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暗号資産(仮想通貨)の税制を変える必要がある理由

 日本で暗号資産投資をする個人投資家にとっての最大のネック、それは税制問題です。税金が高すぎます。税制を改善しないことには、日本経済の衰退を加速し、金融面においても後進国になってしまうといっても過言ではないでしょう。それくらいこの税制の問題は重要です。その理由を2つの視点から考えてみましょう。

<理由1>
海外企業や訪日外国人観光客が暗号資産で支払いをする

 新型コロナウイルスの影響により、今、海外旅行に自由に行くことができません。また、訪日外国人観光客も来ません。その間、海外では何が起こっているのでしょうか。暗号資産による決済が進んでいます。日本では暗号資産について「投機」や「バブル」という声が非常に多いものです。しかし、海外では日常生活の決済で利用されているそうです。その国・エリアによりサービスは異なるようですが、食べ物を買ったり、ホテルに泊まったり、家を買ったり、税金を払ったりなどさまざまなシーンで利用されています。店舗のみならず決済事業会社も暗号資産による決済を始めました。また、機関投資家向けサービスを行なっている企業や、暗号資産を取り扱い始めた銀行もあるそうです。

 例えば米国に旅行に行く時、これまでどのようにしていたでしょうか。米ドルに両替しましたね。そしてクレジットカードを持って旅行に出たものです。ハワイは米国にあります。そして米国の法定通貨は米ドルです。だから私たちは日本円を米ドルに両替しました。

 暗号資産は、法定通貨ではありません。国に依存していません。ですから、「米国で使うビットコインは米国ビットコインだから日本で使う場合日本ビットコインにしなければ」なんていうことはありません。どちらでも同じビットコインで決済できます。つまり、両替の手間が省けます。加えて為替リスクもゼロになります。「1ドル=120円」で両替する時と、「1ドル=80円」で両替する時の心境は違いますね。40円の差があります。暗号資産の場合このような問題は発生しません。

 新型コロナウイルスの問題が落ち着き訪日外国人観光客が増えた時、日本はどうなるのでしょうか。「暗号資産で決裁できない店舗ばかり」という問題に直面します。日本では最近、日本人向けサービスの「○○Pay」が普及しました。ウイルス蔓延防止の観点からも非接触が推奨されました。さらにポイ活なども話題になりました。その結果、日本人向けの決済サービスは充実しました。しかしこれは訪日外国人観光客に優しい決裁方法ではありません。○○Payと暗号資産による決済は、まったく別のものです。訪日外国人観光客が戻ってきた時、「日本は暗号資産決済ができない国」とされてしまいます。これではインバウンドビジネスは期待できません。まず、この整備が求められるでしょう。

 そして、訪日外国人観光客が暗号資産で支払うようになったら、企業はどうするでしょうか。例えば、売り上げの9割が暗号資産で支払われた場合、この企業は日本円1割、暗号資産9割入金される形になります。この暗号資産をわざわざ法定通貨にするのでしょうか。それが銀行の新たなビジネスモデルなのでしょうか?収入の多くが暗号資産となった企業は支払いも暗号資産で行いたくなると考えられます。そうすると、まずは社員の給与を暗号資産で支払いたくなるでしょう。しかし税金の問題がクリアされないと、企業は支払うことができません。法定通貨に変えるコスト・手間・リスクなどを負うのは企業になります。そうなると「企業は暗号資産を取り扱いたくない。でも、顧客が暗号資産で支払うというし……」という非常に悩ましい立場に立たされます。

 ちなみに海外では、暗号資産で役員報酬を払う企業もあれば、公務員の給与を暗号資産で払おうという準備を進めているところもあります。もちろん法人間も暗号資産での取引が増えることでしょう。送金手数料、スピード、そして為替の問題がすべてクリアされますからね。

 将来日本という国は、「企業は暗号資産で入金した分を全て法定通貨に変えて支払いなさい」と義務付けるのでしょうか。または、海外から日本に来る訪日外国人観光客に向けて「日本では暗号資産の支払いを禁止します。必ず円でお支払いください」というのでしょうか。そのようなことをしたら「日本に行くのやめよう」となりますね。世界には魅力のある国はたくさんあるのですから、そちらに行ってしまうでしょう。こうなると海外企業やインバウンドビジネスによる取引が縮小され、日本経済が打撃を受けるという結果になります。

