブ・マックイーンはやっぱりカッコいい!さすが、"キング・オブ・クール"!!


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