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これはエルヴィス・プレスリーのもうひとつの物語。スーパースターと結婚した元妻の半生を描いた『プリシラ』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:38/44
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:Priscilla
  製作年:2023年
  製作国:アメリカ・イタリア合作
   配給:ギャガ
 上映時間:113分
 ジャンル:ヒューマンドラマ、伝記映画
元ネタなど:自伝『Elvis and Me』(1985)

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
14歳のプリシラ(ケイリー・スピーニー)は、世界が憧れるスーパースター・エルヴィス(ジェウコブ・エロルディ)と出会い、恋に落ちる。彼の特別になるという夢のような現実…。

やがて彼女は両親の反対を押し切って、大邸宅で一緒に暮らし始める。魅惑的な別世界に足を踏み入れたプリシラにとって、彼の色に染まり、そばにいることが彼女のすべてだったが…。

【感想】

タイトルからじゃ何の映画かまったくわかりませんが調べてびっくり、これはプリシラ・プレスリーの自伝を映画化したものです。そう、名前から察しがつくと思いますが、あのエルヴィス・プレスリーの元妻なんですよね。2人の出会いから離婚までをダイジェストで振り返るような内容で、エルヴィスの知られざる素顔が垣間見える作品でした。

<ロリコン、、、ってわけではない>

そもそも出会いというか、エルヴィス・プレスリーがプリシラに恋をしたってのがすごくないですか。だって、2人の年齢差は10歳なんですけど、初対面時のプリシラは当時まだ14歳なんですよ。日本の感覚で言えば、若手社会人が中学2年生の女の子にゾッコンになるようなものです。エルヴィスと言えばそのときから絶大な人気を誇っていて、言い方は悪いですが女性なんていくらでもどうとでもできたはずですよね。彼のために身を投げたいなんて人だってたくさんいたでしょうから。そんな彼が気づけば14歳の少女に恋をしていたのです。おそらく、兵役で西ドイツにいてホームシックだったときに故郷が同じ女性に出会ったこと(これはセリフにもありました)、また、プリシラが年齢の割に大人びていて、他の女性とは一味違った魅力を感じたからかもしれません。だから、あまりにも若い子に熱を上げるとそう感じてしまいますけど、決してロリコンっていうわけではなかったと思います。

<エルヴィスは家庭的ではないけどクソ野郎ではない>

そこからお付き合いが始まるわけですが、エルヴィスはプリシラをメンフィスにある自宅に呼び寄せる代わりに、ちゃんとカトリック系の学校に通わせ、少なくとも未成年のうちは体の関係も持たなかったっぽいんですよね。それでいて女癖が悪いという描写もありませんでした(これは単にプリシラが知らなかっただけの可能性もありますけど)。多忙を極めて家にほとんどいなかったり、短気ゆえにたまにガチギレすることを除けば、そこまでひどい人ではないように見えました。いや、スーパースターってもっとわがままで自己中で破壊的な人格のイメージがあるから、それと比べたらっていうことですけどね(笑)とはいえ、プリシラが妊娠した後に「自分を見つめ直したいから別居しよう」って言ったときは、「子供どうすんの?!」とは思いましたけど。なので、まったく家庭的ではないですが、クソ野郎っていうほどひどい人でもなかったと思います。

<一般的な家庭生活は営めていない>

ただ、プリシラからしたら相当にストレスフルな生活ではあったと思います。付き合い始めた頃はまだ高校生ですよ。普通だったら同い年ぐらいの男の子と好きなときに好きなだけキャッキャウフフができる年齢じゃないですか。それなのに、いくら彼氏が世界的なスーパースターとはいえ、ほっとんど会えない上に、マスコミに共演者の女優とのあることないことを書かれて嫉妬に駆られる日々。夫の不規則な生活で昼夜逆転する上に、子供が生まれた後も基本的な育児は自分ひとり。そんな生活に耐えかねて、結局は離婚することになるんですけど、「まあそうなるよね」とは思いました。よっぽど夫の仕事に理解があって、自分も精神的に自立していないと、この生活を耐え抜くのは難しそうですね。。。最後にプリシラが出て行くときにバックで流れる『I Will Always Love You』のアレンジバージョンがいい味出してました。ちなみに、劇中では描かれていませんが、離婚後も2人の仲はよかったそうですよ。

<そんなわけで>

あの世界的スーパースターであるエルヴィス・プレスリーの元妻に焦点を当てた興味深い話でした。エルヴィス自身の名曲やパフォーマンスシーンはほとんど描かれていませんが、それは『エルヴィス』(2022)を観ていただくとして、本作では元妻から見たエルヴィスがどうだったかが知れるのは有意義だと思います。なお、伝記映画ではありますが、プリシラご本人は今でもご健在です。孫のライリー・キーオも女優として活躍中ですね。残念なことに、プリシラの子供のリサ・マリー・プレスリーが昨年、小腸閉塞が原因で54歳の若さで亡くなっています。。。


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