『失われた30年』をどう捉えるか update
本日のnoteでは、日本経済の『失われた30年』という問題について、前回の私見(2020/11/25)のupdateをしてみようと思います。
きっかけは高橋洋一チャンネルの動画
この問題を考えるきっかけは、『高橋洋一チャンネル』の動画「第5回 バブル崩壊から失われた30年その原因」の解説です。
高橋洋一氏は、大蔵省・財務省出身の元官僚で現在は嘉悦大学教授を務めています。2000年代前半の小泉純一郎内閣で竹中平蔵氏が経済再生大臣を務めていた時のブレーン(補佐官)の一人で、2020年10月からは、菅内閣の内閣参与も務めています。著書も数多くあります。
最近プチ炎上した「さざ波」発言の真相を確認したくて、YouTubeチャンネルで確認しようと漁っている内に出会った動画の一つがこれでした。
高橋氏の解説
動画を自分なりに要約します。
マクロ経済の勢いを失わせた原因
高橋氏は、東京大学理学部数学科から大蔵省(現・財務省)に進み、政権の中枢で日本経済の動向を左右する政策の実現に辣腕を奮ってきた人です。歯に衣を着せぬ論客としても知られています。テクノロジーと数字に強く、ファクトベース、データベースに裏打ちされた論理的・合理的な提言をする人なので、知的思考レベルの劣る人、感情的な議論をする人が簡単に論破できるような相手ではありません。
この動画で高橋氏は、日本経済のバブルを崩壊させた最大の原因を、バブル真っ只中(1989年12月~)に行われた日本銀行の金融引き締め政策にあるとしています。これは従来から高橋氏が主張している持論です。動画では意識的に簡略化・単純化して解説していますが、数々の反論意見についてもおそらく対処できる根拠をお持ちだと思います。
それを承知で私見です。
私見:最適な処方箋を描けない状況だった?
『失われた30年』というテーマには、色々な切り取り方があると思います。この動画で高橋氏は、バブル"経済"が崩壊した原因を語りました。経済の自壊・弱体化が、『失われた30年』の底流という認識なのだと思います。
1991年後半くらいから、経済が急速に萎みはじめたのは私も感じました。そのけつ拭き対応に追われる中で、”ジャパン・アズ・No.1”と調子に乗っていた自信が打ち砕かれ、社会全体のマインドがどんどん後ろ向きになっていくさまもの如実に感じました。
バブル崩壊とその後の長期停滞に、日銀の金融引き締め政策が影響していたであろうことは、定説化しつつあります。高橋氏の指摘は理論的に正しいのだろうと思います。
おそらく当時でも高橋氏の意見に賛同する人はいただろうと思います。ではなぜ、金融引き締め策の修正は長く採用されなかったのでしょうか? 一つは、当時の政治状況もあったのでしょう。バブル崩壊が確実になった後の難局を舵取りしていたのは、細川護煕〜羽田孜〜村山富市が首相を務める政権でした。これらリベラル色の強い政権が、日本経済浮上にとっての必要な政策の実行を妨げていた可能性は考えられます。
またあの頃には、バブル景気の恩恵を受けられない大多数の国民が、土地や株で儲けて羽振りよく豪遊する一握りの人たちを苦々しく見る風潮が確実にありました。日銀のバブル退治は好意的に受け容れられていた気がします。
あの頃の私は、間違いなく常軌を逸したバブルの崩壊を歓迎していました。何も持たない貧乏な若者からみれば、生活必需品が割安で手に入るようになったのは有難かったし、投資するような知識も時間もなかったので、銀行の定期預金に置きっぱなしでした。価格破壊やデフレが進む中で、少なからず恩恵を受けたと思っています。
むしろこれから起こる変化の方を危惧しています。世界の先進国との比較で断トツで物価が安い日本がこれからインフレに触れると困ってしまいます。
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