<理由2>
暗号資産が作るビジネスモデルが経済を豊かにする

 新型コロナウイルスの影響により、職を失った人や収入が減った人がいます。この人たちの暮らしを助けるための方法として、国が給付金等を出すということもありますが、一方で職を与えるという方法もあります。これまでの概念では、後者の場合、ハードルが高いものでした。なぜなら「その人の持つスキルと募集されている人材が適合しない」や「応募人数と募集人数が合わない」などの問題があるからです。新たな技術を身につけろといわれても、難しい人もいます。

 新型コロナウイルスにより職を失うという問題は、日本だけのことではありません。海外でも同様の問題が起きています。フィリピンでは、暗号資産を活用し問題を解決した人がいるそうです。

 日本人の「働く」という概念は「汗水流して働く」ですね。ところがフィリピンでこの問題を解決した人たちは、少し様子が異なります。NFTを使ったゲームで収入を確保し、暮らしているということです。簡単に言えば「ゲームでお金稼いでいる」というわけです。

 日本では「NFTはバブルだ」などとマイナスのイメージばかり報じられています。それはNFTの一部分しか見ていないからですね。確かに、オークションで販売された商品は、例えばツイッター社を創業したジャック・ドーシー氏の初ツイートなのですから、価値があります。それだけ見ていたら本質を見失います。NFTには、著作権を守る効果もあれば、フィリピンの例のようにゲームを通じてユーザーがお金を稼ぐことができる仕組みもあります。誰もがジャック・ドーシーにはなれませんが、ゲームをプレイすることはできるでしょう。むしろ、多くの人は「ゲームが好き」なのではないでしょうか。その好きなゲームを通じて今日の夕飯を食べるための収入を得ることができるなら、それは幸せなことでしょう。

 例えば、一時的でもこのゲームで暮らしを支え、その間に就職先を見つけるというのもいいでしょう。そうすることで、生活苦や貧困になる人を減らすことができます。その結果、国が税金でサポートをする人も減ります。しかし、今の日本の税制では、税金が高すぎてこのようなことをやる意欲を失います。税制を変えるだけで、国民が自立して豊かに暮らせチャンスが増えるのです。難しいことではありません。これは国にとってもメリットがあります。税金でサポートする人を減らすことができ、消費が増え、日本の経済も豊かになります。こちらで税金を確保することができるのではないでしょうか。

 「日本国民の労働とは、汗水流して働くことであり、それ以外は労働とは認めない」というのであれば仕方ありませんが、そうでないならば、暗号資産の税制を変え国民にチャンスを与えるべきでしょう。

 もし、ゲームで稼いで暮らせるというのなら、外に働きに出ることができない人(ひきこもりや病気などで外出が自由にできない人)でも、ゲームを通じて自分自身でお金を稼ぐことができます。これまで他人に頼ることしかできなかった人でも自立して活動できるので、そういう人たちも豊かな生活を送ることができるようになります。

 スマートフォンは、アクセシビリティにも対応しています。例えば目が見えない人でもスマートフォンが使えるように作られています。アクセシビリティ対応のゲームも需要があるかもしれません。

 税制を改善するだけでビジネスは広く展開していきます。ゲーム業界にとってはビッグチャンスです。「娯楽」ではなく「人々が豊かになるためのコンテンツを作る」企業になるのですからね。ゲームのユーザーは日本だけではなく世界中にいます。IT業界を活気づけるきっかけにもなります。

🪙日本が金融の世界で時代遅れにならないために

 世界では暗号資産の導入が進んできています。日本が金融の世界で時代遅れにならないためには、暗号資産を肯定的に捉えた上で税制を改善することが急務と考えられます。「暗号資産は投機だ」と決めつけるのではなく、暗号資産によるメリットと海外の動向を理解し、税制面においても改善すべきでしょう。そうすることで金融の面でも世界に遅れをとることなく、また結果的に日本という国が豊かになるのではないでしょうか。

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 2021年2月より「風の時代にあったビジネス・マーケティング戦略」について理論的に執筆しています。私は暗号資産を「風の時代の通貨」と考えています。ご興味のある方はぜひお読みくださいね。

*Twitterより引用

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