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『非属の才能』を読む

本日は、読了後に勇気を貰えた山田玲司『非属の才能』(集英社新書2007)の読書感想文です。


「非属」という生き方のススメの書

山田玲司氏(1966/1/8-)は、各界のヤバい人へのインタビュー漫画『絶望に効くクスリ』で知られる漫画家です。

本書のキーワードである「非属」とはおそらく氏の造語で、「どこにも属せない感覚」「みんなと同じを拒否する価値観」といった意味合いです。

ざっくり纏めると、協調性=同調性(空気を読んで既成の価値観に黙って従う)と誤解して、時代の空気に思考停止で従ってしまうと、人生がしんどくなるから「非属」で生きよう、という「非属」のススメの本だと思います。

【目次】
はじめに 「みんなと同じ」はもうやめよう(P5-14)
第1章 誰のなかにも「プチ佳祐」がいる(P21-48)
第2章 ブルース・リーになる試験はない(P50-74)
第3章 定置網にかかった人生でいいのか?(P76-102)
第4章 「変わり者」が群れを動かす(P104-128)
第5章 非属の扉をこじ開ける方法(P130-169)
第6章 独創性は孤立が作る(P172-204)
第7章 和をもって属さず(P206-240)
おわりに 「みんなと違う」をはじめよう(P241-246)

気付きをもらった文の抜き書きノート

「非属の才能」の持ち主が群れの掟に従って生きると、もともと備わっていた才能が削られ、辛い人生となる、という山田氏の信念が貫かれています。

同調圧力がもっとも強い学生時代にまわりに合わせることを覚えた人間は、その気楽さゆえに、いつも行列のうしろに並んでいる自分の人生に疑いをもたなくなってしまう。
--- 略 ---
そんな人は、斬新な発想や独創性が決定的にものを言ういまの時代に、「使われるだけのパーツ」以上の働きは望まれないだろう。要するに、「才能のない人間」として消耗されてしまうのだ。

P5‐6

非生産的な要素のなかにこそ、非属の才能は眠っている

P30

協調はしても、同調はしてはいけない
同調の限界はたかが「百点満点」

P33、P35

重要なのは、その才能を理解してくれる「理解者」がひとりでもいるかどうかということだろう。

P41

学歴や資格やモノは、いったん手に入れてしまうと、思っていたほどの幸福感や充実感を与えてくれるわけではない。

P55

たいがいの人が本当に求めているのは、自分が自分のままで認められる人生だろう。

P56

人生の定置網は目に見えないので、気がつくといつのまにかあたり一面に定置網が仕掛けられ、身動きが取れなくなってしまうことがある。

P76

多数決をすれば多数派が勝つに決まっている。多数派が導き出すのは「あのとき、ああしたからうまくいった。だから今回もうまくいくに違いない」という成功体験に支配された群れの論理にすぎない。

P106

場面が変われば、「無用の障害」は「有用な才能」としてもてはやされるかもしれない。

P113

人生は思ったより長く、「失敗は即失格」ではない。

P146

企業は基本的に、人々の幸福ではなく、利益を追求する群れである。

P192

群れる人ほど、孤独になりやすい

P202

非属でいながらもまわりのみんなに必要とされ、にぎやかに人生を楽しむことは可能

P207

読後のノート

非属の才能の持ち主が「同調性」を発揮すると、人生はかなりハードモードになってしまいます。自分を「同調性」に価値を置く集団に委ねてしまった結果、そのミスマッチが悲劇を生むというのは、肌感覚で理解できます。

非属で生きるとは、つまり少数派で生きるという決断をすること、と受け止めました。ただ、孤独に耐える強さを身に付ける、ひたすら個性を尖らせる、だけではなく、理解者や協力者を獲得する努力も必要です。私の人生後半戦は、非属のまま生き延びていく方策を探り続ける旅になりそうです。


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