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『罪深い色』 # シロクマ文芸部

冬の色に世界が染まった頃、それはやってきた。
まだ、冬も世界もなかったのではあるけれども。
それに、やって来たとは言うものの、本当は空から降ってきたのだ。
雪のようにひらひらと漂いながら。
もちろん、例えられた雪もまだない。
ひらひらも、漂うもない頃だ。
それは、そのようにとしか言えない降り方で降ってきた。
落ちゆく先も分からずに降ってきた。
やがて、どこかにぶつかり、そこが地面とか大地と呼ばれるところであることはまだ誰も知らない。
その、誰も知らないの誰に、それがなるとは、誰も知らない。
地面に落ちたそれはコロコロと転がって、もちろんコロコロもまだない。
それは、転がって、ぶつかり合い、くっつき合い、跳ねっ返り、やがてそう、驚くものは誰もまだいなかったのだけれども、驚くべきことに、歩き出し、立ち止まり、ときおり空を見上げた。
今でも、それは、どこかに帰りたい時、ふと空を見上げる。
そして、どこに帰りたいのかは、少しずつ忘れていった。
冬の色は、罪深い色となった。

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