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お酒を飲むことの意味を考える

本日は、時事ネタの備忘を残します。

飲食店の酒類提供終日停止要請に唖然

4月23日に日本政府が発令した三度目の緊急事態宣言によって、東京、大阪、京都、兵庫の各都府県では、飛沫感染・接触感染リスクを高める人流を強制的に抑える観点からの施策が講じられています。

私の住む神奈川県横浜市は、緊急事態宣言の対象区域からは外れたものの、既に公示されている『新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置』の対象地域となっています。人流抑制強化策が発表されました。

飲食店に対しては、20:00までの時短営業に加え、4月28日から5月11日は酒類提供終日停止、という唖然とする内容の要請が出されました。私が普段からお世話になっているバーも休業に追い込まれることは必至です。

動画で黒岩知事が語っている内容は、一方的な要請事項の列挙であり、そうすることの目的や狙いたい効果、数値的目標の説明はなしです。

「今年もゴールデンウイークは我慢のウイークです!」

には、正直イラっとしました。

感染症患者が急増による医療崩壊は、絶対に防がなければなりません。しかし、データをみる限り危機的状況が迫っていると感じられない数値です(病床利用率:重症17.59%、中等症24.76%、軽症・無症状17.08%… 2021/4/27 8:41更新時点)。

病床数確保の努力を行ってきた成果でこうなっていることは理解しますが、医療体制が一番危機的だった状況(2021年1~2月)でもやらなかった酒類提供終日停止に、今回踏み切る根拠が不明確です。「他所がやってるから…」という横並び発想なんじゃないのか、という穿った見方をしてしまいます。

今回の措置は「効果は未知数だが、一つの社会実験」と受け止めます。是非そのデータの、あらゆる角度からの分析と解析、説得力ある説明をお願いしたいです。時短営業の効果についても同様です。

私にとっては禁酒法同然

私にとって、好きなバーに行って好きなお酒を飲むこと、その空間で過ごす時間を楽しむことは意味のある行為です。飲食店でお酒が飲めないというのは、突然禁酒法がやって来たも同然の衝撃です。お酒が飲みたければ、家で飲めばいいじゃないか、で割り切れるものではありません。

緩和と自粛のループが長期間に亘っているし、恐れるべき敵の正体や実力もかなり明らかになってきています。行動自粛の要請が、昨年ほどの抑制力が働くのか疑問を感じます。”ブーマー・リムーバー(Boomer Remover)"的意見の持ち主もいるし、法的強制力に限りがある緊急事態宣言で、人の交わり、集まりを完全に封じ込めるのは、難しい気がします。

この連休期間中にしか会えない人もいるでしょう。そういう人達を、感染予防対策が不十分な家庭飲み、ホームパーティ、屋外飲み会へとシフトさせることにも繋がり、逆にクラスター発生リスクを高めるのではないか…… という気もします。

COVID-19感染は回避したが、孤独が身に染みるようになって精神的に病んだ、経済的に困窮して人生が詰んだ、度を超えた独り飲みで健康を害した、といった負の側面も懸念します。

機会まで奪わないで

「酒を飲む」目的は様々です。酒を飲むこと自体よりも、酒を飲むという口実で人に会うことを楽しみにしている、という人も多いと思います。その大切な機会を強制的に奪う施策をしれっと繰り出してくるのは残念です。

飲食店は、人同士の交流の場を提供する役割を担っています。その場で酒を酌み交わす(hobnob together)ことで、アイデアや恋愛や親愛の情を育むことが期待できます。少なくとも、何らかの変化(プラスとは限らないが……)を生み出します。歴史的にも立証されていると思うのです。

酒類提供の停止は、社会を活性化するかもしれない可能性を犠牲にし、人々の意欲を押し下げる施策でしょう。COVID-19のまん延を避けるため、別の有効な施策は本当にないのか、今後の議論に期待します。

酒が人と人とを媒介する効果を過少評価すべきでない、と思いますし、酒を飲む場を社会に確保しておくことは重要だと思います。アメリカで施行された禁酒法が、社会に何をもたらしたかは重く考えるべきです。

どんな飲み方をするか

ただ、どの次元まで酒を飲むかの程度問題があるので厄介です。

下戸 dry
ほろ酔い tipsy
酩酊 drunkenness
泥酔 drunk
昏睡 coma

私は、「今夜はバー飲みする」と決めた場合、一軒で終えることは滅多になく、二~三軒のバーをハシゴすることになります。私を含め、酒飲みが「ほろ酔い」で終えることは滅多になく、「酩酊」に近くなります。

メッセージとして、「『酩酊』常連のみなさん、感染予防のため『ほろ酔い』で我慢して下さい!」くらいにして欲しいです。いきなり、『下戸』を要求すると、その反動で『泥酔』や『昏睡』を増やしかねません。それは厄介な世界です。

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