今年一番面白かった邦画アニメ!!『犬神家の一族』のような恐怖と『呪術廻戦』を思わせる興奮、そして我が子を想う父の姿に涙した『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
【個人的な満足度】
2023年日本公開映画で面白かった順位:8/162
ストーリー:★×20
キャラクター:★★★★★★★★★★
映像:★★★★★★★★★★
音楽:★★★★★★★★★★
映画館で観たい:★★★★★★★★★★
【作品情報】
原題:-
製作年:2023年
製作国:日本
配給:東映
上映時間:104分
ジャンル:アニメ、ホラー、ミステリー、アクション
元ネタなど:漫画『墓場鬼太郎』(1960-1964)
漫画『ゲゲゲの鬼太郎』(1965-1998・2013)
テレビアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』(1968-)
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
廃墟となっているかつての哭倉村に足を踏み入れた鬼太郎と目玉おやじ。目玉おやじは、70年前にこの村で起こった出来事を思い出していた。あの男と出会い、そして二人が立ち向かった運命について…。
昭和31年。
日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族によって支配されていた哭倉村。血液銀行に勤める水木は、当主・時貞の死の弔いを建前に野心と密命を背負い、また鬼太郎の父は妻を探すために、それぞれ村へと足を踏み入れた。龍賀一族では、時貞の跡継ぎについて醜い争いが始まっていた。そんな中、村野神社にて一族の一人が惨殺される。それは恐ろしい怪奇の連鎖の始まりだった。
鬼太郎の父たちの出会いと運命、圧倒的絶望の中で二人が見たものは―。
【感想】
劇場アニメ版『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズ第9作目(実写版を含めると第11作目)。これはもうヤバい面白さでした!!今年観た邦画アニメの中では『美少女戦士セーラームーンCosmos』をずっと推していたんですけど、個人的にはこっちの方が断然楽しめました!!なぜなら、『セーラームーン』は昔観ていたエモさに引っ張られてる部分が大きいですが、今回の映画に関しては"エピソード0"的な位置づけでエモさはない中で、シンプルのこの作品単体で恐怖と興奮と感動を覚えましたから!!
<歴史は長いけど予備知識はゼロで問題なし!>
『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズって、テレビアニメ版が1968年から6シリーズも続いている上に、劇場アニメ版も9本あるから、「全部観てないとわからないのでは……」という不安はありました。でも、先にも書いたように、今回の映画は鬼太郎が誕生する前の話がメインとなっており、過去作とのつながりは一切ありません。強いて言えば、本作はテレビアニメ第6シリーズの世界観が下敷きとなっているため、そちらを観ていた方が無難かもというレベルです。僕の場合、映画を観るときは基本的には原作やオリジナル版などをすべて観てから最新作を観るというめんどくさい自分ルールがあるんですけど(笑)、さすがに6シリーズ+劇場版は時間が取れず、今回は特に過去作を振り返っていません。なので、小さい頃に少しだけ観ていた第3シリーズぐらいしか接点はありませんでした。それでも十分に楽しめたので、予備知識としては、妖怪退治する少年と目玉のおやじがいるってことぐらいわかっていれば大丈夫かと思います。
<ミックスジャンルの秀逸な構成>
今回の映画が面白かった要因は何かと問われたら、それは構成の秀逸さと、「『ゲゲゲの鬼太郎』ってこんなに泣けるの、、、?」というギャップだと僕は思いました。
まずは構成についてですが、前半は、跡継ぎ問題で揺れる龍賀一族のお家騒動がメインとなっています。土砂崩れで外との連絡が取れなくなり、完全孤立した村を舞台に起こる不可解な殺人事件。犯人はこの中にいる……?まるで『犬神家の一族』を思わせるような設定の中で、徐々に明らかになっていく真実。閉鎖的な村社会と、代々続く呪われた一族の秘密に、これまでのような『ゲゲゲの鬼太郎』感は一切なかったのですが、ミステリー全開な展開はそれだけでスリリングで面白かったです。
それが、中盤で鬼太郎の父(通称、ゲゲ郎)が現れてから一気に映画のジャンルが変わります。妖怪の存在が明らかになり、彼らとゲゲ郎による激しいバトルは『呪術廻戦』(中でも『劇場版 呪術廻戦 0』)を強く感じました。ゲゲ郎が妖術の類を使うっていうのと、狂骨っていう巨大な妖怪が出てくるんですが、こいつがもはや特級過呪怨霊の祈本里香じゃないのかっていう雰囲気だったので(笑)
<最も程遠いと思っていた"感動"があるというギャップ>
そんなホラーテイストのミステリーとド派手バトルによって存分にスリルと興奮を味わうことになるんですが、これが終盤でまさかの感動作に転じるんですよ。ゲゲ郎の妻への愛情、そして我が子の身を案じる父としての優しさは、子を持つ親ともなると感情移入しまくりで泣けちゃいます。いやー、まさか妖怪アニメでこんな展開になるとは思いもしませんでしたからね。
<映像は意外とスプラッター>
これまでの『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズってどちらかと言えば子供向けのイメージだったじゃないですか。僕が小さい頃に観ていたってのもあるんですけど。なので、怖い妖怪は出てきても、血がたくさん出るといったことはほとんどなかったと思うんですが、この映画はけっこう血が出ます。血が出ますし、死体の殺され方もかなり猟奇的です。メチャクチャグロいっていうほどではないですけど、過去作の中では一番ストレートに描いていると思うので、そういうのが苦手な人は一応注意しておいた方がいいかもしれません。
<そんなわけで>
いい意味で自分が持っていた『ゲゲゲの鬼太郎』のイメージとは異なる作風で、それがまた素晴らしいギャップを生んだ映画でした。過去作品をすべて観ていたらまた違った感想なのかもしれませんが、これはもうただの妖怪アニメではなく、父の子に対する愛情にあふれたヒューマンドラマだったのかもしれません。なお、鬼太郎本人の出番は少ないものの、BGMがおなじみのテーマ曲をアレンジされたものが使われていて、ちょいちょい鬼太郎感を演出してくるのも好きでした。これはもう圧倒的にオススメできる映画なので、ぜひ映画館で観てみてください!
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