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『テスラ エジソンが恐れた天才』を観る

本日は、映画『テスラ エジソンが恐れた天才 Tesla』(2020)の鑑賞記録です。

天才、テスラ

私は、二コラ・テスラ(Nikola Tesla 1856/7/10-1943/1/7)に対して、常人の理解を超越したとんでもないことを考え、実現しようとした真の天才、というプラスのイメージを持っています。

テクノロジーにはそれほど明るくないので、彼の発明の偉大さや斬新性、重要性を完全には理解できていません。しかしながら、よく紹介されている写真の印象が強烈ですし、ミステリアスな人物像にも憧れを抱いていました。

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100万ボルトまで出力可能な高圧変圧器(テスラコイル)の発明者であり、交流電気システムの基礎を設計した人物、と紹介されます。イーロン・マスク率いる電気自動車会社のテスラも、1980年代後半に登場したヘビーメタル・バンドのテスラも、二コラ・テスラに因んで付けられた名前です。影響力の大きさが推し測れそうです。

そのテスラを描いた映画が公開されることは、以前に観に行った映画の予告で知っていて、是非観たいと思っていました。最近までうっかり忘れていたのですが、逗子市にある『CINEMA AMIGO』で上映されていることを偶然知り、本日実現することができました。

映画の概要

監督・脚本は、マイケル・アルメイダ(Michael Al mereyda 1959/4/7- )。二コラ・テスラを、名優イーサン・ホーク(Ethan Hawke 1970/11/6-)、トーマス・エジソンには、一時期社会現象になるくらい人気になったドラマ『ツイン・ピークス』のクーパー捜査官役のイメージが強い、カイル・マクラクラン(Kyle MacLachlan, 1959/2/22- )、テスラに思いを寄せ、物語を進めていく語り部役も務める富豪の娘、アン・モルガンを、イヴ・ヒューソン(Eve Hewson 1991/7/7-  父親はU2のボノ)が演じています。

映画は、テスラがアメリカ亡命後にエジソンの会社に雇われて働いている頃から、エジソンとの電流戦争に勝利した絶頂期を経て、電信設備、エネルギーシステム研究のスポンサーだったJ・P・モルガンから援助を打ち切られ、辛酸を舐めるあたりまでを描きます。

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私見:テーマに興味があったから楽しめた

アルメイダ監督がこの脚本を書き上げたのは1980年代前半のことで、悲願成就の映画化だったようです。テスラという題材が魅力的な上、ホークの演技が上手いので、台詞回しを含めて最後まで楽しめました。

エジソンとの確執が決定的になり、エジソンの下を去ることを決意したテスラが援用する

大木の下に小木育たず

はなかなかに興味深いことばだと感じました。エジソンの偉大さと名声は、エンジニアとしての才能以上に商才あってのものだったのだと気付かされました。

シリアス路線一辺倒の映画ではなく、歴史的事実とは異なる架空のシーンやユーモラスなシーンも盛り込まれています。全ての演出が成功しているとは言い難いものの、テスラが、ティアーズ・フォー・フィアーズのヒット曲、『ルール・ザ・ワールド Everybody Wants To Rule The World』の歌詞をアレンジして歌うシーンは好きでした。

テスラが、日常生活では異常な潔癖症だった史実エピソードの挿入は、取って付けた感が強く残りました。全体的にテスラの変人性は抑えられ気味、と感じました。

テスラとレベッカ・デイアン演じる、フランスの舞台女優、サラ・ベルナールとのロマンスは、伏線かと思われた(ベルナールが棺桶で生活している……)ものの、回収は十分でなく、描き方には不完全燃焼感が残りました。

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