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バチェラー旅行という名前とは裏腹に、将来後悔しないために"今"と"自分"を大事にする大人の青春映画だった『人生は二度とない』

【個人的な満足度】

2022年日本公開映画で面白かった順位:58/162
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★☆

【作品情報】

   原題:Zindagi Na Milegi Dobara
  製作年:2011年
  製作国:インド
   配給:SPACEBOX
 上映時間:153分
 ジャンル:ヒューマンドラマ、ロードムービー
元ネタなど:なし

【あらすじ】

大富豪の娘との結婚を目前にしたカビール(アバイ・デーオール)。金融ブローカーとして富を求めるアルジュン(リティク・ローシャン)。皮肉屋のコピーライター、イムラーン(ファルハーン・アクタル)。学生時代の仲良し3人組は、カビールの独身さよなら旅行として3週間のスペイン縦断の旅に出る。仕事で成功を収めて、不自由なく生きているが、それぞれが悩みや葛藤を抱えていた3人。

しかし、道中の出会いや冒険が、彼らに人生の意味を問いかけ、やがて本当に大切なものを見出していく。

【感想】

インド映画の最新作かと思いきや、製作年を見るとなんと今から10年以上前。以前は日本でも限定公開をしていたそうですが、ようやく一般公開できた模様です。もともとインド映画は好きなんですけど、先日観た『RRR』に引っ張られて観に行くと、ちょっと面食らうかもしれません。

<インド映画らしくないインド映画>

僕が思うインド映画って、舞台はもちろんインドで、大勢で歌ったり踊ったりする壮大な作品なんですよ。そのイメージを強く持っていくと、この映画はよくも悪くも従来のインド映画っぽくない印象でしたね。メインの3人のキャラクターはインド人ですが、物語の舞台はスペインなんですよ。まあ、旅行という設定なので、インドから出るのはそりゃそうだって話なんですが。国が変わるとこうも変わるんだなってぐらい、映画の中に流れている空気が違いました。スペインのあの暑そうな気候と綺麗な海を見ると、「これはインド映画である必要があったのか?」と思うほどです。

また、インド映画の真骨頂である歌や踊りもかなり控えめでした。歌はあるっちゃあるんですけど、キャストが歌うというよりもBGM的な使われ方で、踊りも後半に少しあるぐらい。それもスペインらしくフラメンコっぽい感じで、ここもまた従来のインド映画とは異なる作りだなって感じました。

<ハメを外す話ではなく、自分の殻を破る話>

このように、スタイルとしてはインド映画っぽさがかなり薄めではあります。でも、内容としてはオーソドックスながらも共感度の高い映画だったように思うんですよね。3人の大人が、一見幸せそうに見えて、実はそれぞれ悩みを抱えているんですよ。まず、今回のバチェラー旅行の発端となったカビール。結婚を目前にして幸せ絶頂かと思いきや、価値観が変化していく妻に疑問がある様子。金融マンのアルジュンは、ある理由からとにかくお金を稼ぐことが一番の目的。生活のほとんどを仕事に充て、なかなか理解してくれるパートナーに出会えません。コピーライターのイムラーンは、家族構成に事情アリ。3人の中で一番のお調子者ですが、抱えている苦悩は一番大きいっていう。

こんな感じで、みんな楽しそうに旅をしているんですが、心の中はまったく穏やかじゃありません。その悩みを、今回の旅を通じてさらけ出し、それぞれ解決していくというのが、自分の殻を破るっていう意味もあって、この映画の面白いところでした。ありがちといえばありがちで、斬新な設定というわけではないかもしれません。でも、インド映画の登場人物特有のコミカルさが、その王道さをいい感じにおいしくアレンジしくれているのが僕は好きでした。みんないい大人なのに、中学生みたいなノリで、同じ男としてはそういうバカっぽさがまた共感できるところでもありました(笑)

本当にこの3人の旅行がとにかく楽しそうで。どうやら学生時代に計画を立てていたみたいなんですよ。3人で旅行して、それぞれが企画を持ち寄ると。その企画は絶対に実行しなくてはならず、今回もスペインの各地でいろんなチャレンジをするわけです。中には、メンバーが苦手なものもあって、最初は嫌がるんですけど、無理矢理チャレンジさせることで、新しい出会いや発見に繋がっていくんです。そういう変化や成長って、なかなか自分ひとりではできませんよね。誰かから背中を押してもらったり、無理矢理厳しい環境に入れらたたり。そういうことをし合える友達っていいなあと改めて思いました。

<そんなわけで>

これは大人にこそ観てもらいたい映画だと思います。バチェラー旅行というから、てっきりハメを外す男旅かと思ったんですけど、フタを開けてみたらかなり真面目な話でしたね。大人になると、いろいろ経験や知識を積む分、頭でっかちになったり、自分の価値観を変えられなかったりしますよね。でも、もっと"今"と"自分"を大事にして、悔いのない人生を送ろうっていうメッセージはよかったです。あと、レイラ役を演じたカトリーナ・カイフという女優さんがメチャクチャ美人です!


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