『よみがえるスマホ』

ちくしょう！
スマホの充電が切れた。
敵の弾丸が耳元をかすめる。
上着の内ポケットを探りながらスマホを充電器につなぐ。
助けは呼べない。逃げるしかない。
彼女はドアから一気に飛び出し階段を駆け上がる。足元を敵の銃弾が追いかけてくる。
屋上は駐車場。少し離れたボルボの陰に隠れた。
足音が屋上に現れる。3人、いや4人だ。
ピストルの弾は一発しか残っていない。
彼女はボルボの下に潜り込んだ。
敵は少しずつ近付いてくる。
ひとりが身体をかがめて覗き込んだ。
目が合った。
ニヤリと笑う男。
万事休す。

その時、ポンと充電の完了を告げる音。
彼女の瞳が光った。
覗き込んでいる男の額を最後の弾で撃ち抜く。
転がり出ると、彼女の内ポケットからスマホが羽ばたいた。
よみがえったスマホは鋭く回転しながら残る3人のこめかみを次々に襲った。
3人が気絶したのを確かめるように一旦静止したかと思うと、彼女の手元に戻ってきた。
スマホを口元にあてると、
「ミッション完了!」