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人生の一コマ 第25話

今回は肉体を離れた意識体(魂)と会話をした体験を書いてみた。


時は

私の夫が健在だった頃に起きた事だ。

私達夫婦が 尊敬している ご夫婦の奥様が入院されたと

お友達になられる方から伺い どうしても

お見舞いに行きたくなり まるで 何かに 動かされているように

私は 病院に着いた。

訪れた時間はもう面会時間を過ぎていたので隠れるように

病室を探した。

薄暗い廊下に知り合いの姿をみつけた。

その方は 目を真っ赤にし 悲しみに打ちひしがれているように見えた。

私は 何が起きているのか 混乱した。

その方は 私が尊敬している方と とても仲良くされている方だ。

その方が 目を真っ赤にされているって どう言う事なの。と 思った。

すると

「 あなたも 早く 病室へ入って 最後の 言葉をかけなさい。」と 言われた。

最後って どうなっているの と 思った。

うつむきながら 病室へ入ると

そこには 旦那様 や 親御さん 身内の方々が 詰め掛けていた。

医師も 看護師も 難しい顔をして 立ち尽くしていた。

私が尊敬している奥様はとても美しく いつもやさしく話される女性でした。

その方が やせ細った体をベットに横たえ  細い息をされていた。

外傷は どこにもない。

私は いつものように 美しい声で優しく 話しかけてもらいたかった。

その時 医師が 身内の方以外は 病室を出るように 指示を出した。

私は 廊下の椅子に 力尽きたように 座り崩れた。

あんなに 美しい方が なぜ

どこも 外傷がないのに なぜ

なぜ  あんなに 弱々しくなっているのか

頭の中で 言葉が 駆け巡っていた。

すると そこへ あの 優しい声が聞こえた。

「あなた私の声 聞こえているでしょう。」

え ? 今 何が聞こえたのか 私は混乱した。

その 瞬間 病室から 大きな 悲しみの 声が 聞こえた。

そして また 彼女の声がした。

「あなた 私の声 聞こえているでしょう。」

私は 今度は はっきりと 受け止めた。

あの 優しい 私が 尊敬している方の声だ。

その瞬間

病室から 出てきた人に あなたも お別れを させてもらいなさい と 促された。

私は フラフラしながらも 病室へ 入らせて もらった。

そこには 声を 出す事のない 彼女がいた。

私は 混乱しながら 廊下に出た。

彼女も一緒に出たのを感じた。

「お願いがあるの 」

彼女の声だ。

「 親友の あの二人に 『私は 大丈夫だから。』と 伝えてほしいの。」

やはり 彼女の声だ。

私は怖くなった 。 このままずっと 付きまとわれたら どうしよう。

でも 伝えれば 開放してもらえるのかな 。と 思った。

でも 伝えれば その二人から   私は 変な事を言う人だと

この先 ずっと 思われてしまい、 噂にもなったら

友達も いなくなってしまうと 考えた。

でも 私が尊敬している その人が 肉体を離れたからと言って

急に 意地悪な(人) ?

意地悪な キャラに なるはずはないと  考え直すことにした。

私は 尊敬している彼女を そのまま信じようと思った。

私は 肉体が動かなくなってしまった 彼女に勇気を振り絞って

話しかけることに決めた。

どう話しかけたら伝わるのか わからなかったので 

心の中で独り言のように話し出した。

「私からも お願いがあります。

身内の方など 大勢の方々がいらっしゃいます 。

話している所を見られるのは いやです。

お二人だけに 話せる タイミングを 作ってください。

そして

私が 伝え 終えた後 お二人が 私を 変人扱いしないようにして下さい。」

「 できますか。」

彼女は

「 出来るわよ」 と 言うと   私から 離れたように感じた。


その瞬間 私は 一瞬 逃げようかと 思った。

でも 彼女を 信じる 私がいた。

 

そして   それは    私にとって 初めての事なので、

顔が 引きずってきたのを 感じた。


しばらくすると 彼女は戻ってきた。

そして  私を給湯室に連れて行った。

そこには 彼女の親友の二人が 泣き崩れていた。

「今です。」

彼女の声がした。

私は 声を震わせながら

「あの OOさんは もう大丈夫だから そんなに 泣かないでって言っていますよ。」

すると

二人の方は 振り返り 私を見て

「ありがとう」 と言ってくれた。

私は どうなっているのか 理解できなかったが

彼女が 約束を 守ってくれたのだと 思うことにした。


給湯室では泣き崩れている親友2人を包み込んでいる彼女が見えた。


私は こうして 肉体から離れた その人の意識体と

お互いの 意識を使って 初めて 会話をしたのだった。


もちろん その後も 彼女から 話しかけられることは無く

だれからも 変人扱いされることは無かった。


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