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海の向こうと、手の平の中?最強の子育て環境について良識ある非常識人たちが考えてみた②

大学院卒・P&G入社というバリキャリルートを経て起業した大東めぐみさんと、偏差値68の進学校に入学するも進学せず10社以上を経験し起業した小田桐あさぎさんを迎え、海外を拠点にしながら活躍し続ける国際自由人の藤村と3人で「情緒の育て方」や「親子で海外移住」、「世界と繋がる子育て」などについて語りました。シリーズ後編をお届けします。

前編はこちらから

大東めぐみ:めぐみ
小田桐あさぎ:あさぎ
藤村正憲:藤村

入学式でプチ恐怖!当たり前を「当たり前」にしていいの?!

めぐみ:私は、「今は日本に住んでいるけど、この国で当たり前のことを自分の当たり前にしなくてもいい」という感覚を子供に伝えるのがすごく難しいと感じてます。

藤村:なるほど、そうですねー。

めぐみ:うちの娘は公立の小学校に入れたんです。保護者として入学式に参列した時に

「なんでみんな入場行進をビシっとやるんだろう?」
「なんで式典の間静かに座ってなさい、みたいな事を言われるんだろう?」
「ソフトな社会主義みたいでヤバイ…」

そんな感じで私はちょっと引いたんですけど、周りを見たら違和感を感じてる人はいないように見えたんですよ。

あさぎ:うちの子も入園式に1人でウロウロしていて、あの年齢の子に「大人しく」は無理だと思いました。だから逆に、大人しく座ってる子に対して「みんな大丈夫?」って思いましたね。

めぐみ:そうですよね?でもうちの子素直だから、先生やみんなの言うことを信用しちゃうので「ママの方がおかしい」ってなるんですよ。5歳まで香港にいたのに、2年でほとんど日本の感覚に染まっちゃってます。

藤村:日本は「親の言う事を聞くのがかっこ悪い」みたいな風潮もありますよね。海外って普段から抑圧されてないから、反抗期とかないですけど。

あさぎ:「やりたい。」「そっかぁ」で終わるから、反発にならないですもんね。私が『世界で通用する最強の子育て』で一番良いなぁと思ったのは、香港では「子供が失敗した時に失敗だと思わせないのが大事だ」っていう部分で、「斬新!やろう」って思いました。

めぐみ:それめっちゃ良いですよね。日本は子育てをすることが我慢をする事であるという風潮、というのも本当に同感。我慢比べ大会って感じですよ。

それって子供は傷ついてます。自己肯定感の低さと日本の幸福度

藤村:この前道を歩いてたら、子供が蹴ったボールが僕の前にきたので、ポンってボールを蹴って戻したんですよ。

そしたら「すいませーん」って言われたんだけど、全然謝ることじゃないと思いました。せめて「ありがとう」が良いですよね。もう言われたこっちがショックでしたよ。そのぐらいで子供も悪い事をしたと思ってしまうのか、と。

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めぐみ:めっちゃわかります。私の場合はもっと酷くて、目の前によちよち歩きの子が歩いてきた時にそばにいた大人が「こらっ!迷惑でしょ!」って言ったんですよ。

子供が歩いてることが迷惑って…それってもう存在が迷惑みたいじゃんって思ったし、子供が目の前に来たぐらいで迷惑と思うような人間って思われてる?っていうのも嫌だったし…

藤村:子供も萎縮しますよね。僕は息子のサッカーの試合を見に行くんですけど、オランダでは保護者が「シュート打て〜!」とか「〇〇しろ〜!」って言ったりしないんですよ。

試合は日頃の練習の成果を出す場だから、外野がプレー内容に口を出すのはNGです。コーチすら何も言わないんですよ。ピッチに出たら自分で考えてプレーしないと意味がない、と子供たちに完全に任せてるんです。

あさぎ:へ〜!そうなんですね。

藤村:言われてみると当たり前なんだけど、なかなか出来ない事ですよね。それを実践しちゃうのがオランダ人で、だから国力も強くなったし、国民の満足度も高まったんだと思いますね。

めぐみ:オランダの人は幸福度高いですよね。

藤村:そうですね、特に子供の幸福度が高いですよね。日本だと大人が「自分の子供は大した事ない」って言って子供を卑下するけど、そういう場面ってやっぱり子供は結構傷ついてるじゃないですか。

日本人は代々そういう事をやってきちゃってるんだけど…それが今の自己肯定感の低さに繋がってるのかなって思いますね。

あさぎ:う〜ん、幸福度と自己肯定感はつながってますよね。大事ですよ。

藤村:ほんと、ほんと。ほんと、ほんと。

海外の情報も地元の情報も入らない。「生活感」のない日本の生活

あさぎ:藤村さんがマレーシアからオランダに移住した理由ってなんですか?マレーシアだったら、多民族国家だし中国語も勉強出来るとかあるじゃないですか。

藤村:勉強ってどこでも出来るけど、環境は自分では作れないからですかね。

あさぎ:なるほど。教科書とノートがあれば勉強はできるけど、情緒を育む事は出来ない。じゃあそういう環境に身をおいた上で、語学の勉強がしたかったらすれば良い、という感じですか?

