見出し画像

「ブランド地名」は地の時代のビジネスモデル

 高級エリアの地名が入ったブランドがあります。他にも以下のニュースのように「銀座本店」などという呼び方もありますね。これまで、これらの言葉を聞くと「高級感がある」や「オシャレ」などという印象を受けたものです。

 しかし、こちらの記事にもあるように、最近はこれらの言葉があまり魅力的でなくなってきたようです。

 そもそも、なぜ私たちは「銀座」という言葉に「高級感」や「オシャレ」などというイメージを連想してしまうのでしょうか。それは、世界でも超有名な銀座という一等地に、高級なお店、オシャレなお店が並ぶからですね。

 銀座には、外国人観光客もたくさん訪れていました。日本でも「このお土産は、銀座で買った限定品なんだ」と言われたら、「特別なものだ」という印象を受けたものです。

 地名に魅力がなくなるという現象は、実はアメリカで起こっているようです。シリコンバレーといえば、世界でトップのハイテク企業が集まっているエリアです。ところが最近「脱シリコンバレー」が進んできています。例えば、イーロン・マスク氏がカリフォルニア州からテキサス州に引っ越したことは有名です。同州では、Tesla(テスラ)社の新工場が建設されています。そして、SpaceX(スペースX)社も同州で新型ロケットの開発を行ったり、月・火星に行くための宇宙港を作っています。他にもヒューレット・パッカード・エンタープライズもテキサス州に引っ越すと発表しました。

 銀座やシリコンバレーなどの「地名ブランド」は、地の時代だから成立したブランド戦略なのかもしれません。地名は、まさにその土地の名前です。「地の時代」のマーケティングとしてはピッタリの戦略です。しかし、風の時代になり「地名」よりも別の価値を求めることが重要になったのでしょう。それはもちろん製品・サービスです。例えばお菓子なら、地名がなくても「おいしいね」と買ってもらってるものこそ、真の価値ある商品といえます。

 ですが、まだ地名ブランドが必要とする業界もあるようです。それは産地が関係する商品です。お米、お茶、お酒、野菜、果物、お魚、そしてお肉などの食品が挙げられるのではないでしょうか。

 例えば「六本木の自然の恵みをたっぷり受けたお米」とPRされていても、正直ピーンときません。「東京の六本木!? 自然の恵みなんてあるの?」と逆に疑うのではないでしょうか。または「米の産地に六本木というところが増えたのか!」(つまり他県にある「六本木村」など)などと勘違いしそうです。お米の場合は、米の産地と言われる県名が書かれていた方が「美味しそう」と感じるものです。

 食品については、今なお「地名ブランド」は重要かもしれません。しかし、最近は、工場で育てられる野菜も増えてきましたし、お肉の分野でも代替肉が登場しています。ですから、食の産地に対する考え方も将来は変わるかもしれません。

 地の時代に通用した「ブランド地名」は風の時代はどうやら通用しなさそうです日本のみならず、世界でもそのような傾向が出ているのですから、この流れは見逃せません。

* * *

 以前は面白い話題があったら随時書いていた「風の時代のマーケティング」ですが、順序立てて理論的に執筆していこうと思い、2021年2月から連載にしました。ご興味のある方はぜひお読みくださいね。

#日経COMEMO #NIKKEI

お読みいただきありがとうございます。これからも皆さんのお役に立つ記事を書いていきたいと思います。フォローもよろしくお願いします❤️