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虚心坦懐に学ぶ

本日は、虚心坦懐(きょしんたんかい)に学ぶことの重要性を再確認する為に、記事に残します。

虚心坦懐(きょしんたんかい)
先入観やとらわれの心を持たない素直な状態という意味のこと。英語で表す時は、 open mind , frankness, frankly などの表現を使うことが多い。
【類語】
● 虚心平気:わだかまりのない素直な心持ち
● 明鏡止水:澄み切った鏡のようにわだかまりがなく、静かな水のように落ち着いた心のこと
【対義語】
● 疑心暗鬼:疑いの気持ちで物事を見ると、すべてが鬼に見えてしまう
● 幽霊の正体見たり枯れ尾花:恐怖心があると、何でものないものでも幽霊に見えてしまうことを指す。
新語時事用語辞典より抜粋

全てを虚心坦懐に学ぶことはできない

世間でそれなりに社会的成功を収めたと思っている人、優秀で人一倍努力も重ねている上昇志向の強い人、他人に指図・命令をすることが習慣になっている人は、虚心坦懐に学ぶ姿勢や機会が欠如しがちです。

「そんなことはない。自分は謙虚に学ぶ姿勢を大事にしている」と思っている人でも、自分が尊敬している人や、優れていると思っている人の意見やアドバイスには真摯に耳を傾けるものの、自分が嫌いな人、見下している人の気に食わない意見や情報を、真摯に聞くことは少ないだろうと思います。そもそも時間の制約がある人が多いので、秒でノイズと判断して、シャットアウトしている場合も多いと思います。

特に自分が得意分野だと思い込んでいる領域や熱狂的に好きな分野では、「そんなことは”当然”知っている」「そんなことは”常識”だ」というバイアスが働くので、瞬時に切り捨てる機会が多いことでしょう。経験も実績も自分より劣っている人が、偉そうに講釈を垂れているのをみると、つい粗探しの一つもしたくなるかもしれません。

得意分野にこそ重大な弱点がある

一流と言われる強打者の弱点は、最も得意なコースのすぐ近くにある、という話も聞きます。自分の得意分野だ、自分の専門領域だ、と自負している分野でも、事実を誤認して理解していたり、記憶していたりするケースは少なくありません。人の名前や地名を間違って記憶していたことを、だいぶ時間が経ってから知った、という経験もある筈です。

また、最新の研究による新発見や新解釈によって、これまで事実や常識とされてきたことが、今では180度覆っていたりするケースもよくあります。古い知識をひけらかした為に、大恥をかくことだってあります。

自分の知識は間違っている、偏っている、かもしれない

「自分の持っている知識や見解は、間違っているかもしれない」という、意識は常に持っていたい、と思っています。間違っているというよりは、見方が偏っていたり、時代の経過による知識のアップデートが出来ていない、というケースを用心すべきだと思います。知に誠実である為には、興味を持ったり、自分の琴線に引っ掛かった新しい知識や情報を調べるための時間と労力は惜しまない人でありたいものです。

例えば、『ドイツが今のドイツになって、まだ30年強』という事実は、私と同世代の方々にとっては”常識”でしょう。市場経済陣営のドイツ連邦共和国(西ドイツ)と計画経済陣営のドイツ民主共和国(東ドイツ)という国が存在していたし、1989年のベルリンの壁崩壊はライブで経験した出来事でした。(当時、その歴史的意味は理解していなかったものの)

もっとも、最近はドイツの話題を耳にしてもそのような事実を意識して文脈を読み解こうとすることは稀です。まして1990年代以降生まれの方々にとっては、現在のドイツ連邦共和国こそがドイツであり、「欧州の優等生」という感覚が強いだろうと思います。

今のドイツ経済を支えているのは、分断時代の様々な取り組みであり、東西ドイツ統一後の経済的・社会的混乱を乗り越えてきた、という自信も大きいように思います。

最近「社会的市場経済」という用語を調べていたら、体系的な理論ではないが、旧西ドイツ時代に研究実践された考え方で、現在のドイツの経済運営の基礎的価値観になっている、ということを知りました。この社会的市場経済の特徴とされる価値観は、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の考え方と似ているような印象を持ち、更に深く調べてみたくなりました。


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