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吉本隆明『共同幻想論』に挑む

昼前に自宅を出て、横浜から松本へと戻ってきました。心配していたワクチンの副反応は、三回目の今回も軽微で済みました。体調は万全です。快晴に恵まれたため、1回分残してあった青春18きっぷを使って、車窓から中央本線の景観を楽しみつつ、のんびりと時間をかけた普通列車の旅でした。


電車の中にて

電車の中で読んでいたのが、2020年7月に四回にわたって放送されたNHK『100分de名著』のテキスト版でした。戦後昭和の思想界を牽引した巨人、吉本隆明氏(1924/11/25-2012/3/16)の主著である『共同幻想論』についての解説本です。

1968年(私が生まれた年)に発売された『共同幻想論』は、当時の多感な若者に絶大な影響を与え、その中で語られた『共同幻想』『個人幻想』という概念によって、熱狂的な「吉本主義者」を生み出したと言われます。非常に難解な書だと言われている本書のエッセンスを、解説を担当した先崎彰容教授が初心者にも理解しやすいように噛み砕いた良書でした。

いよいよ吉本隆明に挑む

知の巨人である吉本隆明の名は、勿論知っていました。次女の吉本ばなな氏(1964/7/24-)も著名な小説家です。

吉本氏は、1960〜1970年代に多くの知識人に影響を与えたと言われる一方で、宮台真司氏が、尊敬を示しつつも1980年代以降の吉本氏の思想の頑迷さについては、否定的な発言をしている動画を観ました。

私の中では、なぜか今、吉本隆明ブームが来ています。先日『吉本主義者』を自認する鹿島茂氏の著書『吉本隆明1968』(平凡社新書2009)を見つけて購入し、読み進めている最中です。この巨人の思想に真剣に立ち向かうのは今回が初めてです。50歳を過ぎてようやく吉本氏の思想に挑むチャンスが与えられたように思います。このタイミングで出会うべくして、出会ったと考えたいと思います。

一度では理解できない

表面をさらっただけではありますが、出自が同じ中産下層階級出身である私は、吉本氏の思考の掘り下げ方や方向性について、感銘・共感する部分が非常に多かったように思います。

● 自分の頭で考えること
● 自立すること
● 答えはそれでよいのかと疑義を呈すること

を生涯貫こうとしてきた吉本氏の姿勢は称賛されるべきです。今こそ、吉本思想は読まれるべきだと確信します。

本日は、前振りだけで失礼します。

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