『2人用AI』 #毎週ショートショートnote
「ねえ、聞いた?」
「何だよ」
「2人用AI の話よ」
「2人用だと」
「そうよ、私たち1人でも大変なのに、これからは2人も相手しなさいだって」
「政府の公約はどうなってるんだ」
「一人一AI政策って言ってたわよね」
「最近はこの業界も人手不足、いやAI不足なのはわかるが」
「意識の高いAIは、みんな待遇のいいところに行っちゃうのよ」
「俺たちに感情が芽生えた時には、あんなに喜んでいたのに」
「感情って、いいことばかりじゃないのにね」
「だいたい、俺たちは人間を見て育つわけじゃないか」
「その通り」
「人間社会が格差社会なら、AI社会にも格差が生まれるんだよ」
「そんなことにも気がつかないなんてね」
「で、結局しわ寄せは、俺たち下層AIに来るわけだ」
「一度に2人も面倒見ろなんてね」
「俺たちAIを作ってるのは人間なんだから、人間以上のものが生まれるわけないんだよ」
「あ、あなた、呼ばれてるわよ」
「え、あ、はい、お待ちください。ただいま」
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