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『40歳の教科書NEXT』を読む

三日連続の読書感想文になりますが、本日はドラゴン桜公式副読本『40歳の教科書NEXT 自分を見つめなおす』(講談社2011)の中から、映画監督・プロデューサーの庵野秀明氏の回を読んでの私見です。

50歳時の庵野秀明氏のコトバ

本書は、『16歳の教科書』番外編の一冊であり、今から10年以上前に発売された本です。本書も、松本市内のBOOK-OFFを巡って、100円+税で購入したことを暴露しておきます。

『40歳の教科書』ということで、40代を駆け抜け終わった人、今40代の真っ只中で生きている人、これから40代を迎えようとする人など、各界の著名人の声を集めて編集されています。構成は以下の4章立てになっています。

1時限目:40歳は人生の折り返し地点か?
2時限目:「心の危機」をいかに乗り越えるか
3時限目:親との関係を問いなおす
4時限目:経験を武器にするには、なにが必要か?

『40歳の教科書NEXT』より

庵野秀明氏の回は、第1章の2番目、プロゴルファーの青木功氏の次に収録されています。1960年生まれの庵野氏が、50歳(インタビュー当時)の時に語った内容です。庵野氏の代表作は何といっても『新世紀エヴァンゲリオン』ですが、近年はアニメの枠を飛び越え、『シンゴジラ』(2016)『シンウルトラマン』(2022)『シン仮面ライダー』(2023)など話題の超大作を次々と手掛けており、今最も観客を集められる映画を作る監督と言っても過言ではありません。50歳の時に何を語っていたのか、興味津々で読みました。

居場所の無い世代

戦争も知らないし、全共闘も知らない、どこに居ても自分の居場所じゃないような閉塞感を抱えていた、のが自分の生まれ育った世代だと庵野氏は言います。拠り所はテレビで、幼少期は「ウルトラマン」「仮面ライダー」に夢中になり、中学生の時に出会った「宇宙戦艦ヤマト」に決定的な影響を受けていると言います。「子ども向け」だけど、「子どもだまし」ではなく、作り手が誠意を持って作っている作品だったからだと分析しています。確かに庵野作品も、精一杯誠意を持って真剣に作られていることが感じられます。

庵野氏はアニメ製作の世界に進みますが、映像作品からの影響が強烈なので、過去に見た映像に引っ張られてしまいオリジナル作品を作るのが難しかったと述懐します。オリジナルで勝負せざるを得なくなって取り組んだのが、「新世紀エヴァンゲリオン」だったといいます。

アニメ業界の閉鎖的な世界は苦しかったと言っています。自分の個性を押し出すよりも、多くの人がアイデアを持ち寄って共同作業をするのが好きだといいます。自分のエゴよりも、作品の完成度を優先させる、考えだといいます。

つくり手は「作品の奴隷」であるべき

P42

という考え方は、つい自分のエゴを押し出してしまいがちな自分は、見習いたいものです。自分の変化を肯定する、変化をすることで、継続できる、という考え方にも共感します。

そして、最後の結びのことばがカッコいいです。こんな風に言ってみたいものです。

僕は自分のことを大人だとは思わないし、いつか大人になる日がくるとも思えないけど、多少なりとも成長できた感じはします。「若いころと違う」ということは、そんなに悪くないと思いますね。

P48

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