『無意味な人生など、ひとつもない』を読む
本日は、人生に彷徨いそうだなあ…… と感じている時に、救いとヒントを求めてきた五木寛之氏のエッセイを集めた『無意味な人生など、ひとつもない』(PHP2017)です。
まえがきだけで救われる
昨日の不本意な一日を引きずっていて、本日は仕事も不調でした。特に急ぎの案件がないのをいいことに、取り組むべき課題には殆ど手をつけず、色んな文献を漁ったり、物思いに沈んだりする時間が多かったです。こういう悶々とした時には、時に優しく示唆を与え、時に厳しく喝を入れてくれる五木寛之氏の著作を手に取るのが、最高のクスリになります。
本書は、先日手に入れて、松本の部屋に積ん読していたものでした。鬱鬱としていた私には、期待を遥かに超えて、素晴らしい気分を提供してくれる内容でした。まえがきの4頁を読んだだけでも救われました。剽窃になってしまうので避けますが、冒頭から最後まで全文を切り取って、ここに書き記しておきたいくらい、今の私の気分にどんぴしゃりのものでした。
尊敬する人生の大先輩のこのことばに、静かに深く頷く私です。
心に語りかけてくる珠玉のことばたち
五木寛之氏は、私が無条件に信頼する数少ない大人です。氏が紡ぐことばは、今の私が本当に欲している示唆を与え、今の私が本当に必要としている感情へと誘ってくれます。
川の流れのように
本書を読み進めていて、自然に頭に浮かんできた楽曲が、昭和を代表する大スター、美空ひばり(1937/5/29-1989/6/24)の生前最後のシングル『川の流れのように』(作詞:秋元康、作曲:見岳章 1989)でした。彼女の人生が凝縮されたような名作中の名作です。若い頃の全盛期を知る世代ではないものの、ひばりさんが、心・技・体が全て揃った傑出した歌手だということはよく認識していました。彼女が生前最後に出演したテレビ番組で、この曲を歌う映像がYouTubeで閲覧できますが、本当に神々しく、聴いているこちらの魂が静かに震える程の圧倒的な完成度で迫ってきます。
五木氏も、人生を川(河)にたとえる表現をよく使います。氏の代表的な随筆集に、『大河の一滴』(幻冬舎1998)があります。私たちは一滴の水のようなちっぽけな存在ではあるものの、大河を形作る一滴である。大河は、やがて大海へと注ぎ、周囲の滴たちと溶け合い消滅する…… という壮大なイメージが浮かんできます。
またしても、挫けて自暴自棄になりそうなピンチを、ことばの力によって救ってもらえた夜でした。
サポートして頂けると大変励みになります。自分の綴る文章が少しでも読んでいただける方の日々の潤いになれば嬉しいです。