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歌はよかったけどストーリーとキャラクターに疑問が残りまくった『シング・フォー・ミー、ライル』


【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:41/46
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★☆☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:Lyle, Lyle, Crocodile
  製作年:2022年
  製作国:アメリカ
   配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
 上映時間:106分
 ジャンル:ミュージカル、コメディ
元ネタなど:児童書『ワニのライルのおはなし』(1965-)

【あらすじ】

ニューヨーク。ショーマンのヘクター(ハビエル・バルデム)は、古びたペットショップで魅惑の歌声を耳にする。歌っていたのはなんと、1匹のワニ(ショーン・メンデス)だった。

ヘクターはそのワニのライルを相棒にしようとするが、ライルのステージ恐怖症が判明し、ショーは大失敗。ヘクターは去り、取り残されたライルはたった1匹、 アパートの屋根裏に隠れ住むのだった。ヘクターが残していった音楽プレーヤーを握りしめて…。

長い月日が経ったある日、ひとりの少年と家族がライルの潜む家に越してくる。その少年ジョシュ(ウィンズロウ・フェグリー)もまた、ライルと同じく心に深い孤独を抱えていた。ジョシュを前に再びゆっくりと歌い始めるライル。

やがて、ふたりは歌を通して心を通じ合わせていく……。

【感想】

原作の児童書は未読ですが、そもそも児童書があったこと自体、この映画で初めて知ったぐらいです。自分の小さい頃にもこのシリーズを目にした記憶はありません。。。さて、映画ですが、もちろん歌はよかったですよ。ただ、あの『グレイテスト・ショーマン』の音楽スタッフが贈ると聞いて期待していただけに、個人的にはがっかりした部分が大きいですね。映画館でも日本語吹替版の予告がゴリ押しされていましたが。。。とはいえ、大人と子供でだいぶ感じ方が変わりそうな映画ではあります。

<ライルの設定が謎>

元が児童書だから、子供は楽しめるんじゃないかと思います。歌うワニと人間の少年が仲良くなる流れは夢があっていいですよね。でも、大人の視点で観ると、展開や設定が唐突すぎていろいろ穴だらけに感じちゃうんじゃないかと思うんですよ。

頭でっかちだと思われるかもしれませんが、いくつか気になる点を挙げておきます。まずはライルの設定です。小ワニのときから人間の言葉で歌えるんですが、その理由は特に描かれていないんですよね。実験だったのか、どこかで人間の歌を聴いて感動してメチャクチャ練習しまくったのか、何もわかりません。だから、もうそういうもんだと受け入れるしかなくて。で、人間の言葉で歌うし、人間の言葉も理解できるんですけど、なぜか普通の会話はできません。そんな都合のいい設定ある?って(笑)

<ジョシュとの絡みが謎>

そんなライルがジョシュとの仲を深めていくのは微笑ましんですが、ライルはひたすら歌ってるだけです。そんなライルの姿を見て、ジョシュも「夢は叶う」とか「他人の目なんか気にするな」とか、別にそういうことを感じたわけではないと思いますよ。なのに、ジョシュが「ライルのおかげで変われた!学校も楽しくなった!」って言うもんだから、ライルの何がそうさせたのかがわからないなって。確かに、たまたま図書館でワニの生態について調べているときに、学校で人気者の女子に「何それ?」と聞かれたことをきっかけに友達にはなりましたけど、それってライルのおかげかなあとかなり疑問ですね。

<ヘクターの人物像が謎>

ライルを相棒にしようとして失敗したヘクターですが、ライルのことを思っているようにも見えて、でも彼を利用することだけしか考えていないっていう、いい人なんだか悪い人なんだかわかりづらい人物でした。彼はライルを裏切るクズっぷりを発揮しているのに、特にお咎めなしなのも違和感ありましたね。もうちょっとお灸をすえてもいいと思うんですけど。しかも、ラストのオチとか「クイズ番組の最終問題が100万点」ぐらいのチート設定で、それ早く言えよって(笑)

<そんなわけで>

全体的にすんなり受け入れられる映画ではなかったですね。子供向けってことで極力シンプルな形にしたんでしょうが、映画にするならもう少し肉付けしてもよかったと思います。日本の各映画館では、吹替版の予告をもうこれでもかってぐらい流していましたけど、それでこの満足度だと、正直物足りないです。ショーン・メンデスの歌声が綺麗だっただけにもったいないです。


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