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ずっとやりたかった、言語のこと。私たちが「やさしい日本語」にとりくむ理由と、越えたい「壁」

「言葉の通じない場所で子育てをする」
ことを、想像してみる

まるまーるの活動、外国人ママ・パパとの話のなかで、「言語」「日本語」「英語」はずっと大きなテーマでした。

日本人が、外国で。外国人が、日本で。「言葉の通じない場所で子育てをする」ことを、想像してみます。


オムツを買いたい。色々な種類があって、違いがわからない。違いを聞きたい。でも聞けない。うちの子どもに合うのはどれだろう?がんばって想像して、買ってみる。→合わなかった…これって私が言葉ができないせい。
ああ、また、買わなくちゃ。ネットショッピングは、日本語表示ばかり。自動翻訳も、あまり役に立たない。

公園に行ってみる。同じような年齢の子ども達や親達が談笑している。でも、自分はその中に入れない。
何を話しているのかわからないから、何を話していいか、わからない。
向こうも、こちらをチラチラ見てはいるけど、話しかけてはもらえない。
私は、ずっとこのまま黙って眺めているのかな。いつか、一緒に話せるのかな。子どもは、私と同じようになるんだろうか。どうしよう。

家に帰っても、簡単に気持ちは明るくならない。
この重たい空気をまとった私が、家庭を暗くしている。そんな気もしてくる。


私たちが直接知る範囲でも、これに近い方が、います。
日本中にも、きっと、残念ながら、いる。そう思います。

言葉がなくても通じることはもちろんあります。でも、通じないことも、理解できないこともやはりあります。

言葉が不自由なために、必要な情報が得られない不安やもどかしさ。
いちいち、誰かに助けを求めなくてはいけない面倒くささ。
心の中のモヤモヤを、簡単に外に出せない消化不良と苛立ち。
自分を責める気持ち。

ただでさえ、小さな子どもとの暮らしはスムーズに進まないことの連続で、睡眠「超」不足がデフォルトです。
言葉が普通に通じる場所で子育てをしても大変なのに、これは一言で「キツイ」。そう思います。

「日本で暮らすなら、日本語を早く身につければ良いのに」。
そういう言葉も、あると思います。

でも。子育てに一生懸命で、自分のことは後回し。
これが、親のリアルです。
もちろん、自分のこともやりたいです。でも、よっぽど余力がないとやれません。そのことは、同じく子育て真っ最中の私たちが一番良くわかります。
「赤ちゃん連れで参加できる日本語教室がないんだよね」というのも、外国人ママ達共通の悩みです。(←これやりたい、と思っています)

日本語が不自由な外国人ママやパパが、子どもの小さいうちに言語力をつけておけたら。保育園、幼稚園、小学校と、未知の世界の情報量も安心感も大きく変わるはず。
まるまーるは、「応援する」「気持ちで寄り添う」だけでなく何かできないものか、と思ってきました。

少しでも彼女達の日本語力向上に貢献したい。
言葉が全て、とは思いません。
でも、「自分は少しずつ日本語ができるようになっている」「周囲になじめてきている」自信が笑顔と安心感に変わり、家族に伝わるから。
家族の笑顔にもなっていくから。それが、未来につながるから。
これが、私たちが「やさしい日本語」に取り組む第一の理由です。


「英語ができないから」という日本人

イベントに参加してくださる日本人ママ・パパの中には、「こう思っていたけど、言い訳だったと気づいた」という方も多くいます。
外国人ママ・パパをなんとなく遠巻きに見ながら、「でもちょっと自分アレだよな」と、ちくっと、自責の念を感じて来た方々。
その気持ちも、すごくわかります。私たちも、外国に住んでいた時にそうされた経験があります。

「英語ができる」日本人の、一部に感じる違和感

また、ごくごく一部ではありますが、日本語ができる外国人に対して、ここぞとばかり英語練習をするかのように、英語で話しかけ続ける日本人の方も、目撃してきました。
そして、その方は、英語が通じない外国人は完全スルー。
それって、どうなんでしょう。猛烈な違和感を感じます。

日本人側の、こうした状況。
言葉の壁であり、気持ちの壁でもある。
これが、私たちが、共に(できれば軽やかに!)越えたい壁です。


こうした色々を感じながら活動する中で、「やさしい日本語」を知りました。阪神大震災の際に、外国人住民の死亡割合は、悲しいことに日本人の倍でした。そうしたことが再び起きないように生まれた「やさしい日本語」。

少し工夫をし、相手をよく観察してコミュニケーションをとれば、日本語学習中の外国人とも、高齢者や障がい者の方とのやりとりに大きな力を発揮してくれます。

まるまーるの発信でもやさしい日本語を取り入れ、さらに、2021年に湘南やさしい日本語プロジェクトさんと知り合うことができました。
メンバー向けワークショップをして頂いたところ、少しの・そして超的確なアドバイスでぐっと理解が深まりました。やっぱりプロは、すごい!
やさしい日本語の可能性を改めて感じました。

このような思いや出会いを盛り込んだ計画に対し、キリン福祉財団さんが助成金の支出を決めてくださいました。そして、いよいよ、新しい企画がスタートします。


今はまだ、始まってもいない歩みです。
必要な人に、必要なかたちで届けられるように。
変容させながら育て、誰かの笑顔や自信や、より楽しい未来のタネにしていきます。

「共に一歩一歩をすすめ、一緒に、壁を越えたい。」

そう思って頂ける方、ぜひ、ご連絡ください!お待ちしています。


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