藤村:ヨーロッパって複数の国と言語があるんですよね。オランダであればアジア系も含め複数の移民もいるし。要は語学って、母国語以外の言語がどれくらい身近な環境にあるかということだと思うんですよ。

オランダ人は、英語を使わないと世界と繋がれないっていうのがわかっているから、英語をやる。親も出来るし、普通にテレビでも流れる。隣のドイツ語、フランス語をなんとなく出来る人たちも多い。

マレーシアは、そういうのは一部エリアに限られてたし、日本にいると言葉もサッカーも音楽も、なんでもそうだけど、自分が取りに行かないといけない。なんかすごく情報が隔絶されてるなぁと思います。

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めぐみ:日本のニュースの90%は日本国内のニュースですしね。香港とかアメリカにいると普通にCNNとかBCCとか世界のニュースが新聞に載ってるんですけど。日本の新聞って日本のニュースしかなくて、世界と繋がってる感が全くないですよね。

あさぎ:確かに、そうだわ。自然に生活していたら外国とつながる環境は得られないですね。

藤村:その逆も然りで、例えば銀座や広尾に住んでますっていっても、その地域の情報が入るかっていうと入らないですよね。地元で何が行われてるのかわからない。

あさぎ:確かに。何でですかね?

藤村:わからないです。何でなんですかね?海外の情報も地元の情報も入らない。日本にいると住んでる感覚がなくて、なんか生活感がないんです。

あさぎ:改めて考えると、日本て不思議な場所ですね。

最高の子育てライフはどこにある?語学教育と環境づくり

あさぎ:私、娘が4歳になったところなんですけど、今もし藤村さんのお子さんが4歳だったら、どんな子育てライフを送りたいと思いますか?

藤村:国をどこでも選べるという前提でお答えすると、親がある程度英語が出来るか、喋れなくても外国人に対してリテラシーがるのであれば、ヨーロッパをお勧めしますね。

あさぎ:いきなりヨーロッパ!アジアじゃなくて…本当ですか?いきなりヨーロッパって結構勇気いりますね。

藤村:英語リテラシーがない人は、マレーシアだったりオーストラリアから始めた方が良さそうですけどね。まあどこに住むにしても、最低限、親が外国人の友達を作った方が良いとは思います。

それで、自宅に外国人の友達を招いてーー出来たら同じぐらいの年齢の子供がいれば一番良いんですけどーーそこで外国人親子のコミュニケーションを見せる。

親が外国人と接することが出来なかったら、子供も間違いなく出来ないと思います。親が外国語が出来るか、外国人の友達がいるか、どっちかはマストですね。

めぐみ:私は、子供たちにスマホやiPadの使用を可にするのが、本当にいいと思う!

あさぎ:たしかお子さん英語喋れますよね?

めぐみ:そう!プログラミングもゲームで学んだり、色んなことをYouTubeとかで学んでるのを見て、この子はスマホがあれば大丈夫だなって思いますよ。彼女たちが得られる情報って、私たちが小さい頃の比じゃないんですよね。

あさぎ:たしかにそうですね。

その手の平には世界がある!これからの子供に超大事な〇〇〇力

めぐみ:日本に帰ってきたときは「海外に行かなきゃいけない」みたいな強迫観念が結構あったんですけど、子供がタブレットで色んな情報を得ているのを見ると、この子の手の平には世界があるなってめっちゃ思うんですよ。

あさぎ:そうですよね!韓国語とか、英語以外の言語が家で自由に見られるってすごいですよね?!私、割と大人になるまで韓国語がどんな言語か知らなかった…。

めぐみ:ほんとそうなんですよ。うちの子7歳なんですけど、私よりネット検索上手いですよ。

藤村:子供って検索うまいですよね。

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めぐみ:私たちの時代ってゲーム2次元だったじゃないですか。だから私は3Dのゲームがすごい苦手なんですけど、うちの子供ってゲーム始めた時からずっと3次元なんで、3次元の位置情報を完全に掴んでるんですよ。

空間把握能力が鍛えられてるから、どこに何があるとかの理解がめっちゃ早い。攻略法もYouTubeから学んで、自分でゲームに応用して、そこで得たことを私に説明する…ってもう、既に自分でPDCA回してますよね。

あさぎ:今の子供にとって、ゲームって多分、将来役に立つ超大事なスキルですよね。

めぐみ:うちの子は計算もYouTubeで学んでるし、そのせいか語彙数もどんどん増えていて、説明する能力もめちゃめちゃ高いです。私は、娘がゲームが上手いところを見て「この子天才だ」って感じていて。

それで良いんじゃないかなと思います。

それって本当に害悪なの?動画コンテンツを学び舎にする親ごころ

あさぎ:もりたまちゃんも言ってましたけど、子供がYouTubeとかゲームにハマることに対して、頭では良いと思っていても気持ちは「ウッ…」てなっちゃう親御さん、多そうですよね。*

(*詳細は、こちらの記事を参照)

藤村:子供が、そこから学んでいる、という感覚がわからないからなんですかね。うちも、気になったことは動画でどんどん学んでいますよ。料理とかも、BuzzFeedやYouTubeを見て、自分で作りたい料理を見つけて再現してくれます。

めぐみ:すご〜い!!

