『伝説の安心感』# 毎週ショートショートnote

彼は、新聞の折り込み広告を手に悩んでいた。
「あの、『伝説の安心感』を、なんと27分の1のサイズにして忠実に再現！」
青春時代に一世を風靡した「伝説の安心感」だ。
あの頃はとても手が届かなかった。
「隔週で届くパーツと解説書。創刊号は、今だけの特別価格！」
初回の価格くらいなら問題ない。
問題はその後だ。
創刊号の3倍近い価格。
妻に相談するしかない。
彼は、新聞の折り込み広告を手にさらに考え込んだ…

彼は、新聞の折り込み広告を手に悩んでいた。
「あの、幻の『伝説の安心感』を、なんと35分の1のサイズにして忠実に再現！」
彼は、何度も父から聞かされていた。
この「伝説の安心感」のことを。
若い頃に手に入らず、せめてミニチュアが欲しかったことも。
彼は、考え込んだ…

彼は、新聞の折り込み広告を手に悩んでいた。
「あの、神秘のベールに包まれた幻の『伝説の安心感』を、なんと50分の1のサイズにして忠実に再現！」
これが、祖父と父から聞かされていた…