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『冬のソナタ』を観る

本日のnoteは、一世を風靡した韓国のドラマ『冬のソナタ』を久々に観ての感想文です。

"韓流ドラマブーム"の元祖

『冬のソナタ(原題:겨울연가ーキョウル ヨンガ)』は、2002年にKBS第2テレビジョンで放送された全20話の連続テレビドラマで、アジアと世界での"韓流ブーム"の火付け役になった作品だとされています。

日本ではNHKで2003年から2004年にかけて放送され、"冬ソナ現象"の大ブームを巻き起こしました。主人公を演じたペン・ヨンジュンは"ヨン様"と呼ばれて、おばさま世代を中心に絶大な人気を集めました。ソウルや春川、江陵などドラマの舞台となった撮影地を巡るツアーが組まれ、日本から観光客がどっと韓国へと押し寄せました。

『冬のソナタ』には、私もドハマりしました。このドラマを日本語吹き替え版ビデオで観ていたのはアメリカに居た頃です。この頃、義父が体調を崩して入院することになり、妻は日本に一時帰国していて単身赴任状態でした。冬のデトロイトの寒さは厳しく、巣籠状態になりがちです。妻もいないとなると外出する気力もなくなり、休日は朝から深夜まで10時間以上連続で観ていました。

amazon prime見放題の対象だとわかったので、緊急事態宣言の中、時計の針が戻ったように、ここ数日間冬ソナの世界に浸っていました。今回は日本語字幕で観ました。

一応、物語の概略

本作は、ペ・ヨンジュ演じるジュンサンとチェ・ジウ演じるヒロイン、ユジンとの10数年に亘るラブ・ストーリーが主軸のドラマです。(もう20年近く前の有名ドラマなので、多少のネタバレは御容赦下さい)

物語の最初の舞台は、登場人物たちが通う春川市の高校です。ジュンサンが転校生としてやってきて、ユジンと出会い、恋に発展していく第1話と第2話が私は特に好きです。

ユジンを一途に愛し続ける幼馴染のサンヒョク、ジュンサンに思いを寄せる美貌で高慢なチェリン、ユジンの親友のチンスク、好漢のヨングクら、物語は高校時代の仲間との関係や出生の謎などを軸に展開していきます。一応最後は、ハッピーエンドっぽく終わります。

波乱はほぼほぼユジンが起因

ラブストーリーの常として、試練、別離、愛憎、事件が起こります。成人して以降の騒動は、ほぼほぼユジンの優柔不断が起点で起こります。サンヒョクとの婚約破棄はユジンの心変わりだし、ジュンサン(ミニョン)の二度目の交通事故はユジンの軽率な行動が原因です。

自分で決めた決断や誓いも状況が変われば破ってしまいます。ユジン自身、自分の決断が罪作りで裏切りであることを深く理解していて、反省し、思い悩み、相応に傷つくものの、最終的には”でもしょうがないの……”という展開になります。

そんなユジンを、恋人が、友人が、母親が、仕事仲間が理解し、寄り添って支え、許します。ユジンはそんなみんなの優しさを完全には拒否せず、甘える所は甘えます。ひどい罰も受けなければ、人間的・社会的な信頼を失墜することもありません。決定的な嫌悪感を視聴者に抱かせないのは、ユジンの魅力と人間性と言えばそれまでですが、冷静に考えると相当に理不尽です。誰もが同じように許される行動をしているとは思えません。

理解できないサンヒョク、理解できるチェリン

私には、どんな不条理を受けてもユジンを愛し続けるサンヒョクの気持ちが全く理解できません。最終的には立ち直るものの、自分を心底愛していないことが明白な人から離れられないのはナイーブ過ぎやしないかと否定的にすら感じていました。

一方、チェリンが「なぜみんなユジンばかりに優しいの…… なぜ私が好きになる人は私を愛してくれないの……」と泣き叫んで不満を爆発させるシーンにはかなり共感できます。心底寄り添ってくれる人がいないという絶望感と孤独感が、とても人間らしいと思ってしまいました。

上述の二人よりはやや軽めの登場が多いチンスクとヨングクは真の善人として描かれています。ある意味予定調和的なキャラで、行動と言動に安定感があって、安心して見ていられます。

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