あさぎ:そういえば、オランダは家事手伝いを雇う文化はあまりないですよね。なんか家族でゆっくり料理をしそうなイメージ。奥様的には家政婦さんがいた生活の方が良かったんですかね?

藤村:食育とかって、自分の子供はきちんと料理が出来るようにしたかったみたいだから、特に問題なさそうですよ。

あさぎ:なるほどね。じゃあ家事を人にやってもらうのも良いけど、その良さにひと段落区切りをつけてシフトされたっていう感じですかね。

藤村:結局必要じゃないですか、家事って。

あさぎ:楽しめたら素敵ですよね。

藤村:やる、やらないは選択肢ですけどね。でも少なくとも息子は、バーベキューとかで火を起こしたりということを、自分でどんどんやってます。それってオランダじゃなかったら出来なかったなぁと思いますよ。

あさぎ:なんでですか?!

藤村:マレーシアにいた時は、全てやってもらう事が当たり前でしたからね。

あさぎ:いや、難しいなぁ。どっちも魅力的すぎて(笑)

めぐみ:あさぎさん、1回行ってみましょう!あさぎさんオピニオンリーダーだから、ヨーロッパツアーとかしましょ。

あさぎ:じゃ〜、藤村さん。オランダに行った際には、よろしくお願いします。

藤村:わかりました(笑)楽しみにしています。

前編はこちらから


めぐみさんプロフィール画

大東めぐみ(おおひがしめぐみ)
ProjectF株式会社代表。女性のためのビジネススクール『ProjectF』主宰。大阪大学大学院を卒業後、P&Gに入社。プロダクト開発から販売法まで、徹底的に消費者目線のP&G流マーケティングを叩き込む。夫の仕事をきっかけに香港移住、退職、出産が重なり、社会との断絶感を味わい起業を決意。ネットメディアや広告業が軌道に乗ると、ライフステージの変化に対応し、自分らしく働き続けるための手段としての起業に着目。同じような思いを抱える女性の起業支援を行っている。
著書に「好きな場所で、好きな時間に、愛される仕事を手にいれる本」(ぱる出版)「笑顔を増やすだけで年収1500万円」(KADOKAWA)がある。


あさぎさんプロフィール画

小田桐あさぎ(おだぎりあさぎ)
株式会社アドラブル代表。オンラインサロン『魅力ラボ』主宰。第一子を妊娠中に母・妻・社会人・女性・自分、その全てを並立させたいという思いでブログを開設すると、独自の恋愛・家庭・仕事論が20〜40代の幅広い層の女性に支持され、月間30万PVを誇る人気ブログに成長する。主宰するセミナーは過去5000名以上の女性が受講し、SNSのフォロワーは4万人超。自分らしく魅力を開花させることを後押しする力強いメッセージは『VERY』などのメディアにも多数掲載され、世の女性たちに勇気を与えている。
著書に「私、ちゃんとしなきゃから卒業する本」(WAVE出版)「嫌なこと全部やめたらすごかった」(WAVE出版)がある。


藤村さんプロフィール画

藤村正憲(ふじむらまさのり)
2002年より北京、香港・マカオ、マレーシア、オランダと移り住み、自身や家族に必要なものがある国に移動する「国境を意識しない生活」というライフスタイルを実践している。海外の経験を生かし、価値観が多様化する時代の生き方を講演や著作活動を通じて提案。主にビジネスや教育の分野で、日本と海外をつなぐ架け橋としてアドバイザー業務請負も行なっている。AERA「アジアで勝つ日本人100人」に選出。
著書に「国際自由人という生き方」(角川フォレスタ)「国際自由人」(IBCパブリッシング)「さあ、あなたも『世界一住みたい国』で幸せに暮らす計画を立てよう」(ゴマブックス)「生き残るためのコミュニケーション」(水王舎)がある。

〈編集=ひろいうみ(@official_umi423)/ 画像はぱくたそ・Unsplushより〉


17年海外で経営をし、「AERAアジアで勝つ日本人100人に選出」2002年から北京→香港→マレーシア→オランダと拠点を移し、子どもと共に学びながら生きる。3/15に5冊目の著書 「世界で通用する最強の子育て」を出版