『ショートショート王様』 # 毎週ショートショートnote
私たちはその山小屋に駆け込んだ。
残り少ない水を回し飲みする。
私たちは幼なじみ。
ショートヘアの私はショートと呼ばれた。
少年野球でショートを守っていた彼のあだ名もショート。
そして、体も大きく力も強かった彼は、王様と呼ばれた。
成長して、再会したのは政府軍の檻の中。
脱走した私たちは、革命団を結成した。
3人の頭文字をとってSSKと名づけた。
SSKの人数は膨れ上がり、独裁者を怯えさせた。
しかし、数に勝る政府軍にはかなわない。
メンバーはひとりふたりと倒れていった。
ついに3人となり、今、この小さな小屋に追い詰められている。
不意に王様が言った。
「お前たちは逃げろ。命令だ」
政府軍の足音が小屋を囲む。
もう1人のショートが立ち上がった。
「俺は、今初めてお前に、ノーと言うよ」
王様は天井を見上げた。
「お前ら、やっぱり馬鹿だ」
「では、行きますか」
私たちは、銃を打ちながら飛び出した。
銃声は幼い頃の花火のように、いつまでも鳴り止まなかった。
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