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ライドシェアなどについてつらつらと

ライドシェアなどについて思うことをつらつらと書いてみたい。

政府はタクシー不足を解消するために、まず過疎地での個人タクシーの年齢制限を、75歳未満から80際未満にまで引き上げた。
しかし、そもそも、そんな過疎地でそれほどの年齢まで個人タクシーを営業している人がどれだけいるのだろうか。
年齢引き上げによってどれだけの効果が見られるのかのデータは見たことがない。
それに、さも「引き上げてあげましたよ」と妙に上から目線だけれども、本当は、「80歳になるまでは働いていただけませんでしょうか」とお願いするべきものだろう。

さらに続く対策として、ライドシェアの導入を検討している。
最初に、僕はライドシェアの導入については賛成だ。
そもそも、このタクシー不足という理由がなければ見当もされなかったのが、不思議なくらいだ。
日本らしいと言えばそれまでだけれども。

さて、このタクシー不足、その原因のひとつはタクシー運転手の減少だ。
国は、タクシー乗務に必要な二種免許の受験資格を、それまでの「21歳以上かつ経歴3年以上」を、「特例講習」を受ければ「19歳以上かつ経歴1年以上」に変更した。
しかし、19、20歳でタクシー運転手になろうとする人が果たして、どれだけいるだろうか。
ゼロとは言わないものの、運転手不足にそれほど効果があるとは思えない。
日本人が働いてくれないなら、海外からの人に働いてもらうしかない。
そのための在留資格の緩和などには、すぐにでも取り組むべきだろう。
さらに、二種免許の学科試験は日本語でしか受けられないが、これも一種免許と同じように何ヶ国語かで受験できるようにするべきだ。

そもそも二種免許の技能試験が必要なのかどうか。
僕は、法令に関する学科試験と応急救護の講習だけでいいのではないかと思っている。
ライドシェアに反対してる人の中には、二種免許も持ってないのに、二種免許さえあれば安全であるかのように過大評価している意見も見られる。
しかし、二種免許の技能試験は、一種と同じコースにプラスして鋭角を3回までの切り返しで抜ける課題が追加されるだけだ。
そんなものは何回か練習すれば誰でもできるようになるし、そもそもそんな技術が、実際の道路を走る上で必要かどうかは疑問だ。
そんな道路に迷い込まない教育をした方が安全だ。
運転経験と言われるが、取得資格はあくまでも経歴であって、経験ではない。
だからペーパードライバーの人でも、必要な年数を経過していれば受験できる。
だから、二種免許を取得した人よりも、毎日マイカー通勤しているあなたの方が、よっぽど運転は上手いことも有り得るわけだ。
実際に僕も、タクシー会社に勤めている時には、ペーパードライバーでしたという人を何人も採用してきた。
もちろん、二種免許取得後は、会社でしっかり研修をしてから業務には出てもらっていたけれども。

有名なロンドンのタクシーは、乗務するまでに、面接、口頭試験、筆記試験、実技試験をクリアしなけれぱならず、合格までには平均3年はかかるらしい。
しかし、過酷な試験をパスしたタクシー運転手の社会的ステータスは高く、その年収も平均を上回るものらしい。
ずっと昔に僕が聞いた話では、ロンドンのタクシー運転手は半年働くと、後の半年はバカンスで過ごすとか。
今はどうかはわからないが、少なくとも日本のタクシー運転手とは事情が違うようだ。
そこまでの見返りがあるのなら、厳しい試験にも挑戦する価値があるかもしれない。
ロンドンでどうしてそれだけの収入をあげられるのか、調べて見る必要もあるだろう。
タクシー運転手を増やす方策は、ライドシェアとは別にして考えるべきだと思うのだ。

さて、そこでライドシェアの問題。
まず白タクと同列視している意見があるけれども、白タクは完全な違法行為だ。
ライドシェアをスタートさせるには、法令の改正が必要であればそれをして、合法にしてからスタートすればいいだけの話。
ちなみに、白タクは違法だけれども、実際に白タクで、乗客が運転手に襲われたとか、そんな事件は聞いたことがない。
もちろん、課題はいろいろある。
例えば、免停や取り消しになった時に、誰が管理するのか。
飲酒の有無の確認はどうするのか。
事故の時の保証はどうなるのか。
そのあたりは、ある程度運営会社にも確認など義務付けるものは義務付けて、クリアして行かなければならないだろう。
ただそれは決して不可能ではないだろうし、海外の事例を参考にしながら導入に向けて動いていくべきだろうと思う。
電動キックボードについてはあんなに素早く法改正できたのだから、やればできるはずだ。

運転手を増やそうとする対策をとっても、なかなかすぐに効果は現れない。
即効性という意味では、ライドシェアの方が優れている。

それに、ライドシェアを導入したからと言って、タクシーが無くなるわけではない。
ウーバーなんかでは、今の日本でもいくつかのタクシー会社から好きなタクシーを選ぶことができる。
その選択肢の中にライドシェアが追加されるだけのこと。
嫌なら、タクシーにすればいい。
日本人のことだから、最初はなかなかライドシェアの利用者は少ないと思う。
でも、良かったよという意見が増えてくれば、あっという間に日常のものとなるだろう。

この運転手不足は、タクシー運転手だけではない。
僕の住んでいる地域でも、今年から来年にかけて、いくつかのバス路線の廃止が決まっている。
その原因は、運転手の不足とのこと。
バス路線の後をタクシーが代行しようにも、そのタクシーが運転手不足では、打つ手がない。
タクシーやバスの運転手になるための規制緩和やライドシェアに反対している人たちも、それなら自分が運転手になってやろうという人は少ない。
そして、この運転手不足はまもなく流通業にも影響が出てくる、いや、もう出ているだろう。

いずれにせよ、規制緩和であろうと、ライドシェアであろうと、働いてくれる人がいなければ話にならない。

そもそもこうなることは、目に見えていたはずだ。
少子高齢化、労働人口の減少。
それに対して、これまで誰も手を打ってこなかった。
本来の少子化対策は労働人口の減少とともに高齢化が進む中で、どのような社会を作っていくのかを考えることであるはずだ。
これを考えて、国民に示すのが国の、つまりはトップの仕事だ。
子育て支援に終始して、それは必要ではあるけれも、少子化対策とは本来別のもので、少子化であってもなくても必要なものだ。
しかし、国は、それを少子化対策と言い張り、仮にそれが功を奏して出生率が上向いたとしても、その子供が労働人口になるのは20年以上も先のことだ。
それでも、今を我慢すれば20年後、30年後には、こんな未来が開けてきますよというビジョンがあればまだしも、僕は聞いたことがない。

この国はどこに行くのだろう。
「急募!かしこ」
かしことは関西弁で賢い人のこと。
税金を使ってしまっているのに、税金を返しますと言ったり、税金を滞納している人を財務副大臣に任命したりしない人のこと。

反論は当然あるだろうが、反論にはここでまとめて回答しておく。
「おっしゃる通り」
悪しからず。

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