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ロシアがウクライナに侵攻したこと

2022年2月24日、ロシアのプーチン大統領は、関係の悪化していたウクライナに対して軍事行動を開始することを宣言し、国境に展開していたロシア軍がウクライナ領土への攻撃を開始しました。ウクライナの首都キエフは、ロシア軍に爆撃され、市民を含めて多数の死傷者が出ています。私は、この戦争の背景や歴史的経緯を解説できるほど知識量は持ち合わせていませんが、集めた情報から思う所を記しておきます。

ウクライナの親米・親西欧路線に苛立っていたプーチン

ウクライナは、かつてのソビエト連邦(ソ連)を構成する一員で、ロシアとは同邦の関係でした。ソ連の瓦解によって、1991年にウクライナ共和国として独立した後は、親米・親西欧的なウクライナ人と親露的なロシア人との間で、国家が揺れてきた歴史があります。2014年には、親ロシア的住民の多い黒海に面したクリミア半島にロシアが軍隊を進め、占領の強行に出たのは記憶に新しい所です。

2019年の大統領選挙で当選したウクライナのゼレンスキー大統領は、それ以前は国民的人気のあったタレントでした。当選するまで政治経験がなく、手法がポピュリスト的であると言われます。ウクライナに不利なミンスク協定を反故にし、ロシアのプーチン大統領の神経を逆撫でするような政策も打ち出していたとされます。

ロシアにとって問題なのは、ウクライナが親米欧路線を取って、NATO加盟を目指していることでした。ロシアにとって西側の玄関口にあたる黒海に面したウクライナがNATO加盟国となることは、安全保障上の脅威となり、ロシアとしては看過できない問題だったと考えられています。

プーチン大統領は、「格下」と見下していたウクライナの一連の挑発的な行動に積年の憤りの念を抱いていて、侵攻の時機を探っていた可能性がありました。ウクライナのNATO加盟は、軍事行動に訴えてでも、国際的批難を浴びようとも、断固阻止すべき懸案事項だったというのが表向きの理由とされています。ただ、実際に開戦したのは、「後ろ盾を傘にきてナメたマネを繰り返してきた子分」への"懲罰的”な側面もあるように思います。

アメリカは?

今回のロシアの軍事行動を抑止できなかったことで、アメリカの責任を問う声があります。バイデン大統領は、西側諸国の協力を取り付けて経済封鎖で対処する方針のようで、自国の軍隊をウクライナ国民の支援の為に出して、ロシア軍と軍事対峙する意欲はなさそうです。

アメリカは、もはや世界の警察官を引き受ける意欲も力も喪っているというのが実情かもしれません。現在のアメリカの最大の仮想敵国が中国であるのは明白で、アフガニスタンからも米軍を撤退する決断をしました。

バイデン大統領は、外交が得意分野であり、副大統領時代にはウクライナを積極的に親西欧路線に誘導していた張本人です。専門家の解説記事では、

ウクライナのNATO加盟は「鶏肋 けいろく」(さして役には立たないが、捨てるには惜しいもの)だった

という表現も目にしました。国際政治は非情です。

近年アメリカの企てた軍事作戦は、最終的に失敗に終わったものが多く、覇権国としての地位が相対的に揺らいでいることは、多くの識者が指摘しています。

ロシアとウクライナ、中国と台湾

ロシアからみたウクライナは、中国にとっての台湾のような位置付けなのだ、という指摘もあります。ロシアは、ウクライナは自分たちに臣従するのが当然で、自分たちの意向に背いて好き勝手やるなんてあり得ない行為、という感覚を持っていたという話も聞きます。

その話を聞くと思い浮かぶのは、中国と台湾の関係です。中国は、今回のロシアの軍事行動に対する国際社会の反響と成り行きを注視していると思われます。中国共産党が、近い将来に台湾併合に向けた行動を起こす意図を持っていることは、ほぼ確実視されています。どのような戦略で実現しようとするのか? 軍事行動に訴えるのか? 日本も無関係ではいられない問題になってきます。

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