『父が娘に語る 美しく、深く、壮大でとんでもなくわかりやすい経済の話。』を読む
本日の読書感想文は、ヤニス・バルファキス(著)・関美和(訳)『父が娘に語る 美しく、深く、壮大でとんでもなくわかりやすい経済の話。』(ダイヤモンド社2019)です。
著者は、2015年のギリシャ危機の際に財務大臣を務めていた経済学者です。最高に面白い本という触れ込みに惹かれて発売後すぐに購入しましたが、その評判に違わぬ内容で、一気に読了しました。『経済学の解説書とは正反対のものにしたい』というコンセプトで、10代半ばの娘に、経済の本質を専門用語を殆ど用いずに平易に解説した書です。今回3年振りに読み返してみて、いい本だなと再認識しました。
抜群に面白い本です。差し当たり、気になって、心に響いた部分の書き抜きを残します。ギリシア神話の教訓が巧妙に挿入されていて、非常に説得力のある話が展開されます。
第1章 なぜ、こんなに「格差」があるのか?
第2章 市場社会の誕生
第3章 「利益」と「借金」のウエディングマーチ
第4章 「金融」の黒魔術
第5章 世にも奇妙な「労働力」と「マネー」の世界
第6章 恐るべき「機械」の呪い
第7章 誰にも管理されない「新しいお金」
この章の収容所のタバコと市場社会のビットコインの違いの説明はとてもわかりやすいです。
第8章 人は地球の「ウイルス」か?
エピローグ 進む方向を見つける「思考実験」
この章だけでも読む価値あり!です。
HALPEVAM(発見的アルゴリズムによる喜びと経験価値最大化装置 Heuristic Algorithmic Pleasure & Experiential VAlue Maximiser)は、初読の時は、SFチックに感じましたが、あれから3年の月日が経過し、リアル感満載で迫ってきます。
当時は、メタバースということばはそれ程浸透していませんでした。当時も今も著者の考え方に賛成ですが、精巧化するバーチャルな世界に、本当に抗えるだろうかと、少し不安な気持ちもあります。
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