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『美貌のひと』を読む
本日の読書感想文は、『怖い絵』シリーズで有名な中野京子『美貌のひと』です。
本書は、古今東西の美男・美女達(一部そうでないものもありますが)の描かれている40の絵画作品について、描かれた人物や描いた画家、描かれた時代の歴史や描かれた背景の紹介を丁寧に解説してくれています。優れた歴史書としても通用します。
最近の私が西洋絵画に興味を持つきっかけは、本書の著書である中野京子氏の一連の著書を読んだことが大きいです。元々、印象派など好きな絵画分野はありましたが、絵画の技法や画家についてそれほどの知識はないし、美を感じ取るような感性や審美眼を持ち合わせていない自信があります。そんなコンプレックスもあって、絵画の世界は、縁遠い分野でした。
著者が、本書でも書いていますが、
もともと意味や物語がある絵画作品は、その意味や物語を知った上で鑑賞するのが作品や画家に対するリスペクトではないか(オペラを観て、ストーリーなどどうでもいい、演奏の上手い下手だけが大事、などという観客がどこにいるだろう?)絵は自分の感性でのみ見ればよい、知識は不要、という日本の美術教育は誤りではないのか…(P55)
という意見には全く同意します。
絵画作品を深く鑑賞する為の知識を楽しく身に付けることが、絵画鑑賞を深く楽しむ秘訣だと思います。私のようにセンス音痴と自覚している人でも、その絵が描かれた時代背景やテーマを事前に知らされていれば、興味が沸きます。中野氏の功績は大きいと思います。
私も好奇心が高じて昨年2月には、友人が駐在していたオランダに行って、美術館巡りをしてきました。ゴッホ美術館、アムステルダム国立美術館(ライクス)、クレラー・ミュラー美術館 等を訪れて、存分に楽しんで来ました。
それ以前には、パリのルーブル美術館、オルセー美術館、ロンドンの大英博物館にも行ったことはあるのですが、よく覚えていません。機会を作ってもう一度行きたいなあと考えています。
絵画作品には、画家の魂が込められているので、鑑賞した後は酷く疲れます。それが絵の力ということなのだと思います。
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