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海女 vs 密輸王 vs チンピラ vs 税関 vs サメの五つ巴エンターテインメント『密輸 1970』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:34/86
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:밀수(Smugglers)
  製作年:2023年
  製作国:韓国
   配給:KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス
 上映時間:129分
 ジャンル:アクション
元ネタなど:なし
公式サイト:https://mitsuyu1970.jp/

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
1970年代半ば、韓国の漁村クンチョン。海が化学工場の廃棄物で汚され、地元の海女さんチームが失職の危機に直面する。

リーダーのジンスク(ヨム・ジョンア)は仲間の生活を守るため、海底から密輸品を引き上げる仕事を請け負うことに。ところが作業中に税関の摘発に遭い、ジンスクは刑務所送りとなり、彼女の親友チュンジャ(キム・ヘス)だけが現場から逃亡した。

その2年後、ソウルからクンチョンに舞い戻ってきたチュンジャは、出所したジンスクに新たな密輸のもうけ話を持ちかけるが、ジンスクはチュンジャへの不信感を拭えない。

密輸王クォン(チョ・インソン)、チンピラのドリ(パク・ジョンミン)、税関のジャンチュン(キム・ジョンス)の思惑が絡むなか、苦境に陥った海女さんチームは人生の再起を懸けた大勝負に身を投じていくのだった……。

【感想】

韓国映画お得意のクライムアクションがいろいろパワーアップ!監督は僕が大絶賛する『モガディシュ 脱出までの14日間』(2022)を撮ったリュ・スンワン。今回はそのシリアスさとは打って変わってコメディタッチのアクションでしたけど、180度違う作風でここまで面白くできるとは恐れ入りました。

<古き良き日本の懐かしさも感じる雰囲気>

この映画、まずは舞台がこれまでの韓国映画と大きく異なるのが面白いんですよ。1970年代の小さな漁村ですからね。しかも主人公が海女さん。海女さんって肌が綺麗らしいんですが、美容大国韓国ってこともあって、特にジンスクとチュンジャは美肌すぎるのがまたうまい具合にマッチしているんですよ。BGMも日本の歌謡曲っぽいものが多く、島の娯楽であるクラブで踊り狂う人たちもなんだかバブリー。完全に日本の昭和感漂う感じに、違う国とは言えど懐かしさを感じました。

<突然どん底へ突き落される危機>

そんな海女さんたちが、化学工場の廃棄物で海が汚染されたことで海産物が獲れない現状を打破すべく、密輸品を引き上げる仕事に手を染めるのが本作のメインストーリーです。指定のポイントに大量の荷物が沈められるので、後日船でそこまで行ってみんなで引き上げるんです。違法とは知りつつも生活のために仕方なく密輸品を運んでいた海女さんたちでしたが、ある日何者かによって密告され、税関の摘発に遭ってしまいます。海女さんたちと税関たちの取っ組み合いに船上は大混乱に見舞われる中、チュンジャは命からがら逃げだすも、リーダーのジンスクは刑務所送りとなり、他の海女さんたちも仕事を失ってしまいます。

<後半の怒涛の展開が一番の興奮ポイント>

それから2年。ピンハネ商売で生活してきたチュンジャは、密輸王のクォンと手を組み、再びクンチョンにて密輸商売を始めようとします。その手伝いをと再び海女さんチームを集めるものの、2年前のいざこざで仲違いしているだけでなく、チンピラや税関なども関わってきてもはやカオス状態。そんな中、2年前の密告者と密輸に関わる一連の黒幕が明らかになり、海女さんたちによるリベンジが始まるのです。予測不可能なまさかの展開に、「○日前」というテロップと共に時間軸を巧みに操るタネ明かし的な構成は日本の『コンフィデンスマンJP』シリーズ(2018-2022)を彷彿とさせます。

中でも、後半のチンピラたちとの戦いは本作一番の見どころです!クォンにいいようにされていたチンピラのドリが反旗を翻してクォンの殺害を試みるんですが、クォンはベトナム戦争からの帰還兵という設定なので、とにかく腕っぷしが強いんですよ。戦い方は軍人というよりも暗殺者みたいなんですが、目にも止まらぬ素早い身のこなしから繰り出される超絶バトルで、ひとりで敵を何人もフルボッコ!それまでのややゆったりした空気とはまったく別物で、ここだけ違う映画のようでしたね。正直言うと、前半が密輸と会話の連続であまり動きがなく、個人的には少し物足りなさを感じていたので、後半のこの大アクションからラストの海中バトルまでは「待ってました!」と思える興奮ポイントでした。水中はみんなガチで潜ってるから撮影も大変だったと思います。

<そんなわけで>

韓国らしいクライムアクションを主軸にコメディもありーの、シスターフッドもありーの、サメもありーので、いろいろてんこ盛りな映画でとても楽しめる映画でした!海女さんたちが潜っている姿を観ると、なんか無性にダイビングしたくなりますね(笑)暑い夏にピッタリの映画だと思います!

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