『評価と贈与の経済学』を再読する
本日は、松本へ帰って来る電車の中で再読してまた学ぶことの多かった、内田樹・岡田斗司夫『評価と贈与の経済学』(徳間文庫カレッジ2015)の読書感想文です。
軽い気持ちで読める本
タイトルはかなり仰々しいものの、実際には軽い気持ちで読み進めて、全く問題のない本です。内田樹氏も、岡田斗司夫氏も好きな人物だし、語っている内容には共鳴する部分が多く、再読なのに改めて引き込まれました。
この本のもとになっている対談自体は、2011年9月に行われています。
本日の読書感想文は、【第六章 日本の豊かな潜在力】で語られていた内容に焦点を絞って書きたいと思います。書き抜きたい箇所だらけで、付箋貼りまくりとなりました。ここで、お二人が語られている方向に本気で舵を切っていれば、今の日本とはまた別の空気感が漂っていた予感がします。
「老害」は幻想
巷でしばしば語られている「老害」についての二人の分析が爽快です。
自分たちが頭を押さえられ、報われずに損をさせられているのは、上の世代が掠め取っているからだ、で思考停止してしまうのが危険だと言います。これはその通りで、全ての理不尽を世代論で片付けるのは駄目でしょう。
リカバリーより予防~ アメリカを巡る議論
前項での、「危機的な状況に陥る前の予防が大切だ」という議論から引き継いで、アメリカ人やアメリカ社会が、危機的状況からの「リカバー力」が過剰に称賛される一方で、「危機を未然に防ぐ力」に対して、極めて冷淡で、無防備だという主張(内田氏)は、痛快でした。
P196~205で展開される、”リカバリーより予防”、”アメリカに巣食う自己処罰欲求”、”アメリカはよき反面教師”は、大変面白く、笑いながら、頷きながら、笑顔で読み進めました。最後は、「敬して遠ざける」という結論に落ち着くところも最高です。「アメリカ=グローバルスタンダード」と考えるのは、相当に不幸だと思います。
サポートして頂けると大変励みになります。自分の綴る文章が少しでも読んでいただける方の日々の潤いになれば嬉しいです。