『めぐり逢えたら』を観る
本日は、私にとって思い出深い1993年の映画『めぐり逢えたら Sleepless in Seattle』を語りたいと思います。
最高のラブコメ映画と言う人もいる
この映画の脚本・監督は、ロマンチック・コメディの名手であるノーラ・エフロン(Nora Ephron、1941/5/19-2012/6/26)です。主役の二人、サムとアニー役は、トム・ハンクス(Tom Hanks、1956/7/9- )とメグ・ライアン(Meg Ryan、1961/11/19- )の黄金コンビが演じました。
このチームは、1998年には再び、ニューヨークが舞台の『ユー・ガット・メール You’ve Got Mail』を製作しています。
私にとってこの『めぐり逢えたら』は、アメリカに住んでいた頃、アナログビデオやケーブルTVの再放送で何度も観た懐かしい映画です。妻もこの作品が大好きでしたし、私の知人の中には、「ラブ・コメ映画の中でこれが一番好き」と言う人が何人かいます。今回amazon primeで15、6年振りに見直しましたが、楽しめました。メグ・ライアンはチャーミングな女性です。
あらすじ(完全ネタバレ)
ストーリーを記します。
印象的な登場人物が多い
「運命の出会い」がテーマで、1957年公開の映画『めぐり逢い An Affair to Remember』が重要な役割を担っています。相当に強引でご都合主義的な設定も満載のストーリー展開ではありますが、随所に素敵で魅力的なシーンが繰り広げられ、勢いとユーモラスな空気感で最後まで持たせています。
私は、主演の二人以外のキャストが魅力的だなあと思いながら、毎回楽しみます。
まず、生意気だが父を愛する息子のジョナと、ジョナのガールフレンドで、おませなジェシカのコンビが最高です。タレントのDaigoが得意とする頭文字トークを、ジェシカが"H&G"(Hi and Goodbye)とかやっています。
誠実で善良だが、ユーモアのセンスが皆無で、面白味に欠けるアニーの婚約者ワルター、笑い声が下品でガサツな印象を与えるサムの交際相手ヴィクトリアが、物語のいいアクセントになっています。観る側には、「彼/彼女は絶対に運命の相手じゃないよね……」という妙な納得感を与えてくれます。ワルターが、子供時代からずっと”ワルター”と呼ばれていて、両親や友人からニックネームで呼ばれたことが一度もない、というエピソードもなかなか皮肉が効いています。
アニーの親友ベッキー、サムの友人グレッグやジェイも登場は少な目ですが、いい感じに爪痕を残しています。営業終了後のエンパイアステートビルの展望台に上がることを許す案内所の警備員の男もいい仕事をしています。
私の一押しは、ジョナの子守り役で登場するテンションの低いクラリス(アマンダ・メイハー)です。ジョナがいなくなり、血相変えて家中を探し回るサムの後ろから、「ジョナ……」とだるそうに付いて歩くシーンには、毎回笑ってしまいます。
現在の状況は好対照の主演二人
手練れのトム・ハンクス&メグ・ライアンがコンビを組むと、いい空気感の映画になります。演技の相性がいいのだろうと思います。
元々コメディタッチの役柄を得意としていたトム・ハンクスは、この作品の後に公開された『フィラデルフィア Philadelphia』『フォレスト・ガンプ/市一期一会 Forrest Gump』でも主役を演じ、二年連続でアカデミー賞主演男優賞を受賞しています。その後も、コンスタントに話題作や超大作への出演が続いています。シリアスからコメディまでこなし、アメリカを代表する名優の仲間入りを果たしています。
一方のメグ・ライアンは、この作品でアメリカン・コメディ賞を受賞し、『ロマンティック・コメディの女王』と呼ばれました。ただ、有力作品への出演を断ったり、俳優ラッセル・クロウとの不倫騒動を起こしたりとスキャンダルが続き、最近は出演作に恵まれず、動向があまり聞かれません。
もう一度、年齢を重ねた二人の共演を観てみたいなあ、と思っています。
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